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レミリア・スカーレット

がしり

レミリア・スカーレット

大場ななの肩を掴む

レミリア・スカーレット

「ちょっとだけ……」

レミリア・スカーレット

「あなたの時間をちょうだい」

レミリア・スカーレット

真祖が静かに目を閉じるとともに
二人の足元へ赤の六芒星が出現し……

レミリア・スカーレット

レミリアが大場ななに抱き着いた直後……

レミリア・スカーレット

二人は満天の星空の下に転移していた

レミリア・スカーレット

不思議と寒気はなく
遥か下には戦争の舞台となる街が広がっている

レミリア・スカーレット

「私の魔法よ」

レミリア・スカーレット

彼女と並びながら
眼下の街を見下ろす

レミリア・スカーレット

私となな以外に誰もいない
二人っきりの夜の世界

レミリア・スカーレット

「そうね……」

レミリア・スカーレット

「…………」

レミリア・スカーレット

「せっかくだし聞かせてくれない？」

レミリア・スカーレット

「ななの願い」

レミリア・スカーレット

唐突に切り出す
しかし…どうしても聞いておきたかった

レミリア・スカーレット

「私以外誰もいないわ」

レミリア・スカーレット

「絶対…絶対だれにも内緒にするわ」

レミリア・スカーレット

「…………はん」

レミリア・スカーレット

「ななの中だけにある願いは」

レミリア・スカーレット

「この薄汚れた吸血鬼に話す気なんて無いってことかしら」

レミリア・スカーレット

「……………………ッ……」
唇を噛み締める
これから言おうとしていたことを、牽制されてしまったから

レミリア・スカーレット

「わたしが……わたしがいくらでも整えるわよ……そんなの」

レミリア・スカーレット

「この街も、街の人間も、私がその気になれば丸ごと貴女に捧げられるわ」

レミリア・スカーレット

「吸血鬼に不可能は無いのよ」

レミリア・スカーレット

「結芽にもレイにもコマリにも渚にもマガチヨにもできっこないことよ」

レミリア・スカーレット

「なのに、…………は、はは」

レミリア・スカーレット

「助けが要らないって」

レミリア・スカーレット

「──────────────────何を言っているか分からない」

レミリア・スカーレット

「私が……舞台に立つ？貴女たちに並んで……？」

レミリア・スカーレット

「真祖の私が人間に交われる？」

レミリア・スカーレット

「血に溺れる悪鬼の役回りしかできないし、するつもりないわよ？」

レミリア・スカーレット

「曲げられない」

レミリア・スカーレット

「そう」

レミリア・スカーレット

「…………」

レミリア・スカーレット

吐き捨てるように、そう呟いた

レミリア・スカーレット

「……………………………」

レミリア・スカーレット

「眩しいわ」

レミリア・スカーレット

「翼が融け落ちてしまいそう」

レミリア・スカーレット

「貴女に惹かれていく人が多いのも…頷けるわ。発する言葉のひとつひとつがキラめいてる気がするのよ」

レミリア・スカーレット

身体をくるりと回転させ
大場ななと正面から向き合う

レミリア・スカーレット

「極論を言ってしまえば、別にお前たち人間から好かれる必要性など無いわ」

レミリア・スカーレット

「倒して手に入れれば……それで済むもの」

レミリア・スカーレット

「クク」

レミリア・スカーレット

「…………」

レミリア・スカーレット

でも。

レミリア・スカーレット

大場なながレミリアに好意を向けてくれるのは
これが最後かもしれないのだから

レミリア・スカーレット

「ねえ」

レミリア・スカーレット

背丈の小さな少女が、舞台少女の顔を見上げる

レミリア・スカーレット

「後で丸ごと手に入れることには変わりないけど」

レミリア・スカーレット

「ちょっとだけ……」

レミリア・スカーレット

「いいわよね」

レミリア・スカーレット

そう言うやいなや

レミリア・スカーレット

「………………」

レミリア・スカーレット

少しの時間が経ち

レミリア・スカーレット

二人の顔は離される

レミリア・スカーレット

「………………」
レミリアの瞳は、大場ななの顔だけを映している

レミリア・スカーレット

「そうよ」

レミリア・スカーレット

ここには私たち以外居ない　だから取り繕う必要もなくて

レミリア・スカーレット

「この夜空で、貴女に捧げた言葉　行動　すべてが真実よ」

レミリア・スカーレット

「ふんっ」

レミリア・スカーレット

「……打ち倒して、手に入れてやるわ……」

レミリア・スカーレット

「貴女も、結芽も、私にたてつく他の参加者どももね」

レミリア・スカーレット

「……んぇ」

レミリア・スカーレット

「…………む、むぅ」

レミリア・スカーレット

困惑しながらも
大人しく目を閉じてそれを受け入れて…

レミリア・スカーレット

「…………ありがとう」

レミリア・スカーレット

はにかむように笑って、礼を述べた

レミリア・スカーレット

「素敵よ。相手の欲しいものがよぅく分かってる人たらしさん」

レミリア・スカーレット

「一理あるわ……クク。どこまでも舞台の人なのね……なな」

レミリア・スカーレット

「いきなり連れてきて悪かったわね。これ以上、あなたの時間を奪うのは悪いわ」

レミリア・スカーレット

「降りましょうか」

レミリア・スカーレット

その視線にくすりと微笑み返し

レミリア・スカーレット

レミリアが目を閉じると、再び足元に六芒星が生じて…

レミリア・スカーレット

次の瞬間には、ななが元居た場所へと戻っている

レミリア・スカーレット

「お付き合いいただきありがとう」

レミリア・スカーレット

手に取っていたななの掌を、ゆっくりと離す

レミリア・スカーレット

「クク……悪の幹部は去った。明日からきっと戦いは激化する」

レミリア・スカーレット

「きちんと生き残るのよ？なな。このレミリアが直々に倒すんだから」

レミリア・スカーレット

吸血鬼はいつもの調子へと戻り
不敵な笑い声を浮かべながら

レミリア・スカーレット

「くふっ」

レミリア・スカーレット

「またね」

レミリア・スカーレット

そうして吸血鬼は