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譲崎ネロ

「あ～～～～～～～～～～」

譲崎ネロ

「なんかこう……！！」

譲崎ネロ

「効率よくお金稼ぐ方法……無いかな～～～～～～！！！」

譲崎ネロ

人混みの中、街を歩く一人のボーイッシュな少女。

譲崎ネロ

名は譲崎ネロ。
探偵による、探偵のために、探偵の養成学校─────『ホームズ探偵学園』に通う学生である。

譲崎ネロ

何の変哲もない休日の最中。んまい棒を齧りながら、求人票を見つめながら
文句を垂れ流しながら、ぶらぶらと街を歩く。

譲崎ネロ

どうして探偵学園の生徒が求人票と睨めっこしているかって？

譲崎ネロ

それはもう、海よりも深い事情があるのさ……。

譲崎ネロ

─────昔、僕はこう見えても、ホームズ探偵学園の中でも、特に優秀な生徒だったのさ！

譲崎ネロ

『トイズ』って呼ばれてる、選ばれし者しか得られない不思議な力を使って、このヨコハマに蔓延る怪盗どもを懲らしめてきた！……わけだけど。

譲崎ネロ

ある日、僕ら『ミルキィホームズ』の天敵である、怪盗アルセーヌを追っていたら……。

譲崎ネロ

もう少しで捕まえられる！！ようやく決着がつく！！！と思った、そんな時に

譲崎ネロ

ズドーーーン！！……って、雷が落ちちゃって、ね。

譲崎ネロ

その日から僕は、『トイズ』を失っちゃったんだ。

譲崎ネロ

それからもう『ミルキィホームズ』は大変だ。これまでは異能を使って色んな事件を解決してきたわけだけど、それが使えなくなってしまった今となってはもう

譲崎ネロ

完全にダメダメ探偵になっちゃったわけ！

譲崎ネロ

くーーやーーーしーーいーーー！！

譲崎ネロ

優等生専用の寮からも追い出されて、僕らは古い学生寮の屋根裏で暮らしてるんだけど……。

譲崎ネロ

とにかく！お金が！無い！！

譲崎ネロ

「お金お金お金～～～～！！何か、ドッカ～～～ンとお金を得られる何か！！！無いの～～～～！！！」

譲崎ネロ

─────その時だった。

譲崎ネロ

首に何か、ちくりと痛みを感じた。

譲崎ネロ

「っ………！？」

譲崎ネロ

背後に誰かが気配を殺し、忍び寄り……僕に、何か、注射器のようなものを、刺した……？

譲崎ネロ

とっさに後ろを振り向こうとするも、体から力が抜けていき
視界も、段々とぼやけていき……。

譲崎ネロ

「ぅ……ぁ………ぁぁ………」

譲崎ネロ

その正体を掴めないまま、僕は……深い眠りについた─────。

譲崎ネロ

譲崎ネロ

譲崎ネロ

譲崎ネロ

鳥の声が、聞こえた。

譲崎ネロ

ほっぺに、湿っぽい感じと、鼻の奥に土臭さを感じながら

譲崎ネロ

「ん……んん……？」
むくりと起き上がり、辺りを見渡す。

譲崎ネロ

そこは、高層ビルが立ち並び、人混みで溢れていた街と対照的な場所。

譲崎ネロ

どこまでも木々が生い茂る森の中だった。

譲崎ネロ

「……え……？……ここ、どこ……？」

譲崎ネロ

「っ……！？！」
咄嗟に後ろを振り向く。先程背後を取られたこともあり、過敏な反応を示し。

譲崎ネロ

「だ、誰だ……！？」

譲崎ネロ

冷や汗が首筋を伝う。

譲崎ネロ

………？　……女の子……？

譲崎ネロ

敵意の無いような、虚ろな目を見て、少し不気味さも感じながらも。

譲崎ネロ

「……い、いい目覚め……なのか、な……？……いや、それよりも！」

譲崎ネロ

「君は誰なんだ！？ていうか……ここ！どこだよ！！」

譲崎ネロ

ミサカに一歩詰め寄り、まくしたてる。

譲崎ネロ

「……」

譲崎ネロ

「……鳥？」

譲崎ネロ

不思議そうな目で、御坂を見つめ。

譲崎ネロ

「………」

譲崎ネロ

「……もしかして……君"も"……？」

譲崎ネロ

─────まだ状況は把握しきれていないけど、おそらくは……。

譲崎ネロ

僕は、攫われた。誘拐された。

譲崎ネロ

そして、おそらくは……この子も。

譲崎ネロ

「……そっ、か……」

譲崎ネロ

険しい表情を浮かべながらも、腕を組み考える。

譲崎ネロ

全く以って理解が及ばない。どうしてこんなことになったのか……。
そもそも誘拐するにしても、もっとこう……狭いところに閉じ込めたりするでしょ！

譲崎ネロ

「……あ、ああ！いや、大丈夫！考え事してただけだから！」
手を振りながら。

譲崎ネロ

「えっと、そうだな……　………うっし」

譲崎ネロ

─────僕は、『トイズ』を失った、ダメダメ探偵だ。

譲崎ネロ

それでも、僕は─────『探偵』だ！

譲崎ネロ

「……僕の名前は、譲崎ネロ！『ミルキィホームズ』って、聞いたことあるでしょ？ソレの一員！」
ドヤ顔しながら。

譲崎ネロ

「『探偵』として……この誘拐事件、僕がズバッと解決してみせるよ！それと、君もおうちに帰れるように、めっちゃ頑張る！」

譲崎ネロ

そうして自身の胸を叩き、またドヤ顔。

譲崎ネロ

「……あ、あれぇ……！？知らない！？ミルキィホームズ！新聞とかにもよく載ってるんだけどなぁ～……！？ぐぬぬ……」

譲崎ネロ

「あーーーー……そう！つまりは……そういうこと！」
ビシッ！と指を差し。

譲崎ネロ

「君の名前は……ミサカ、でいいんだよね？」

譲崎ネロ

いかにも名推理をした！ような顔で。

譲崎ネロ

えへへ。と照れ笑いしながら。

譲崎ネロ

「一〇〇三二号……？な、なんか呼びにくいし……ミサカで！ミサカって呼ぶことにするよ！」

譲崎ネロ

ニコ、と無邪気な笑みを見せながら。

譲崎ネロ

「よーーし……それじゃあまずは……」
辺りを見渡しながら。

譲崎ネロ

ポッケから、ダウジングのあの金属の棒を取り出し。

譲崎ネロ

「よーーし！ミサカ！着いてきて！僕がまず、この森から抜け出す方法を探す！！」
ダウジングの金属棒を構えながら、進んでいく。

譲崎ネロ

「………！？！？！？」

譲崎ネロ

目を真ん丸にする、2回くらい。
スカートをたくし上げた時と、大量の銃器が落ちた時の、2回。

譲崎ネロ

「ちょっ！？何それ！？！？そんなの持ってたら危ないっしょ！？っていうか、女の子なんだから、そういう、スカート上げるとか、はしたないこともしちゃダメでしょ！」

譲崎ネロ

「ホッ……」
そっと胸を撫で落とし。

譲崎ネロ

「え、えっと、そうだなぁ……」

譲崎ネロ

「……これ、本物？ガチのやつ？」
銃器を一つ持ち。

譲崎ネロ

「むっ……」

譲崎ネロ

ミサカの言うことは、御尤もであった。

譲崎ネロ

誘拐の目的が定かではなく、ひと気の無い森の中に送られた今。

譲崎ネロ

猛獣の一匹や二匹がいつ襲い掛かってきても、おかしくはない。

譲崎ネロ

「……そ、それは！もちろん！僕もそう思ってたよ！」
見栄を張るように。

譲崎ネロ

「あと、ほら……銃器とかも、多分……隠して持ち歩けば、セーフでしょ！法律的に！うんうん！」
※アウトです。

譲崎ネロ

「うおっ……」
渡された銃器の重さに、戸惑いを隠しきれず。

譲崎ネロ

「………な、なるほど、ね……うん、ありがとう、ミサカ！」

譲崎ネロ

なんとか笑みを作ってみせる。

譲崎ネロ

それじゃあ……と、ポッケの中を探し。

譲崎ネロ

「─────はいこれ！僕からも、お返し！」

譲崎ネロ

そう言い、んまい棒をミサカに渡す。

譲崎ネロ

「ふっふ～ん、こういう時もあろうと、僕は常に非常食を持ち歩いてるのさ！」

譲崎ネロ

すごいでしょ～？と言いたげな表情を見せながら。

譲崎ネロ

「僕からの、友好の証みたいなものでもあるよ！　よろしくね、ミサカ！」

譲崎ネロ

へへ！と笑いながら。
……あ、それグチャグチャになっちゃう仕舞い方……まぁ、いっか！（←？）

譲崎ネロ

……ぶっちゃけ、僕一人だけだったら、不安な面も……無くは無かったから。

譲崎ネロ

こうして、誰かが隣にいるのは、心強く思える。

譲崎ネロ

……べ、べっつにぃ～～？？僕一人だけでも～？この誘拐事件、解決できたとは思うけどね～～！！

譲崎ネロ

と・に・か・く！……まずは、ここから脱出を目指さないと……ね！

譲崎ネロ

「行こうか、ミサカ！」
手を差し伸べ。

譲崎ネロ

─────探偵として、この事件の『真実』を、見抜くんだ。

譲崎ネロ

譲崎ネロ

そうして、森の中を歩いていくも……。

譲崎ネロ

かれこれ、数十分は経過したはずであろう。

譲崎ネロ

「……あ、あれぇ～～？おっかしいな～……」

譲崎ネロ

分け入っても分け入っても、木々、草。

譲崎ネロ

一向に、森を抜け出せそうにもなく。

譲崎ネロ

あとついでに、手に持ってるダウジングの棒も反応無し。

譲崎ネロ

「あ……い、いや！大丈夫！！問題無し！」

譲崎ネロ

「もうすぐ抜け出せそうだから！─────あ」

譲崎ネロ

その時。

譲崎ネロ

ダウジングの金属棒が、揺れる。

譲崎ネロ

「！！！　反応あり！！」

譲崎ネロ

その金属棒が指し示す先を向くと─────。

譲崎ネロ

「………！！」

譲崎ネロ

人だ！

譲崎ネロ

「やった！ほら、僕のダウジング、すごいだろミサカ～！」

譲崎ネロ

「お～～～～～い！！」
無警戒に、その女へ手を振る。

譲崎ネロ

「……え？」

譲崎ネロ

ミサカの方を振り向き。

譲崎ネロ

「ど、どして……！？だって、ほら！優しそうなお姉さんがいるじゃん！」

譲崎ネロ

「僕らと同じように誘拐されてきた人かもだし……もしくは！この森に詳しい人かも！？」

譲崎ネロ

ミサカの雰囲気が変わったように思え、ごくりと、唾を飲みこむ。
無表情のその顔に、うっすらと浮かぶ警戒の色に、ネロも呑まれていく。

譲崎ネロ

「……ぶし……ほへ……？」

譲崎ネロ

目をぱちぱちとさせながら、この場を包む、ピリピリとした緊張感に圧迫されながら。

譲崎ネロ

「………っ……！？」

譲崎ネロ

「『トイズ』か……！？」

譲崎ネロ

な、何をする気だ……！？

譲崎ネロ

あの『箱』は一体、なんだ……！？

譲崎ネロ

「なっ………！？」

譲崎ネロ

おいおい……おいおいおいおいおい……！？！？

譲崎ネロ

脂汗が滲む。

譲崎ネロ

「ちょっ！？ぼ、僕らは！！誘拐犯じゃないよ！？！？─────ミ、ミサカ……！？うわぁあっ……！？」
ナハトに潔白を証明しようと叫びながら、ミサカに手を引っ張られ。

譲崎ネロ

ずしゃあっ。

譲崎ネロ

「ぐあぁっ……！！？」

譲崎ネロ

その鉛玉が、ネロの踵を貫く。

譲崎ネロ

そのまま、転倒し、地面へと投げ出される。

譲崎ネロ

いっっってぇえええぇぇっっ……！！！？！？！？！？！

譲崎ネロ

こ、殺す気じゃんっ……！！僕らを……！！！！？

譲崎ネロ

なんで、どうして……！？！？っつぅ……！！

譲崎ネロ

「はぁっ……！！はぁっ………！！！……な、何だとぉ……！？」
ナハトを睨みつけるように見て。

譲崎ネロ

ドクドクと、足から血が吹き出る感覚、痛みを堪えながら。