[某所] 岸波白野 : ───誰かの声が聞こえる この声は 誰の──

[某所] 岸波白野 : ───ふと、目を覚ます。意識がまだはっきりしない頭を押さえ、周囲の状況を把握するために立ち上がる。

[某所] 岸波白野 : そして周囲を見渡し、見慣れぬ景色だと思ったところで、ふと、気が付く

[某所] 岸波白野 : ───自分は、誰だ?

[某所] 岸波白野 : 名前は思い出せる、言葉も話せる。だが、自分を自分だと確信できる情報を──記憶を、何一つ持ち合わせていないのだ

[某所] 岸波白野 : ただ意味も分からぬままにポケットに入っていたスマホを取り出す。
そこには、今日の日付と訳の分からぬ文章が刻まれているメールが開かれた画面があった。

[某所] 岸波白野 : そして──端末は暗転する。そして光り、それを五度繰り返した。

[某所] 岸波白野 : そして───

[某所] 岸波白野 : ───運命と出会った。

[某所]   :

[某所] 岸波白野 : 何故、危険を犯してまで彼女の戦いを見届けたいと思ったのかはわからない。

[某所] 岸波白野 : 彼女とは、分かり合えない──────
ああ、確かに自分はそう確信し、それは今でも変わらない。

[某所] 岸波白野 : それでも、見届けたいと思ったのは、何故、彼女は自分の命を賭してでも、願いを叶えたいのか。それを知りたかったのと。
そして何より───本当の自分の願いとは、何なのだろうか。その答えを、少しでもいいから知りたかった────

[某所] 岸波白野 :

[某所] 岸波白野 : ──────戦いは、終わった。突然船が出てきたことにも、それを少女が一撃で破壊したことも。もはや驚くことではない。

[某所] 岸波白野 : だが、ふと、思う。
────今は何もなかった。だが、これが何回も起こるとすれば?もし、自分のように、巻き込まれるものがいたら?

[某所] 岸波白野 : ──────それは、ダメだ。絶対に、あってはならない。ああ───何故、分かり合えないのか?その答えが分かった気がする。

[某所] 岸波白野 : そして、自分の願いも。
そうだ。自分が見つけた答えは────

[某所] 岸波白野 :   

[某所]   :

[某所] 岸波白野 : ──────そうか、それが君の本当の姿なんだね、ザビエル。

[某所] 岸波白野 : これは…君のマスターではない。友人としての願いだ。

[某所] 岸波白野 : どうか──────願いを叶えるその時まで、共に戦ってほしい。

[某所]   : ─────

[某所] 岸波白野 : ああ…ありがとう。

[某所] 岸波白野 :

[某所]   :

[某所]   : ──────

[某所]   : それが、あなたの見つけた願いならば。

[某所]   : 私は、この身を賭してその願いを叶えよう。

[某所]   : たとえその先に、その世界に、あなたが存在しないとしても。

[某所]   : あなたはそれを知っても、きっと同じことを願うから。

[某所]   : だからこそこの命──────あなたのために、使うと誓おう。

[某所]   : 愛する人のために。

[某所]   :

[某所]   : ────

[某所]   : そして、彼の聖盃戦争は終わりを迎える。

[某所]   : 記録も残らず、軌跡も辿れず。

[某所]   : 彼という存在は、その痕跡すら残さず消失した。

[某所]   : ああ、それでも、どうか。

[某所]   : 彼が出会った人に。

[某所]   : 彼が、生きた証が、刻まれますように。

[某所]   :