会長 : 「騎士道精神を身につけるのよ!」
会長がいつものように背伸びをしながら机をバンと叩いて宣言した。
杉崎鍵 : 「確かに俺ほど騎士道精神を身に着けている男はいませんが…」
会長 : 「どこがよ!いつもハーレムハーレム言って、騎士道から一番離れた人間じゃない!」
杉崎鍵 : 「何を言っているんですか、会長! 俺はいつだって、どんな時だって女の子のことを第一に考えているんですよ!?」
会長 : 「それってただのスケベ根性でしょ?」
杉崎鍵 : 「そんなわけないでしょう! 俺は純粋に、女性を大切にする心を持っているだけです!」
杉崎鍵 : 「そして!困難を乗り越えた先にある、みんなが幸せになるハーレムエンドが俺の目標なんです!」
ビシッと宣言する。決まったか。
真冬 : 「うわぁ……最低ですね、先輩」
真冬に軽蔑されてしまった。ちょっとショック。
知弦 : 「あら、残念ね」
知弦さんはなぜか嬉しそうだ。なんだろう。まあいいか。
深夏 : 「お前ってホントにバカだよな……」
深夏に呆れられてしまった。
会長 : 「まったく、杉崎はしょうがないわねぇ」
杉崎鍵 : 「な、何ですか! 皆そろって! いいじゃないですか!」
深夏 : 「よくねえよ!」
杉崎鍵 : くそう。どうして分かってくれないんだ……。俺はこんなにも女の子を愛しているというのに……。
杉崎鍵 : *
会長 : 「杉崎のだらしなさはどうでもいいのよ!」
会長が話を戻そうと胸を張って声を張り上げた。かわいい。
杉崎鍵 : 「え? でも俺の話だったんじゃ?」
会長 : 「違うよ! 騎士道精神の話だよ!」
杉崎鍵 : 「ああ、そういえばそんな話もありましたね」
深夏 : 「鍵、完全に忘れてたろ…」
杉崎鍵 : 「いえ、覚えていましたよ! でも会長、騎士道精神というのは一体どういうものなんですか?」
会長 : 「杉崎~~、それは自分で調べるべきなんだよ!」
真冬 : 「そうですよ先輩。人に教えてもらうんじゃなくて、まずは自分から学ばないと」
杉崎鍵 : ぐっ……なんか今日はやけに辛辣だ みんな
知弦 : 「あのね、キーくん。あなたは今、私たち女子に対して、騎士道精神というものを教えてくれって言ったのよ」
杉崎鍵 : 「ええ、言いましたけど」
知弦 : 「考えてみなさい。いきなり『騎士道精神とは?』って聞かれて、答えられる女子高校生がいると思う?」
杉崎鍵 : 「!」
杉崎鍵 : 「いませんね」
深夏 : 「即答すんなよ!」
杉崎鍵 : 「いやだって、いるわけないじゃないですか」
深夏 : 「いやいるかもしれないだろ!というかあたしはわかるぜ」
深夏 : 深夏が得意げに話し始める
「やっぱり騎士道といえば円卓の騎士!唸れエクスカリバー!!!!って必殺技が騎士道精神だな」
会長 : 「それは深夏の趣味でしょ!」
深夏の言葉を会長が即座に否定する。
深夏 : 「えー。いいじゃんかー。会長も好きなくせにー。カッコいい必殺技」
会長 : 「まぁ…それだけど。それとこれは別でしょ!」
深夏 : 「まぁあたしが言いたいのは騎士道とは、最強を目指す道だってことだよ」
杉崎鍵 : 「いやいや深夏。それはちょっと極端すぎるだろ」
深夏 : 「えー? そうかなぁ? あたしは間違ってないと思うけど」
会長 : 「じゃあ例えば、深夏はどんなことして最強の騎士になるの?」
深夏 : 「そりゃー、ドラゴン倒したりとかさー」
会長 : 「だからそういうのは漫画の世界だけでしょ! 」
深夏 : 「でも戦ったことあるんだけどなぁ……」
会長 : 「えぇ!?」
杉崎鍵 : 「そんな馬鹿な!!」
会長 : 「で、でも私たちには無理なの!」
深夏 : 「そっかぁ? まぁ会長が言うならそうなのかもしれなけどさ」
会長 : 会長の言葉に深夏が渋々とおとなしくなる。
「そういえば、真冬ちゃんは何かないの? 」
真冬 : 「えっ? 真冬に訊くんです? 知弦さんが答えればいいのに……」
真冬は困ったような顔をして
会長 : 「いいからいいから。ね? 真冬ちゃんは騎士道精神って知ってる?」
真冬 : 「BLを通して知ってますよ!!騎士たちの熱い友情ですよね!」
会長 : 「……」
真冬 : 会長の笑顔が固まった。そのまま真冬ちゃんが熱のこもった顔で続ける。
「騎士道精神とは、愛です! BLこそがこの世で最も崇高なものだと真冬は信じています!」
知弦 : 「……」
知弦さんは、無言のまま視線を俺に向けてきた。
杉崎鍵 : 「……」
俺は、何も言わずに知弦さんから目を逸らした。
そんな俺たちを気にせず真冬ちゃんが続ける。
真冬 : 「真冬の理想のBL的騎士道精神はですね、こう、お互いのことを思いやりつつ、時には激しくぶつかり合いながら、それでいて最後は互いに認め合って手を取り合う……ああっ、これぞまさしく王道的な展開っ!」
うっとりとした表情で語る真冬ちゃんに、深夏がため息を吐いた。
深夏 : 「まったく、真冬は相変わらずだね……」
真冬 : 「先輩も中目黒先輩(男)といい感じになっていたって聞きましたよ!」
杉崎鍵 : 「ぶほっ」
突然の不意打ちに思わず吹き出してしまった。
杉崎鍵 : 「なっ! ちょっ! 誰がっ!」
真冬 : 「あれ? 違うんですか?」
杉崎鍵 : 「ちちち、違うに決まってるじゃないか!」
深夏 : 「怪しいなー」
杉崎鍵 : 「怪しくない!」
全く、誰が男なんかと。ただあれは、中目黒があんまり困ってるから手助けしたらお礼にって誘われただけで…。
会長 : 「へぇ~。そうなんだぁ」
会長が俺の顔を覗き込むように見てきた。
杉崎鍵 : 「え? な、何ですか?」
会長 : 「べーつにぃ」
そう言ってプイッと横を向いてしまった。
真冬 : 「あ、そうだ」
知弦 : 「どうしたの真冬ちゃん?」
真冬 : 「知弦さんは騎士道精神ってわかります?」
知弦 : 「……そうね……。私の場合は……」
知弦さんは少し考えるようにして言った。
知弦 : 「……私の場合は、そうねぇ……。やっぱり、自分が正しいと思ったことをやる、かしら?」
真冬 : 「なるほど。じゃあ知弦さんは、自分の意志を貫くことが大事だと?」
知弦 : 「ええ。そうね。私は、それが一番大事なことだと思ってるわ」
知弦 : 知弦さんはそのまま続けて、
「だから私は趣味(拷問)に付き合ってくれたキーくんのこと気に入ってるのよ」
杉崎鍵 : 「いやそんな過去はないですよ!!知弦さん!!」
知弦 : 「え? でもキーくん。あの時『お願いします知弦さん! もっとむち打ちを!』って泣いて頼んできたじゃない」
杉崎鍵 : 「いやそんなこと一言も言ってませんから!!!!」
知弦 : 「そうだったかしら?……ふふっ。冗談よ」
杉崎鍵 : 「……知弦さんが言うと洒落にならないんですよ……」
知弦 : 「そう? それはごめんなさい」
知弦さんはそう言いながらくすっと笑った。
深夏 : 「ところでさぁ、会長さん?」
会長 : 「うん? どうかしたの深夏?」
深夏 : 「そもそもなんで会長さんは騎士道なんて言い出したのかなーって」
知弦 : 「ああ、そう言えばそうよね」
深夏の言葉に知弦さんも同意する。
真冬 : 「そうですね……。どうしてでしょうか?」
真冬ちゃんも不思議そうに首を傾げている。
会長 : 「それは杉崎に真面目になってほしかったからだよ!」
杉崎鍵 : 「え? 俺がですか!?!?!?!??!?!」
こんなにも真面目でイケメンで全米抱かれたい男No1(自分調べ)の俺が!?
絶叫してしまう
会長 : 「うるさい!杉崎は黙ってて!TYPE-MOONの新作ゲームが出るまで!!」
杉崎鍵 : 「……はい……」
会長 : 「とにかく、杉崎にはこのままじゃダメだって思ってるんだよ!わたしは!」
深夏 : 「鍵は…まぁな…」
真冬 : 「そうですね……。確かに先輩にはもう少し変わるべきところがあるかもしれませんね」
杉崎鍵 : ううっ……。みんなして酷いなぁ……
会長 : 「……というわけで、杉崎が立派になるために身に着ける騎士道は!」
会長がそう宣言すると
真冬 : 「先輩は…暑い友情を育んでくるんです!」
深夏 : 「鍵は最強になるんだよ」
知弦 : 「キーくんにはやっぱり意思を貫いて来てほしいわね」
会長 : 「杉崎は!!とにかく頑張るの!」
会長 : *
会長 : 「そんなわけで、私たちの決めた騎士道を体得するまで、杉崎、クビ!」
杉崎鍵 : *
杉崎鍵 : 急に決まってしまった。
杉崎鍵 : 決まったら仕方ない。とにかく達成するか。
杉崎鍵 : ………………
杉崎鍵 : どうやって…?
杉崎鍵 :   
杉崎鍵 :   
杉崎鍵 : *
杉崎鍵 : フラフラ
どうしようもなく街を歩いていた。とりあえず、バイトでも探すか。
占い師 : 「お兄さん!ちょっと見てってよ!」
占い師 : 呼び止められて振り返るとそこには露店があった。
占い師 : 「占いなんかどうだい?」
杉崎鍵 : 店主は占い師のような恰好をしている女だった。怪しい被り物、怪しい煙。でもきれいな声だ
水晶玉の中には何も映っていない。俺は首を横に振った。
杉崎鍵 : 「悪いけど占いに興味はないんだ」
占い師 : 「いいから見ていきなって!今なら特別サービスだよ!」
杉崎鍵 : 「いやだから……」
占い師 : 「あんたも何か悩み事があるんじゃないのかい!?ほれほれ!言ってみなさいよ!」
杉崎鍵 : 強引な奴だなあ……。けど……
杉崎鍵 : 「熱い友情を育んで、最強になって、意思を貫いて、がんばらないといけなくて…」
杉崎鍵 : 重なりすぎだろ。無理あるぞこんなもん。
占い師 : 「なるほどねぇ……。青春したいんだね!」
杉崎鍵 : そういうことじゃないんだけどなぁ……。まあいいか……。
占い師 : 「それじゃあ、その夢叶えてあげるよ!」
杉崎鍵 : 「えぇーーー!!」
何を言い出すんだこの人は!
占い師 : 「その代わり、私のお願いを聞いてほしいんだよ」
杉崎鍵 : 「お願い……?」
占い師 : 「うん。それはね……」
占い師 : 「私と契約して魔法少女になってよ!」
杉崎鍵 : 「断る!」
杉崎鍵 : 俺は即答した。なんだこの人!?
占い師 : 「あはは、魔法少女は冗談だよ。お兄さん男だしね」
杉崎鍵 : ほっ……よかった。
占い師 : 「でも実はあたしがね、魔術師なんだ」
杉崎鍵 : 「はぁ……」
杉崎鍵 : 魔術師……?漫画とかアニメに出てくるアレか……?
占い師 : 「魔術を使って願い事を叶える仕事してるの」
杉崎鍵 : 「へぇ~すごいですね」
占い師 : 「ふふん♪もっと褒めてくれても構わないわよ」
杉崎鍵 : 「はい、それで…どんな具体的にはどんなことを?」
占い師 : 「えっとね、まずは魔法少女に変身したり」
杉崎鍵 : 「しないでください」
最近の魔法少女怖いのばっかりなんだから
占い師 : 「あとは、魔法でクッキー2倍に増えつづけるさせたり」
杉崎鍵 : 「しないでください」
破滅が起きる!
占い師 : 「恋の炎で焼き芋を作ったり」
杉崎鍵 : 「できないでしょ!ていうか、なんで焼き芋!」
占い師 : 「あはははははっ!」
杉崎鍵 : 「なんで笑ってるんですか…」
占い師 : 「ごめんごめん。つい面白くってさ」
占い師 : 「それにしても、杉崎くんは面白い子だね」
杉崎鍵 : 「そうですか……?」
占い師 : 「うん。とってもね」
占い師 : 「だから、杉崎くんにプレゼントだ」
杉崎鍵 : 「プレゼント……ですか?」
占い師 : 「ほら手を出して」
杉崎鍵 : 「こうですか?」
占い師 : 「そうそう」
占い師 :  
占い師 : 「はい。できた」
杉崎鍵 : 差し出した手の甲には入れ墨のようなものが、後で分かったのだが令呪というやつらしい、が浮かんでいた。
占い師 : 「それが君の願いを叶えてくれるよ!これで君も立派なマスターだ」
杉崎鍵 : 「うわぁ!!いきなりなにしてくれてるんですか!!」
擦っても落ちない
占い師 : 「それが君の願いを叶えてくれるよ!」
杉崎鍵 : 「いや、いきなり人の手に!」
占い師 : 「あーそっかそっか。知らないもんね~。はいこれ。好きな場所で読み上げな。」
杉崎鍵 : 紙を渡された。なんだこれ?
占い師 : 「そこに呪文が書いてあるから」
杉崎鍵 : 「え!?読めば消えるんですか?」
占い師 : 「うん。じゃ、頑張って」
杉崎鍵 :   
杉崎鍵 : 消えた
杉崎鍵 :   
杉崎鍵 : え?
杉崎鍵 : *
占い師 :   
占い師 : あーー押し付けられてよかった。
占い師 : もーー聖盃の観察でもーって前乗りしたら令呪が浮き上がるわ、わけわからん塔建てる参加者はいるわ、あたしたちとは一線を画すような世界が違う人形遣いや、ビルは消えるわ、あとチラシ………?あれはよくわからないけど…
占い師 : とにかくあたしには無理無理。
名家二つから参加権を渡せとかもーどっちに渡しても恨まれんじゃん。
占い師 : ま、あんな子の願いを叶えるにはぴったりだもんね。聖盃。
占い師 :  
杉崎鍵 : *
杉崎鍵 : 「えっと……確かこれに書いてあるんだよな……」
俺は帰りながら手に持った紙に書かれた文字を読んだ
杉崎鍵 : 「『素に銀と鉄』……これはなんか違う気がするな……。」
杉崎鍵 : 次だ次!
杉崎鍵 : 「『礎に石と契約の大公』」
手の甲を見る
……これも違う……。
杉崎鍵 : 「『降り立つ風には壁を』」
これも違ってたかぁ……
杉崎鍵 : 「『四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ』」
杉崎鍵 : 「おぉ!」
思わず叫んでしまった。
杉崎鍵 : 手の甲になんだか違和感が走ったからだ
: 「どうしたんだい?」
隣にいた男が声をかけてきた。
杉崎鍵 : 「あ、いやなんでもないです……」
杉崎鍵 : 恥ずかしいな……。気を取り直して続きを読むか……。えっと……
杉崎鍵 : 「汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―!」
杉崎鍵 : おお!なんかかっこいい!ぞ!?
杉崎鍵 : *
杉崎鍵 : 瞬間、閃光が破裂する。視界が白く染まる。反射的に瞼が瞳を覆う。
杉崎鍵 : 光が弱まる。
杉崎鍵 : 杉崎鍵はゆっくりと目を開く
杉崎鍵 : 周囲の人は閃光で目を眩ませている。
杉崎鍵 : 足元には五芒星を組み合わせた陣あった。その中心には、人影があった。
杉崎鍵 : それは男だった。白い狩衣に烏帽子を着た若い男だ。
杉崎鍵 : 肌も透き通るように白く、まるで作り物のようだ。
杉崎鍵 : 男は自分の手を不思議そうに見つめていた。
杉崎鍵 : やがて何かに気付いたように自分の体を触り始めた。
杉崎鍵 : 次に彼は辺りを見渡した。そして俺の方を見る。
杉崎鍵 : 彼の視線と俺の視線が交差する。
杉崎鍵 : 瞬間、彼は少し驚いたような表情を浮かべた。
しかしすぐに平静を取り戻してこう言った
??? : 「…………ふむ。なるほど。あなたが私のマスターですか?」
杉崎鍵 : 俺は声が出なかった。あまりにも突然の出来事に言葉を失っていたのだ。
杉崎鍵 : そんな俺の様子を見て、目の前の男は不思議そうな顔になった。
杉崎鍵 : 返事をしようと試みるが、混乱が口を回させない。
杉崎鍵 : 「……………よろしく?」
杉崎鍵 : ようやく出てきた一言がこれだった。情けない。
杉崎鍵 : すると男は苦笑しながら答えてくれた。
??? : 「変な召喚ですね。互いの経脈が繋がっていない」
??? : 「それに、こんな公衆の面前で召喚なんて、術師らしくないですね。秘匿するものでは?」
杉崎鍵 : いや、ただ手の甲の入れ墨を消したかっただけで、ただ何か間違えたんです。すいません。でも今は許してください。
杉崎鍵 : だって普通の高校生だもの。仕方がないじゃない。
杉崎鍵 : 俺の混乱を知ってか知らずか、男は話を続ける。
杉崎鍵 : その口調からは余裕のようなものを感じられた。
??? : 「普通の高校生。なかなかな天の配剤」
杉崎鍵 : 男が不思議に指を動かした
杉崎鍵 : 「痛っ」
杉崎鍵 : 手の甲に痛みが
??? : 「これで大丈夫。マスターと経脈も繋がりました。さあ色々見えるようになりましたでしょう」
杉崎鍵 : 確かに見えますとも。あなたのステータスとかスキルとか全部丸見えですよ。なるほど転生ものですね
杉崎鍵 : 「見えますけれども!!!なんなんですかこれ!!」
杉崎鍵 : 思わず叫んでしまった。
杉崎鍵 : だってしょうがないじゃないか。いきなりこんなもん見せられて叫ばずにはいられないって。
??? : 「ん?どうしましたマスター?」
杉崎鍵 : 「どうもこうもないわぁ!なんだよこれ!というか何が起きてるんだよ!!」
??? : 「ああ、そういうことですか」
杉崎鍵 : 少しあたりを見回し
??? : 「まずは離れましょう。目が見えるようになった皆さんは大混乱でしょうから」
マスターの手を取り
杉崎鍵 : 「えっ!?」
??? : 「少し跳びますよ」
杉崎鍵 : 「えええっ!?」
彼が蹈鞴を踏むように足を動かすと、次の瞬間には別の場所にいた。
??? : 「着きましたよ」
杉崎鍵 : そこは屋上だった。どうやらここまで一瞬で…………
杉崎鍵 : 「なんじゃこりゃー!!!」
??? : 「そんな叫ばずとも」
杉崎鍵 : 「あんたなんなんだよ!????っていったら????の????だろうが!どういうことだよ」
杉崎鍵 : 発言の一部の音がおかしくなる。
??? : 「まあまあ落ち着いてください。マスター。むやみに真名を呼ぶものでは。」
杉崎鍵 : 「これが落ち着けるか!だいたい俺はミジンコ一匹ほどもわかってないんだ」
杉崎鍵 : さっきからありえないことの連続で頭がグルグルする。もう意味がわからない。
??? : 「なにもわからないですか」
杉崎鍵 : そんなに顔に出てた?なんか恥ずかしいな。
??? : 「まぁ、そういう顔でしたね。では、簡単に説明させていただきますね。まずは……」
??? : 話し始めると同時に黒い幕は二人を覆い始める。
??? : 「聖盃戦争とは
??? :  
??? :  
杉崎鍵 : 幕がスルスルと宙に溶けていき
??? : 「理解していただけましたか?」
杉崎鍵 : 「ああ。てことは…」
杉崎鍵 : 「あの占い師!!!!!!!運が悪かったら、俺、帰り道に殺されてたじゃねーーか!!!」
??? : 「はい。そうですね。」
杉崎鍵 : あっさりと肯定されてしまった。
??? : 「どうしますか?今なら呪が届きますよ」
杉崎鍵 : 「おお?…………。」
杉崎鍵 : 「名前も知らない占い師。美人だったから許す!!!」
杉崎鍵 :   
杉崎鍵 :   
杉崎鍵 : *
杉崎鍵 :  
杉崎鍵 : 夜、昨日まではある面霊気によって能楽が開催され、あるものは露店を出し、人が集まり祭りの様になっていた場所。
杉崎鍵 : そこに今日もと集まった人たちの一人に話しかける。
杉崎鍵 : 「すいません。あなたもお祭りを見に来たんですか?」
: 「はい!そうなんですよ!ネットでも評判でしたから」
杉崎鍵 : その人は元気よく答えてくれた 。どうやら、俺と同じで見に来ていたようだ。
杉崎鍵 : しかし、始まる気配はない。
杉崎鍵 : 昨日の演舞を思い出す。積み重ねた重みが圧が生み出すあの熱を。
杉崎鍵 : そしてそれを待ち望むような周りの期待感。
杉崎鍵 : ただ、いつものように人が集まっている。
杉崎鍵 : しかし、集まっているだけ。昨日とは違う。
: 「何かあったんでしょうか?」
杉崎鍵 : 彼女は不安げに呟く。
杉崎鍵 : 「わからないですけど…ただ…」
杉崎鍵 : そう、あれが最後だったんじゃないかなと思った。
: 「でもきっとまた明日もあると思いますよ!それにもし無かったとしてもまだ時間はあるでしょうし!」
杉崎鍵 : 「そうだといいですね。」
杉崎鍵 : その時、遠くの方からざわめきが聞こえてきた。
杉崎鍵 : 誰かが発した警察だ!と叫びが聞こえる
杉崎鍵 : ルシードが抑えてたんだっけか
杉崎鍵 : 「終わったんだな」
塔も消え、祭りも終わり、1週のうちにあった異常事態は忘れていく
: 「なんか言いました?」
杉崎鍵 : 「いえいえ!それより警察に補導される前にさっさと離れませんか?」
杉崎鍵 : 「それに…あんまり詳しくないですけど。昨日までの祭りの思い出が話したくて」
杉崎鍵 : ほんの少しだけ踏み込んで
杉崎鍵 : 少しだけ世の中を見る目が広がって
杉崎鍵 : あっという間だった
杉崎鍵 : そんな聖盃の話を。
杉崎鍵 :  
杉崎鍵 :  
杉崎鍵 : *
会長 : 「確かに町が変なことになってたけど!」
会長 : 「誰がそんなこと信じるのよー!」
杉崎鍵 : 「えぇ!会長そんな!あの人は笑って信じてくれたのに!!」
会長 : 「一週間もサボってその言い訳がそれだなんて全くガッカリだよ!」
会長 : 「もー杉崎は、マスターなんかより副会長の方が向いてるんだからね!」
杉崎鍵 : 「まぁそれもそうですか。」
杉崎鍵 : 「クビじゃなくなっただけ成長ですね」
杉崎鍵 :  
杉崎鍵 :  
杉崎鍵 : 生徒会は今日も変わらない
杉崎鍵 : *