:
変な夢を見た。
:
闇、巨大な影のような存在が襲いかかってくるような、そんな夢を。
:
その時、私は本当に怖くて、どうしようもなくて
:
だけどある声が語りかけてきた
:
『君にはそれに抗う力がある。だから怯えないで』、と
:
その声は同時にこう語りかけてきた。
:
『だけど君にはまた別の試練が待ち受けている。それはどんなものか、僕にもまだわからない』
:
『だけど挫けないで。君の中の心、その光を信じるんだ』
:
そう言い終えてからの事は、よく覚えてない。
:
:
:
「ん……?夢……?」
暁美ほむら :
「なんだったんだろう……あれ…」
暁美ほむら :
「って、うわぁ!?もうこんな時間!?」
暁美ほむら :
「急がなきゃ……!!」
暁美ほむら :
退院してからそれなりに時間が経ったけど、あんまり上手く行ってる感じはしない。
暁美ほむら :
気弱でどんくさいから、色んな所でミスをしちゃうし
暁美ほむら :
友達とかも……まだ出来てないと思う。
暁美ほむら :
おまけにあんな変な夢も見ちゃうし…
暁美ほむら :
まあ……とりあえず、今日も頑張ろう。
暁美ほむら :
「えっと、スマホスマホ………」
暁美ほむら :
「………?」
暁美ほむら :
「何、これ?」
暁美ほむら :
「聖盃………戦争…………?」
:
:
:
:
『また倒れたのか、失敗作め』
:
これは、何?
:
『困った時は友だちに甘えるもんだ、そうだよな?』
:
誰が、喋ってるの…?
:
私は……誰……?
:
『そうだ!今度の休暇、3人で海に行かないか?』
:
「海?どうして急にそんなこと…」
:
思い出せない………
:
「私が勝手に消えようとしてるだけ……」
:
『駄目だ!!』
:
『また3人で を…』
:
この男の子は…?
:
……分からない、私は………。
:
:
暁美ほむら :
そんなことから巻き込まれたこの戦争。
暁美ほむら :
私と一緒になってくれたサーヴァントは、どうやら記憶がないらしくて
暁美ほむら :
顔もあんまり見せてくれなくて、ハッキリしない
暁美ほむら :
だけど優しい人な事は、なんとなく分かった。
暁美ほむら :
わけもわからずこの戦争に怯えてる私に、辞退を勧めてくれたから。
暁美ほむら :
でも、どうやらそれはできないみたいで
暁美ほむら :
何でかは、この人にとっても分からないらしい。
暁美ほむら :
……これから私は、どうしたらいいんだろう。
暁美ほむら :
この英霊らしい女の人と、二人でなんとか…やっていくしかないのかな……。
暁美ほむら :
…………
暁美ほむら :
優しい人だとは思うけど、せめて
暁美ほむら :
顔は、ハッキリ見せてほしいな…。
暁美ほむら :
そうした方が、安心できるから………。
暁美ほむら :
どうしてそんなに深く、フードを被ってるんだろう……………?
暁美ほむら :
暁美ほむら :
暁美ほむら :
暁美ほむら :
暁美ほむら :
「…………?」
暁美ほむら :
"意味不明なチラシ"を見つける
暁美ほむら :
「………なんでしょうかこれ?」
:
「えーっと………」
:
「なんだろう……?」
暁美ほむら :
二人して首をかしげているのでした。
暁美ほむら :
暁美ほむら :
暁美ほむら :
暁美ほむら :
暁美ほむら :
「夜……」
暁美ほむら :
思い浮かべるのは、あの奇妙な宣伝。
暁美ほむら :
そこに写っていた彼女は、怖いくらいに表情が豊かな少女だった。
暁美ほむら :
彼女は……一体…………
セイバー :
「………どうする?」
暁美ほむら :
「私は……」
暁美ほむら :
最初はただ、よくわからなかっただけだったけど
暁美ほむら :
今はただ、怖い。
暁美ほむら :
戦いの中に身を委ねて、得体の知れないあの言動を見て
暁美ほむら :
私は……行きたくない………
暁美ほむら :
………だけど
暁美ほむら :
セイバーさんは、私のために動いてくれた。
暁美ほむら :
あの男の人がどんな人なのか知るために、そして交渉するために。
暁美ほむら :
……だから私も
暁美ほむら :
少しは、自分の手で自分の身を、守るためにも
暁美ほむら :
まずは彼女の事を、知りたい。
暁美ほむら :
「………………」
暁美ほむら :
「………行って、みます」
セイバー :
「………うん、わかった」
セイバー :
セイバー :
:
:
:
1日目 夕方
:
暁美ほむら :
ふと歩いてると、セイバーさんが何か気になっている様子を見せていた。
暁美ほむら :
時計台
この街でも有名な
高くて、展望場所もあって
暁美ほむら :
ずっとその方向を見ていて
なんだか気になってるような感じで
セイバー :
「……」
暁美ほむら :
「………行ってみます?」
セイバー :
「……いいの?」
暁美ほむら :
「特に…駄目な理由もありませんし…」
セイバー :
「……うん、行ってみる」
暁美ほむら :
暁美ほむら :
暁美ほむら :
そうして私たちは時計台へ
暁美ほむら :
そしてその展望場所へと向かう。
暁美ほむら :
そしてその途中………
セイバー :
「…」
暁美ほむら :
またセイバーさんが、何か気になっている風で
暁美ほむら :
今度は……自販機?
暁美ほむら :
展望場所があるフロアに、ぽつんと置いてある、それが気になるみたいだった。
暁美ほむら :
その自販機には、スーパーやコンビニでも見るような、色んなアイスが並んでいて。
暁美ほむら :
珍しい……のかな?
セイバー :
「……」
がさごそ、と
ダメ元感覚で自身の懐を探る。
セイバー :
「…………………」
特に何もなかったようだった。
暁美ほむら :
「………」
食べたいんだ……………………
暁美ほむら :
………よし。
暁美ほむら :
「……どれがいいですか?」
セイバー :
「…いいの?」
暁美ほむら :
「はい。セイバーさんにはずっと助けられてますから」
セイバー :
「…ありがとう」
セイバー :
「じゃあ、これ」
セイバー :
「二人で、どうかな?」
暁美ほむら :
「……はい!」
暁美ほむら :
セイバーさんが頼んだのは、売ってるものの中でも安めのアイスだった。
暁美ほむら :
遠慮してるのかな?って一瞬思ったけれど、それは多分違う。
暁美ほむら :
だって、セイバーさん
暁美ほむら :
ずっとそのアイスを見ていたから。
暁美ほむら :
どこでも見かけるやつだけど
味がいつもと微妙に違う
暁美ほむら :
そんなアイスを、ずっと見ていた。
アイス :
○リ○リくん ちょっぴりしお味
暁美ほむら :
こんなのあったんだ……
暁美ほむら :
珍しいから、気になるのかな?
暁美ほむら :
暁美ほむら :
暁美ほむら :
そうして私たちは、展望場所へ
セイバー :
「……………………」
暁美ほむら :
夕日で赤く染まる、街全体を
セイバーさんはじっと眺めていた。
暁美ほむら :
「ここ、綺麗な景色が見れるって、割りと有名なんです」
セイバー :
「うん…綺麗」
セイバー :
………なんだろう、この感じ。
セイバー :
なんだか…わからない……。
セイバー :
でも、嫌な感じなんかじゃない。
セイバー :
「………そろそろ」
セイバー :
「アイス、食べよっか」
暁美ほむら :
「…………はい!」
暁美ほむら :
「どうぞ」
暁美ほむら :
手に持っていたアイスを渡す。
暁美ほむら :
するとセイバーさんはアイスを食べる前に
暁美ほむら :
深く被っていた、そのフードを脱いだ。
セイバー :
暁美ほむら :
その顔は、想像していたよりかなり幼くて
暁美ほむら :
私よりちょっとだけ歳上のような
そんなくらいに見えた。
セイバー :
そのまま静かにアイスをかじる。
暁美ほむら :
私たちが買ったアイスは
見た目は普段一番よく見かける味と全然変わらなくて
暁美ほむら :
だけど食べてみると、1つハッキリとした違いがあった。
暁美ほむら :
「…思っていたより、結構しょっぱいですね」
セイバー :
「そうだね」
暁美ほむら :
セイバーさんは微笑みながらそう言った。
暁美ほむら :
こんなに…明るい表情浮かべる人だったんだ…セイバーさん。
セイバー :
景色を見ながら、ただアイスを食べている。
暁美ほむら :
なんだか、こうしているだけで嬉しそう。
セイバー :
「よく分からないけど、懐かしい感じがする」
暁美ほむら :
「………!」
暁美ほむら :
「記憶……戻ったんですか……!?」
セイバー :
「分からない、でも」
セイバー :
「こういうの、初めてじゃないって…」
セイバー :
「そんな気がする」
暁美ほむら :
「もしかしたら、過去に似たような経験をしてたのかもしれませんね」
セイバー :
「かもね、ふふっ」
:
:
:
『じゃあ、 にご褒美だ』
:
「えっ?」
:
『特別な場所』
:
この男の子は、誰?
:
「こんな所があるなんて、知らなかった」
:
ここは…どこ…?
:
『はい、これ。』
『食べてみて。』
:
「甘くて、しょっぱい」
:
『いつも任務の後、 と一緒にここで食べる』
:
『 がこのアイス好きなんだ』
:
「 も好きなんでしょう?」
:
『機関に初めて来た時、 とこの場所でアイスを食べたんだ』
:
『それから、初めての任務の後、 がご褒美だってアイスを食べさせてくれた』
:
「さっきの みたいに?」
:
『ああ』
:
『 が戻ってきたら3人でアイスを食べよう』
:
「うん」
:
:
暁美ほむら :
「アイス…おいしかった、ですね」
セイバー :
「うん」
セイバー :
「また、ここに来たいな」
暁美ほむら :
「え?」
セイバー :
「アイスも、食べたい」
暁美ほむら :
「……はい!!」
暁美ほむら :
「また一緒に来ましょう!」
セイバー :
「うん」
セイバー :
セイバー :
セイバー :
セイバー :
セイバー :
セイバー :
無性に嫌な予感がする。
セイバー :
何が起きるかは分からない。
だけど、絶対に起こさせない。
セイバー :
この子が消え去るなんてそんな事。
暁美ほむら :
「セイバーさん……私…………」
暁美ほむら :
「どうなっちゃうん……でしょうか…………」
セイバー :
「あたしがなんとかする。してみせるから」
暁美ほむら :
「はい……ありがとう……ございます……………」
セイバー :
この世界から存在しなくなるなんて、そんな事…………。
セイバー :
セイバー :
:
:
『哀れ心無きハートレスは心を集める。』
:
『怒りのキーブレードは心を解き放つ。』
:
『心は闇に集い、やがてキングダムハーツとなる。』
:
『主を無くした人の心が織り成すキングダムハーツ。』
:
『我らはキングダムハーツとともに完全なる存在となる。』
:
:
存在しない者。ノーバディ。
:
それが今、あたしの頭に浮かんだ言葉。
:
:
:
:
『お前は誰だ…!?何故キーブレードを使う……!?』
:
:
『お前が何者かは知らないが、所詮偽りでは俺には勝てない』
:
『そのキーブレードも……まやかしだ』
:
「勝手なこと言わないで!!!」
:
:
セイバー :
セイバー :
「そろそろ、潮時かな」
セイバー :
「でも多分、これでいい」
セイバー :
単独行動EX
セイバー :
セイバー :