[朔] 緋衣南天 :
[朔] 緋衣南天 :
[朔] 緋衣南天 : 暗い闇の中、朧げに揺れる蝋燭の火
[朔] 緋衣南天 : 「…………何故」
[朔]
緋衣南天 :
意志力が強さに直結するのであれば、その座は間違いなくこの少女に渡されるであろう
だが、この世はそう甘い甘い世界では無い
[朔]
緋衣南天 :
そうであるならば、きっとこの体質は改善されていただろうに
されど、天は罰しか与えず
[朔]
緋衣南天 :
何故自分が"こう"であるのか
医師から余命とやらを申告され、その刻限が過ぎ早10年
[朔]
緋衣南天 :
今生きているだけの奇跡を、更なる奇跡で覆し上に行かなければならない
癌/ペスト/脳腫瘍/白血病………それら全てと向き合いながら
[朔]
緋衣南天 :
少女は1人召喚の儀を行う
それは希望/絶望への逃避/凱旋
[朔] 緋衣南天 : 陣が光り────
[朔] 緋衣南天 :
[朔] 緋衣南天 :
[朔] 緋衣南天 : あーあ。
[朔] 緋衣南天 : なんて皮肉な事でしょうね。
[朔] 緋衣南天 :
[朔] 緋衣南天 :
[朔] :
[朔]
:
とある場所
血に濡れたビルの窓際から、狼は目を細めて戦場を眺める
[朔]
白騎士シュライバー :
「キルバス……宇宙からの来訪者にアレは神格か
……となると、もしや」
[朔]
白騎士シュライバー :
「ま、どうでもいいか
……困るのは南天だからね。僕は何らデメリットが無い」
[朔] 白騎士シュライバー : 「精々聖盃の取得、頑張ってくれよ?」
[朔] 白騎士シュライバー :
[朔] :
[朔] :
[朔] 緋衣南天 : だから鬱なのよ
[朔] 緋衣南天 : 死病をトリガーに死病そのものが来るなんて
[朔] 緋衣南天 : まあ……
[朔] 緋衣南天 : 最高の─────
[朔] 緋衣南天 :
[朔] 緋衣南天 :
[朔] 緋衣南天 :
[朔] 緋衣南天 : 夢月にて眼を覚ます
[朔]
緋衣南天 :
本来の起床時間ではないのだが、無性に眼を覚ました
そこでは本来月光と薄く照らされるカーテンしか見えないのだが
[朔] 緋衣南天 : 私の網膜には────
[朔] 緋衣南天 : 煌びやかな空間が広がっていた
[朔] ???? : 「お目覚めかな?」
[朔] 緋衣南天 : 耳に響くのは、一種の精神的耐性を持っていなければ即座に頭を垂れ、跪くであろう覇気を纏った声
[朔] 緋衣南天 : 「目覚めたわ、で……貴方は私の役に立つのかしら」
[朔] ???? : それには声の主も僅かに沈黙した後
[朔]
???? :
「クッ………フフ……ハッハッハッハ!!!」
豪胆に笑う
[朔] ???? : 「そうか、卿はそうなのか」
[朔] 緋衣南天 : 「私は2択しか求めていない。役に立つか、役に立たないのか」
[朔] ???? : 「卿の渇望はそうなのかと訊いている」
[朔] 緋衣南天 : 「物事を理解した風に話すとしくじった時痛い眼を見るわよ?」
[朔] ???? : 「これは手厳しい事を──では、私も姿を現した方がいいかね?」
[朔] ???? : 「ああ、初めの質問に答えよう……もっとも卿であるならば理解しているのではないか?」
[朔] ???? : 「私に手を貸せば」
[朔]
緋衣南天 :
意識がぼやける
黒いモヤのようなものが私を包み込み始めて
[朔] ペイルライダー : 「───、─────。オ前 ハ ダメ ダ オ前 ハ ────────」
[朔] 黄金の獣 : 「容易く能うとな」
[朔] 緋衣南天 :
[朔] 緋衣南天 :
[朔] 緋衣南天 : カーテン越しに浴びた朝日の光は、いつもより暗く感じた。
[朔] 緋衣南天 :
[朔] 緋衣南天 :
[朔] 緋衣南天 : 召喚直後、時期的には戦争の少し前にあたるか。
[朔]
緋衣南天 :
ここまでの皮肉を出されるとは思いもよらなかったと。
眼前の黒いモヤを見ながら思う
[朔]
緋衣南天 :
それは誰よりも私に触れてきたもの。
誰よりも長く私と接してきたものだから。
[朔] 青騎士ペイルライダー : 「──問オウ、貴女ガワタシ、ノ、マスター、カ?」
[朔]
緋衣南天 :
黒いモヤのようなものに発声器官は見られないが、どこからか声が聞こえる
それが脳内に直接送られてきたものだと言うのには数秒の理解を有した
喋れるのかよお前
[朔]
緋衣南天 :
そして何より、無性に腹を立てた
立ててしまった。理由はわからない
口が開く
[朔]
緋衣南天 :
「違う。私は主人などでは無く、お前は従者などでは無い。
私はお前を克服しようとするもの。お前は私を蝕むもの」
[朔]
緋衣南天 :
「それでいいだろう
……チッ、召喚のガタが……お前思ったより大喰らいか?」
口元から血を垂らし、舌打ちをした上で
[朔]
青騎士ペイルライダー :
それに対し黒いモヤ…… ペイルライダーは腕を伸ばす
正確には腕などではないが、目の前の存在を模倣したかのようなか細いモヤの集まりを
[朔]
青騎士ペイルライダー :
「……願イ、叶エタイカ?
…………ワタシ、ナラ……暫クは、全力ヲ用イテモ負担ヲ最小限ニ……シテヤレル」
[朔]
緋衣南天 :
なるほどそこまで既に見抜くかああ鬱陶しい。
そうだその通りだ始まる前からリタイアなど文字通り死んでもごめんだ。
[朔] 緋衣南天 : ならば───
[朔]
緋衣南天 :
「私の為に利用されろ、そして事が済めば潔く消えろ
これらの条件と引き換えにお前に契約を持ち掛ける。私の為に働け、私の死神よ」
[朔]
青騎士ペイルライダー :
そう言われると同時に、 ペイルライダーのモヤは霧散し
緋衣南天と呼ばれる少女の元に少しずつ、少しずつ集う
[朔] 緋衣南天 : ────────
[朔]
緋衣南天 :
常人であれば何億と死んでいても不思議では無い無限とも取れる病と苦痛
それが一斉に降り掛かり意識を飛ばしたが、規格外とも言える生への執着はその程度で潰えはせず
[朔] 緋衣南天 : 目を開け、そこに映るのは三色の召喚サークル
[朔] 緋衣南天 : 光り輝くそこから現れた者達は───
[朔] 黒騎士マキナ :
[朔] 赤騎士ザミエル :
[朔] 白騎士シュライバー :
[朔]
緋衣南天 :
或いは真の意味で、緋衣南天にとっての死神となる三人が
異界の世界法則を流入させながら顕現した
[朔] 緋衣南天 :
[朔] 緋衣南天 :
[朔] :
[朔] :
[朔]
:
聖盃の幾分か後
[朔]
緋衣南天 :
「いざ生きるって宣言してもやる事ないと……無じゃない?」
[朔]
緋衣南天 :
念願の健康を手に入れたため、色んな医療機関にさようならを叩き付けたのはよかったが
今は逆に何もやる事が無い状態になってしまった
[朔]
緋衣南天 :
ほらあるだろ、タスクとか終わらせた後の達成感の暫く後に来る何したらいいかわからないヤツ
アレよ。
[朔]
緋衣南天 :
「……と言うか」
今はいない人物達に怒りを募らせる、当たる相手どころか物すらないのだが
[朔]
緋衣南天 :
「散々色々言っておいて明確な指針示さないとかどうなのよふざけてんじゃないぞわかるかそんなものッ!!」
[朔]
緋衣南天 :
「しかもあの後色々と話しようとした奴はどこか本当に遠くに消えてたとかふざけてるだろ!」
[朔]
緋衣南天 :
「いっその事このまま旅してやるか……何とかなるだろ」
戦争時での計算高さはどこへ行ったのやら、ヤケみたいな結論を下している
準備とか最低限で何とかなるだろ多分
[朔]
緋衣南天 :
「ああでもこうしてみると旅先では色々欲しいな……写真とかお洒落?とか……」
殆ど動くことのできない生活に、ほぼ固定されたような服装というのも何というべきか
健康になった今、そう言った当たり前のものにも目が行くようになってしまった
[朔]
緋衣南天 :
「趣味と友達も……まぁここは出来る気がしないので後回しでいいか………作り方も知らないし」
ぶつかるだけでなれるような単調な人ならいけますよ多分。他は絶対に無理
[朔]
緋衣南天 :
「…………そういやアイツが使ってたカードなんだっけな…………
聞いてたかな……聞いてなかった気がする」
調べて出たのはMT……違うなこれではないな……こっちか
[朔]
緋衣南天 :
「とりあえず後は流れで行くか……」
そう言うことになった
[朔] 緋衣南天 :
[朔]
緋衣南天 :
言語などは問題無かったのだが、割と敵を作る性格だったのが災いして旅は1ヶ月で終わった
阿片窟エリアには2度と行かねえ
[朔] 緋衣南天 :
[朔] 緋衣南天 : 趣味の方に関しては───
[朔]
緋衣南天 :
「これ結構いい気がするわね、相手を落とす所がかなりとても」
お目当てのカードとやらは手に入れてご満悦である
[朔] 緋衣南天 : 「……次会ったら仕掛けてみるか」
[朔]
緋衣南天 :
「ふふ…はははははははッ!!!」
この後一度他の人相手に模擬戦して盛大に負けたが
ここで語ることでもないだろう!
[朔]
緋衣南天 :
生きていることを噛み締めて、不死鳥の如くどこまでも自由に生きてやろう
自分の大義を掲げるなんてことまでは出来ないけど、誇れるように生きてやろうか
或いは人助けとやらに精を出してみるのも悪く無いのかもしれない
ああ、生きているのなら可能性はまだまだあるのだから
[朔] 緋衣南天 :
[朔]
緋衣南天 :
Thank you my LOVE my HERO
Good by truth my story
[朔]
緋衣南天 :
─────fin─────
[朔] :
[朔] :
[朔]
:
マテリアル
ペイルライダーはそもそも正規手段で召喚されるような代物ではなく、今回のような黙示録の面を強調する事などイレギュラー中のイレギュラーである
緋衣南天と言う少女が死病そのものと言っても過言ではない程に責苦を味わっていたことから、マスター本人が触媒として奇跡的に召喚されてしまった
ペイルライダーを更に触媒とし召喚された黒騎士マキナ……実在する英雄であるミハエル=ヴィットマンから更に連鎖的に2体が召喚され、結果として四騎の陣営が発生した
黒騎士に関しては、そもそも唯一無二の終焉を覆された事からあくまでも最低限の行動しか取ってはいない
叛逆の戦士の攻撃を止めることができず、錬金術師の暴風を受けた時点で潔く退く事を決意
赤騎士と白騎士の2体は召喚直後にペイルライダーの全性質を看破、緋衣南天を『死に直面させ続ける』事により『生きる』と言う渇望を極限まで高め、ペイルライダーの冥界生成能力から黄金の獣を降臨させる事を決意
ただし赤騎士は病院での戦闘で「偉大な人物がいるこの世界で行うのも相応しくない」と見切りを付ける
そこに悪魔がいた為か或いは別の理由からか、残りの騎士より上位の力を取得していた白騎士だけが最後まで目標達成に動いたが……結果は様々な陣営と向き合った為に前向きな成長を促すだけに留まった