[メイン3] 藤原妹紅 :  

[メイン3] 藤原妹紅 : ──戦争開始前。魔術師の家

[メイン3] 藤原妹紅 : 跡地にての記録

[メイン3]   :  

[メイン3]   : 視界が揺らぐ、足取りがおぼつかず
歩むことさえままならない

[メイン3]   : 一見安定した霊基はその実次の瞬間崩れ落ちたとておかしくはない
そんな中、目の前の陣が光出す

[メイン3] スパルタクス : 「召喚に応じ参上した……突然だが、君は圧政──む?」

[メイン3] スパルタクス : 召喚されてみれば、辺りは炎に赤く彩られ
煙は室内を埋め尽くし

[メイン3] スパルタクス : 少し観察を続ければ
そこは魔術師の工房であり。数多の拘束具が並んでいたが……

[メイン3] スパルタクス : ──この時点でスパルタクスは、マスターの抹殺を決意した──

[メイン3] スパルタクス : そして、煙の中。二つの影が見える
圧政者であれば打ち倒し、奴隷であれば解放する その意思の元進めば…

[メイン3] 藤原妹紅 : 「……アンタが、サーヴァントって奴? すごい格好だな」

[メイン3] 藤原妹紅 : 「アンタのマスターはそこでロースト……いや、これじゃあ炭ね」

[メイン3] 藤原妹紅 : 苦笑いを浮かべながら、真っ黒な遺体を指差す

[メイン3] 藤原妹紅 : 少女は疲れ切った表情のまま
刃を持った巨漢を前に抵抗の色をまるで見せない

[メイン3] スパルタクス : 「…しかし、君は令呪を持っているようだがね」

[メイン3] スパルタクス : スパルタクスの瞳は未だ鋭く
口元は頬を大きく歪めている

[メイン3] スパルタクス : 大焔の最中において
スパルタクスの為すことは何も変わりはしない

[メイン3] 藤原妹紅 : 「ん…? 途中で暴れ出したせいか、故障でもしたのかしら…」

[メイン3] 藤原妹紅 : 「…持ってても仕方ないけどね。こんなの、いるならあげるわよ?」

[メイン3] スパルタクス : 「いや、結構……ふむ。君は、サーヴァントでありマスター…これは」

[メイン3] スパルタクス : 「支配されているのか、しているのか……複雑だな」

[メイン3] 藤原妹紅 : 「…そっちも成功してたか。 なら、後は焼け死ぬだけね」

[メイン3] スパルタクス : 「…むう?」

[メイン3] 藤原妹紅 : 「……ここには、聖盃が目当てで来た」

[メイン3] 藤原妹紅 : 「あのシステムの中に魂を放り込めば……もう、復活する事はない」

[メイン3] 藤原妹紅 : 「永い人生に一区切りってね」

[メイン3] 藤原妹紅 : そう呟く妹紅の瞳には深い絶望は無かった
だが、同様に光を宿してもいなかった

[メイン3] 藤原妹紅 : ただ、ただ、ただただ続き続ける倦怠感と
いずれ来る別れの日

[メイン3] 藤原妹紅 : 何よりも、何一つとして果たせない自分に対し
妹紅は諦観を抱き…

[メイン3] 藤原妹紅 : 「…以上。 マスターが欲しいなら、触媒なりは用意できるけど」

[メイン3] 藤原妹紅 : 「…そういえば、名前を聞いてなかったね」

[メイン3] スパルタクス : 「──おお、失礼をした。我が名はスパルタクス! 遍く圧政に対し愛を持って挑む者!」

[メイン3] スパルタクス : 「マスターは不要だ、何故なら…」

[メイン3] スパルタクス : 「“同士“!君が、私の現界を支え。 私が未熟なる君の身体を守るからだ!」

[メイン3] スパルタクス : 高笑いを上げながら、スパルタクスは座り込む妹紅に対し手を差し伸べる

[メイン3] スパルタクス : 「君の果てなき道へ挑む事への焦燥は。私にも痛いほど理解できる」

[メイン3] スパルタクス : 「だが友よ、叛逆を忘れてはならない」

[メイン3] スパルタクス : 「君が歩んだ道も、目指した夢も。何も終わってはいないのだ!」

[メイン3] スパルタクス : スパルタクスは魔力を含んだ業火の中、肌が焦がされるも構わず演説を続ける

[メイン3] スパルタクス : その言葉に迷いは無い
何故なら彼は信じているから

[メイン3] スパルタクス : その瞳に嘘はない
何故なら彼は知っているから

[メイン3] スパルタクス : 「耐え抜いた先にこそ! 私達の願いがある!」

[メイン3] スパルタクス : 「その光景を共にこの目に焼き付けようではないか! 同士よ!」

[メイン3] 藤原妹紅 : 「────」

[メイン3] 藤原妹紅 : 「ハハ」

[メイン3] 藤原妹紅 : 焦げつき、真っ黒に染まった肢体
白髪は燃え上がり。蓬莱人の人生は後もう少しで終わる

[メイン3] 藤原妹紅 : だが──

[メイン3] 藤原妹紅 :  

[メイン3] 藤原妹紅 : 『リザレクション』

[メイン3] 藤原妹紅 :  

[メイン3] 藤原妹紅 : 炸裂する様に魔力が弾け、その中心に
全盛を取り戻した少女が笑う

[メイン3] 藤原妹紅 : 「…そこまで言ってもらって、何もしないのも不義理だ」

[メイン3] 藤原妹紅 : 「アンタがくたばるまでは付き合うよ、だがそこから先は──」

[メイン3] スパルタクス : 「その言葉だけで充分だ! さあ!共に行こう!戦いの大地へ!」

[メイン3] スパルタクス : 「さあ!共に一つ戒めを打ち砕こう!」

[メイン3] 藤原妹紅 : 「あー……”これ“か?」

[メイン3] スパルタクス : 「無論だとも! 枷を砕き!飛び立つ時!」

[メイン3] 藤原妹紅 : …リソースの無駄だが何度も焼け死にながら脱出するのも芸が無いか

[メイン3] 藤原妹紅 : 「令呪を持って……あー」

[メイン3] スパルタクス : 「ハッハッハッハッハ! 気にする事はない!我らは同士だ!」

[メイン3] 藤原妹紅 : 「じゃ、遠慮なく……」

[メイン3] 藤原妹紅 : 「命じる!」

[メイン3] 藤原妹紅 : 「飛べ!バーサーカー!! この悪趣味な屋敷からさっさと抜け出そう!!」

[メイン3] スパルタクス : 「応ッ!!!!」

[メイン3] スパルタクス : ロケットの如く魔力を放出したスパルタクスは、そのまま空へと妹紅を連れ飛び上がっていく

[メイン3] スパルタクス : ここから二人の激しい戦いが始まり
両者共に満足のいく終わりを得た

[メイン3] 藤原妹紅 : 藤原妹紅はいつか。ここで死なぬ事を悔やむのかもしれない

[メイン3] 藤原妹紅 : だが、それでも

[メイン3] 藤原妹紅 :  

[メイン3] 藤原妹紅 : 「ここで得たモノだけは誇るとするさ。随分と周り道をしたけどね」

[メイン3] 藤原妹紅 :