[物語の狭間] ダニエル :  

[物語の狭間] ダニエル : 紅蓮に滾る街

[物語の狭間] ダニエル : 炎が燃え盛り、金切り声や悲鳴すら聴こえる街に
鬼は1人

[物語の狭間] ダニエル : ダニエル・フォン・バレンタイン
優秀な魔術師であり、時に支離滅裂な言動こそ行うが、基本的には生真面目…のように振る舞う者

[物語の狭間] ダニエル : 「……しかしまぁ、新西暦と比べて随分と平和ボケが加速してるものだなぁ」
などと曰うこの男の手元には、入れ墨のようなものが

[物語の狭間] ダニエル : 正夢、或いは虚言癖
しかし確かにこの男は、この世界には無いようなものすら知っており

[物語の狭間] ダニエル : だからこそ、目の前の大破壊を繰り広げる事が出来たのは言うまでもなかった

[物語の狭間] ダニエル : ぐしゃり、魔術師の頭を踏み潰す

[物語の狭間] ダニエル :  

[物語の狭間] ダニエル :  

[物語の狭間] ダニエル : 街に着く
人気も多く、霊地も多そうだ

[物語の狭間] ダニエル : 何故ここに来たかと言われるならば、ある戦争の為

[物語の狭間] ダニエル : 己の欲を満たす為

[物語の狭間] ダニエル : 「……でもなぁ」

[物語の狭間] ダニエル : 「お前は想定外だろ」

[物語の狭間] ダニエル : 苦笑混じりに、従者へと

[物語の狭間] ダニエル : 「いいぜ、なら俺が頂点に君臨してやる…」

[物語の狭間] ダニエル : 「そのためには」

[物語の狭間] ダニエル : 「物語から、だろうなぁ」

[物語の狭間] ダニエル :  

[物語の狭間] ダニエル : 「まーもっとも」

[物語の狭間] ダニエル : 「テメェはこれがある限り俺の言いなりだろ?」

[物語の狭間] ダニエル : 「ギャハハハハハハハッッ!!」

[物語の狭間] ダニエル :  

[物語の狭間] ダニエル :  

[物語の狭間]   :  

[物語の狭間]   : 「ミカ・ジャウカーン…未だに全容こそ不明だが、願いに賭ける確かな大志…忠義と呼ぶべき点も含めて+65点」

[物語の狭間]   : 「間桐慎二……その生まれと他の才を評価、但し精神性では大きく劣る…差し引き+5点」

[物語の狭間]   : 「岸波白野……その生まれから得るのも納得といえるその願い…そして我がマスターに話しかけるあの精神性…+76点」

[物語の狭間]   : 「しかし何より素晴らしいのは不破茜か。英霊という刀が折れて尚あの精神性、文字通りの狂気ではあるが、逆境でも歪まないあれには+95点としようか」

[物語の狭間]   : 「それに比べて私のマスターは……」

[物語の狭間]   : 「−45点かね、今のところは」

[物語の狭間]   :  

[物語の狭間] ギルベルト・ハーヴェス :

[物語の狭間] ギルベルト・ハーヴェス : 「……ロックスター、願いは兎も角……何が判明した時に駆け付けるのはサーヴァントの精神性由来か否か…+15点」

[物語の狭間] ギルベルト・ハーヴェス : 「不破茜も変わらず。確固たるその精神性を評価し+25点」

[物語の狭間] ギルベルト・ハーヴェス : 「ダニエル・フォン・バレンタイン……君は−65点、と言ったところか」

[物語の狭間] ダニエル・フォン・バレンタイン : 「待てよ審判者、令呪権は俺にあるんだぜ?適当な採点していーのか?」

[物語の狭間] ギルベルト・ハーヴェス : 「嘘を垂れ流す事に加え、詭弁を垂れ他者を偽るその見下げ果てた精神にこの点数で済ませてやることは慈悲ではないかね?」

[物語の狭間] ダニエル・フォン・バレンタイン : 「口が減らねェな?思えばアドラーの時からテメェはずっとこうだったかァ?」

[物語の狭間] ギルベルト・ハーヴェス : 「沈黙で返そうか。それに実働は私である事を忘れないように」

[物語の狭間] ギルベルト・ハーヴェス : 「───マルスよ、審判は等しく訪れるものであるということは忘れないように」

[物語の狭間] ダニエル・フォン・バレンタイン : 「……ッチ」

[物語の狭間] ダニエル・フォン・バレンタイン : 「まァいいわ、あのデカブツ(武神)をそろそろ何とかしようぜぇ!」

[物語の狭間] ダニエル・フォン・バレンタイン : 「全ては大義と正義の為に、ってなぁ!」

[物語の狭間] ダニエル・フォン・バレンタイン : 「ギャハハハハハハハッッ!!!」

[物語の狭間] ダニエル・フォン・バレンタイン :  

[物語の狭間] ダニエル・フォン・バレンタイン :  

[物語の狭間]   :  

[物語の狭間]   : ──何時とて、審判者の断罪は何人にも訪れるものである
それは殺塵鬼のダニエルですら例外では無いことに、未だ誰も気が付かないだろう

[物語の狭間] ギルベルト・ハーヴェス : 「総合評価−370点だ。マルス-No.ε。やり過ぎたな」

[物語の狭間] ギルベルト・ハーヴェス : 何処かにて、不気味にも笑みを浮かべる

[物語の狭間] ギルベルト・ハーヴェス : 「───……」

[物語の狭間] ギルベルト・ハーヴェス : 約束の刻までは、残り僅かだ。

[物語の狭間] ギルベルト・ハーヴェス :  

[物語の狭間]   :  

[物語の狭間]   : ダニエル・フォン・バレンタインは、本人の言う通り
数多の命で造られ、更にその集団で殺し合いにまで参加させられたという過去を持つ

[物語の狭間]   : だからこそ、自分の為に命を散らした人間の為にも願いを叶えようと奮闘するのだ……
そう、他のマスターたちが犠牲になったとしても……

[物語の狭間]   : そう言った過去があるからこそ、彼は止まら────────────

[物語の狭間]   :  

[物語の狭間] ダニエル・フォン・バレンタイン :  

[物語の狭間] ダニエル・フォン・バレンタイン : あるわけねえだろ、そんなものッ

[物語の狭間] ダニエル・フォン・バレンタイン : そんな過去は嘘っぱち
彼を本当に知るものならば鼻で嘲笑うだろう

[物語の狭間] ダニエル・フォン・バレンタイン : そんな過去は一切無い
……では、何者なのか

[物語の狭間] ダニエル・フォン・バレンタイン : 彼が生まれながら人を殺したくて堪らない衝動を抱えたナチュラルボーンキラーだったということ

ただ、それだけである

[物語の狭間] ダニエル・フォン・バレンタイン : しかし、魔道の道に生まれてなお思ったことがあったのだ

何の理由もなく殺人を犯してはいけない不条理を

[物語の狭間] ダニエル・フォン・バレンタイン : 最初は衝動を抑えて生きようと男は努めた。
だが、そうした対処は全て失敗しいずれ人殺しをしてしまうのは避けられないと理解した。

[物語の狭間] ダニエル・フォン・バレンタイン : そして男はある結論に至った。

そうした自分でも受け入れて明るく前向きに生きていこうと。

[物語の狭間] ダニエル・フォン・バレンタイン : ではどうする?明るく生きるためには、生を愉しまなくちゃあいけない。

前向きに、生きていくためには、目標がいるだろう。

……そうして男は方針を決めた。
人気者になろうと。

[物語の狭間] ダニエル・フォン・バレンタイン : 今の嘘は口から出任せ。

そうすれば同情する者が出るからだ。

[物語の狭間] ダニエル・フォン・バレンタイン : 人気者がやるなら肯定がされやすくなる。
悪徳な男を殺し、貪られていた者に救いを与えた。
戦場に行き己の持論による戦場のあり方を解いた。

これは、前までの他の国での生き方

[物語の狭間] ダニエル・フォン・バレンタイン : それらは全て物語における人気者の形であった。
故に男にファンが出来て男の死虐の手伝いとなったのは自明の理だろう。

[物語の狭間] ダニエル・フォン・バレンタイン : ────例えばだ

[物語の狭間] ダニエル・フォン・バレンタイン : 何の理由もなく、民を虐げる醜男か

恋人の為に民を虐げる美女か

[物語の狭間] ダニエル・フォン・バレンタイン : そして、罪を暴かれた時

果たしてその罪が軽くなるのはどちらだ?

[物語の狭間] ダニエル・フォン・バレンタイン : 醜男には、罵詈雑言しか飛ばぬだろう

[物語の狭間] ダニエル・フォン・バレンタイン : しかし、後者は?

[物語の狭間] ダニエル・フォン・バレンタイン : 「かわいそう」「何とかしてやりたい」
そう思わせる何かがあるのではないか?

[物語の狭間] ダニエル・フォン・バレンタイン : それこそが物語を追い求める理由。

[物語の狭間] ダニエル・フォン・バレンタイン : どちらもやっている事は変わらないのになァ?

[物語の狭間] ダニエル・フォン・バレンタイン : だからこそ、ダニエル・フォン・バレンタイン
或いはマルス
求めるものはただ一つ

[物語の狭間] ダニエル・フォン・バレンタイン : 『人を殺しても罪に問われない殺人許可証の入手』

[物語の狭間] ダニエル・フォン・バレンタイン : なァ集まった英雄達よォ
俺にもくれよそれを

[物語の狭間] ダニエル・フォン・バレンタイン : 英雄譚と言う、人殺しを賞賛奨励肯定をする讃歌をよォ!!

[物語の狭間] ダニエル・フォン・バレンタイン : ギャハハハハハハハハハハ!!!!

[物語の狭間] ダニエル・フォン・バレンタイン :  

[物語の狭間] ダニエル・フォン・バレンタイン :  

[物語の狭間]   :  

[物語の狭間] ギルベルト・ハーヴェス : 「殺塵鬼」

[物語の狭間] ダニエル・フォン・バレンタイン : 「…ァア?今夜で使える魂を……」

[物語の狭間] ギルベルト・ハーヴェス : 『令呪をもってギルベルトハーヴェスに命ずる』

[物語の狭間] ギルベルト・ハーヴェス : 『3画全てを私の糧にしろ』

[物語の狭間] ダニエル・フォン・バレンタイン : 「……ぁ?」

[物語の狭間] ダニエル・フォン・バレンタイン : 手の甲を見る。
何言ってん………

[物語の狭間] ダニエル・フォン・バレンタイン : ねぇ!?

[物語の狭間] ダニエル・フォン・バレンタイン : 俺の令呪が…無い!?

[物語の狭間] ダニエル・フォン・バレンタイン : 「テメェ!!」

[物語の狭間] ギルベルト・ハーヴェス : 「……侮りすぎたね」

[物語の狭間] ギルベルト・ハーヴェス : 「私が7日もあってこの程度のシステムを見破れないと?」

[物語の狭間] ギルベルト・ハーヴェス : 「令呪システムの解析。これさえ出来ればマスターは不要だ」

[物語の狭間] ギルベルト・ハーヴェス : 「魂喰いを何度も行い、しかも"勝利のためでは無く自分の欲を満たすため"行った君は既に採点を済ませていたのだよ」

[物語の狭間] ダニエル・フォン・バレンタイン : 「だったらここで俺が殺せばもう問題ねェよなァ!?審判者もくれよ!殺人許可証をなァ!!」

[物語の狭間] ダニエル・フォン・バレンタイン : 「超新星────」

[物語の狭間] ギルベルト・ハーヴェス :  Metalnova St.stigma Elysium
「超新星──楽園を照らす光輝よ、正義たれ」

[物語の狭間] ギルベルト・ハーヴェス : 「さらばだマルス」

[物語の狭間] ギルベルト・ハーヴェス : 与えた衝撃を多重化し、対象に付着させる宝具
2日前ほどに仕込み、この場で起爆させたのだ。

[物語の狭間] ダニエル・フォン・バレンタイン : 埋め込んだオリハルコンの結晶ごと、それらは脆く叩き崩される
能力の相性を上回る、絶対的な英霊との差により───

[物語の狭間] ダニエル・フォン・バレンタイン : 「俺…は……殺し……を………!」

[物語の狭間] ギルベルト・ハーヴェス : 指を鳴らす。
それこそが、トドメの合図。

[物語の狭間] ダニエル・フォン・バレンタイン : ダニエル・フォン・バレンタインは

その音を聞くまでも無く、その姿形を崩した

[物語の狭間] ギルベルト・ハーヴェス : 「───さて」

[物語の狭間] ギルベルト・ハーヴェス : 「全ては心一つなり」

[物語の狭間] ギルベルト・ハーヴェス :  

[物語の狭間] ギルベルト・ハーヴェス :  

[物語の狭間]   :  

[物語の狭間]   : ───聖盃戦争初日───

[物語の狭間]   : 喚び出された男は淡々と、まずは一つの作業を行うこととした

[物語の狭間]   : 令呪システムの解析、掌握
高次のキャスターであれば可能かもしれないそれの実現の為に
理論の解析から始めようとする

[物語の狭間]   : 結論から言うのであれば、殺塵鬼の眼を掻い潜って彼がそれの実現に成功したのは7日目であった
もっとも、理論は4日目で完全把握した上だったようだが

[物語の狭間]   :
     ・・・・・・
まだ、彼がその解析だけにその全リソースを割いた時期である

[物語の狭間]   : 75%程を解析した辺りで、2日目の朝を迎える

[物語の狭間]   :  

[物語の狭間]   : ───2日目────

[物語の狭間]   : 使い魔など碌に使わない主従であった為、相手をその目で見ようと赴くことになった
この際、他の陣営とも遭遇する事は"想定内"

[物語の狭間]   : むしろ、この際に他の陣営と接触しない方が
彼にとっては計算外なのかもしれない

しかし、そんなものは簡単に打ち崩せるものだ

[物語の狭間]   :  

[物語の狭間]   : 昼、これにてほぼ全ての陣営と接触を果たす。
都合良く行き過ぎではあったが、彼ならこう答えるだろう

[物語の狭間] ギルベルト・ハーヴェス : 『全ては不屈の努力と普遍の意志だ』

[物語の狭間]   : 布石が、盤上に打ち込まれた

[物語の狭間]   :  

[物語の狭間]   : ───3日目───

[物語の狭間]   : この時点で、動かない最後の陣営以外との接触に成功する
同時に、この街の全ての建造物を含めた全構造についても、彼は把握を完了させた

[物語の狭間]   : 何せ、それも兼ねて出歩いていたのだから

殺塵鬼の魂食いを放置していたのも、ある策謀の為

[物語の狭間]   : 天災が如き布石が街に撃ち込まれた

[物語の狭間]   :  

[物語の狭間]   : 時は経つ 不完全な神を持つ陣営の脱落により
時が起つ 取るに足りない砂粒の覚醒により
時を断つ 最後の安息と共に

[物語の狭間]   : 大凡を"視た"審判者が、その歩みを明確にする

[物語の狭間]   : ギルベルト・ハーヴェス

人類の上限値を見たことにより歪んだ覚醒を得た、光の奴隷が

[物語の狭間]   :  

[物語の狭間]   : 死後裁判は開かれた

英雄達よ、今を生きる猛者達よ
彼の法廷に凛と立て
安堵せよ、諸君らは極楽浄土への資格があるのだ

軽薄な殺塵鬼より余程、余程君達はここに居座る権利があるのだから

[物語の狭間]   : ──7日目にして行われる
極楽浄土を齎す、白夜の審判

始まりから今に至るまで、汝らは何を成しただろうか

闇雲に時間を空費しただけなのならば、審判者はそれを見逃さない

[物語の狭間]   : それら全ては炯眼が見通す

     キ     セイギ
総ての者よ斯くがいい、光に奉仕する英霊の鼓動を

この熱狂にして清浄なる福音を!

[物語の狭間]   : 幕が開けた

[物語の狭間]   :  

[物語の狭間]   :