Ccfolia Log

渡辺 曜

出航ヨーソローーーーーーーーーーーーーー！！！！

渡辺 曜

おお……！さすがなでしこちゃん！

渡辺 曜

すごい力持ち！

渡辺 曜

「さくらさん～！私も手伝いますよ～！」

渡辺 曜

シュバッ、と敬礼ポーズを取る
快活な、スポーツマンと言ったような雰囲気を醸し出す少女。

渡辺 曜

「よいしょっと……！ふひ～！それにしても重労働だね～！」

渡辺 曜

「ムスメちゃん！IAちゃん！二人はだいじょー……おお……！」

渡辺 曜

「力持ちだねー……！こうなったら、私も負けてられないねー！」

渡辺 曜

「おっ、それじゃあ今この場には、お姉ちゃんが二人ってところかな～？」

渡辺 曜

IAとさくらさんを見比べながら、ニヤニヤと。

渡辺 曜

「そんなに！？さ、さすがにそんな多く同時は、持てないっしょ！？」

渡辺 曜

あ、持てるパイプ椅子の数と、妹の数
勘違いしちゃった……！

渡辺 曜

お恥ずかしやお恥ずかしや……。

渡辺 曜

そうしてこっそり恥を誤魔化すように。
「ほらほらなでしこちゃん！これ終わったらアイス屋さん、行こうよ！」

渡辺 曜

一緒にパイプ椅子を運びながら、ニコッ、と笑う。

渡辺 曜

「3月とはいえ、この島はすっごく暖かいからね～、アイス屋さんもさぞかし繁盛を……おやおや～？」

渡辺 曜

「お姉ちゃんなのに、アイスという単語に反応ですかな～？」

渡辺 曜

子どもっぽい反応を見せるIAに、ニヤニヤとした視線を送りつつ。

渡辺 曜

「おっ、それに……なでしこちゃんも気合十分！と言ったところかな～？」

渡辺 曜

どうよ～、なでしこちゃんの扱い。
慣れてるでしょ？という自慢げな視線をさくらさんに送る。

渡辺 曜

「お、おおぉぉ……！？本当に同時に全部持ち上げちゃった……って、わわわ……！？」

渡辺 曜

「ム、ムスメちゃんが～！？危ないよ～！？」

渡辺 曜

あわわ、と慌てながら。

渡辺 曜

「あ………」

渡辺 曜

スカート、という単語に反応してしまい。
思わずムスメの下半身の方へ目が映ってしまい。

渡辺 曜

ぽぉ、と頬を赤くしてしまう。

渡辺 曜

そのまますぐさま視線を逸らし。

渡辺 曜

「と、と、とと、とにかく！うん！早いところ準備！終わらせちゃおう！」

渡辺 曜

どもりながら、なでしこと一緒に、せっせと椅子を運ぶ。

渡辺 曜

「ほほ～う？」

渡辺 曜

さくらさんの方を向き、ニヤニヤとしながら。

渡辺 曜

「まぁでも私は、お代とか要りませんから！大丈夫です！」

渡辺 曜

手を上げ、ニコッと笑いながら。

渡辺 曜

「私、体動かすのとか好きなので！全然こういうの、苦というほどのものでもありませんよ～？」

渡辺 曜

「む、むぅ～、遠慮とかじゃありませんよ～？……あ、それなら！」

渡辺 曜

さくらさんの耳元へ、顔を寄せ。

渡辺 曜

「……こ、今度一緒に、お買い物とか……どう、ですか……？」

渡辺 曜

「むっ………は、はぁ～い……」

渡辺 曜

しょぼくれた顔をしながら、なでしこの方へ戻り。

渡辺 曜

「ふふふ、お疲れ様～♪」

渡辺 曜

なでしこの頭をよしよしと撫でながら。

渡辺 曜

「もうすぐアイスの時間が待ってるよ！もう少しの辛抱！」

渡辺 曜

なでしこに、グッジョブサインを見せながら。

渡辺 曜

む？　とIAの方を向き。

渡辺 曜

「あ、あはは～！そうだね、うんうん！あ、IAちゃんも汗掻いちゃってるね～？」

渡辺 曜

そう言い、タオルでIAの首元を拭いてあげながら。

渡辺 曜

「そうだね～、運動後はやっぱり、甘々なアイスに限るよね～！」

渡辺 曜

「私、ブルーハワイ味がすっごく好きなんだよね～」

渡辺 曜

「でも、ブルーハワイって、何なんだろうね～？」

渡辺 曜

ふふふ、と微笑ましそうにIAを見つめながら。

渡辺 曜

「おっ、ムスメちゃん、知ってるのかな～？」

渡辺 曜

「ハワイの味、うん、ハワイの味！　……としか、言いようがないよね！」

渡辺 曜

楽しそうにけらけらと笑いながら。

渡辺 曜

「ありゃりゃ～わかんないか～！あはは～！」
真似するように、自分も両手を上げる。

渡辺 曜

「でもでも、世には知らなくても良いことだって、あるかもしれないよ～？」

渡辺 曜

みんなを怖がらせるような顔を見せながら。

渡辺 曜

「もしかしたら、ブルーハワイと名付けないといけないくらいには、奇妙な……　……やや！」

渡辺 曜

会場にある時計を見て。

渡辺 曜

「もうそろそろ上がりの時間ですかね～？」
さくらさんの方を見て。

渡辺 曜

は～い！と元気よく返事し、さくらさんにニコりと笑う。

渡辺 曜

「今度もこの渡辺曜！渡辺曜にお任せくださ～い！」
選挙演説風な言い回しで。

渡辺 曜

そうして、さくらさんにウインクし。

渡辺 曜

「そうだね～！IAちゃんのおかげでスムーズに終わったからね～」

渡辺 曜

「今日一番の功労者は、IAちゃんかな～？」

渡辺 曜

つんつん、とIAのほっぺと突っつきながら。

渡辺 曜

……あ、さ、さくらさん。
手を振り返してくれた……。

渡辺 曜

「なぬっ、ではではおいくらですかな……？」

渡辺 曜

「わ！あはは～！なでしこちゃんも一緒につんつんしよっか～？」

渡辺 曜

「580円か～」

渡辺 曜

「な、なでしこちゃん～！？多分本気じゃないと思うよ～！？」

渡辺 曜

「んぇえっ！？」

渡辺 曜

「IAミクスだねっ！」

渡辺 曜

そう、それに─────。

渡辺 曜

田舎は、時給が、低いのだ。

渡辺 曜

都会では、時給1000円とか、いくんだっけ？
そこらへんは、あんまり分からないけど。

渡辺 曜

580円という単価は、私達の紐を痛めつけるのに
十分だったッ！

渡辺 曜

「あはは～！冗談だよ冗談～」
なでしこのほっぺも、むにむにと突っつきながら。

渡辺 曜

「おっ！IAちゃん、太っ腹～！ひゅ～ひゅ～！」

渡辺 曜

「ふふふ、若いというのはこういうことなのかもしれんのう～？婆さんや～」
ムスメの方を見ながら。

渡辺 曜

曜も、お婆さんのような演技をしながら。
腕を組み、うんうんと頷……く……。

渡辺 曜

「う、うおぉおおぉっ！？」

渡辺 曜

「あ、危ないよ！？どうどう！落ち着いて～！？」

渡辺 曜

すぐさまIAを止めに掛かろうとするも。
なでしこの笑顔を見て、足を止める。

渡辺 曜

「あ、あ～……楽しそうならオッケー……なのかな……？」
ムスメの方をちらりと見ながら。

渡辺 曜

で、でも……さくらさんの大事な妹さんだしなぁ……。

渡辺 曜

「ほ、ほんとに……？えっ、ええっ……！？」

渡辺 曜

「ちょ、ちょっと！？IAちゃん！？それ本当に大丈夫なの～！？」

渡辺 曜

おろおろしながら、IAに着いていく。

渡辺 曜

「む……」
怪我、しなければオッケー……だよね……？

渡辺 曜

「……コホン！それじゃあ……全速前進！」

渡辺 曜

「ヨーソロー！」

渡辺 曜

「ヨーグルト！？ヨーソローだよぅ！？」

渡辺 曜

「あ、そうだね！とりあえず外に出よう！」

渡辺 曜

「それに……シーズンオフだからね～」

渡辺 曜

「夏とかは、本島から来てくれた観光客さんでい～～っぱいだけど」

渡辺 曜

「この時期だと、そんなにいないからね～？」

渡辺 曜

だから、多分外なら、暴れ回っても大丈夫っしょ？
的な？

渡辺 曜

「あー……ジェットコースターみたいな感覚、なのかな……？」

渡辺 曜

この辺には遊園地とかは無いし
曜自身も、この島を離れたことはないため。

渡辺 曜

テレビやスマホ、雑誌などで見た記憶から、なんとなくそうなのかな？
と思う。

渡辺 曜

「あ、あはは～…」

渡辺 曜

「じゃあ、案内するね～？こっちこっち～！」

渡辺 曜

「ありゃりゃ！そうだね！よ～し……それじゃあ、もっと気合入れて頑張らないと、だね！」

渡辺 曜

腕まくりをし、なでしこに頷く。

渡辺 曜

「ふぃ～～、研修会、すごかったね～」

渡辺 曜

なんていうか、すごい恰好の人が、いた！

渡辺 曜

「むむ、そんなに重労働ってわけでもないから、ちょっとさくらさんには申し訳ないけど……」

渡辺 曜

「でも……ふふ、そうだね、アイスだねアイス！」

渡辺 曜

IAの様子を見て、微笑ましそうに笑い。

渡辺 曜

「ほうほう？」

渡辺 曜

あ、くれぐれも怪我しないようにね～！
とIAとムスメに告げながら、視線はなでしこの方へ。

渡辺 曜

「ほうほう？サンデー系？」

渡辺 曜

知ってる？　とIAの方をちらりと見て。

渡辺 曜

「多分漫画雑誌の方ではないとは思うよっ！？」

渡辺 曜

「ほうほう……！色々な味があるんだね～？」

渡辺 曜

「それじゃあ～……なでしこちゃんのお目当ては何かな～？」

渡辺 曜

「わけあいっこ」

渡辺 曜

「え、えーと、それって……」

渡辺 曜

「……あ～ん……み、みたい……な？」

渡辺 曜

少し頬を染めながら。

渡辺 曜

「わ、わおぉ……」
ドキン、と心臓が跳ねる。顔の赤さが引かないまま。

渡辺 曜

「……ま、まぁ？確かに？合理的といえば……合理的、かな……？」

渡辺 曜

あ～ん、か……あ～ん、かぁ……。

渡辺 曜

……か、間接キッス、かぁ………。

渡辺 曜

……よくないぞ渡辺曜、うむ、良くない。
て、ていうか、こんなの意識するの、私だけだし……！

渡辺 曜

ほら、みんなは全然気にしてる様子じゃないし……！！

渡辺 曜

……いやぁ……なんていうか、こういうところで、ちょっとした自己嫌悪と言いますか……。
なはは……。

渡辺 曜

……みんなには、絶対に言えないからなぁ……。

渡辺 曜

─────恋愛対象が、同性だ、なんて。

渡辺 曜

「あ、あはは～！IAちゃんは本当に、すっごく、妹ちゃん想いだね～？」

渡辺 曜

「むぇ」
いっぱい、しちゃうのかっ。

渡辺 曜

「うぇえっ！？！？」
突然なでしこに話題を振られ、戸惑う。

渡辺 曜

「い、いや？べべべ、別に？なんでもないよ！本当に！うん！」

渡辺 曜

わちゃわちゃと手を振りながら。

渡辺 曜

「そ、それってどんな顔……！？」

渡辺 曜

「………」

渡辺 曜

「い、いやぁ……？多分、気のせい、とかじゃないかなぁ……？」

渡辺 曜

「それに！私はいつも！気分爽快！」

渡辺 曜

「渡辺曜は、いつだって、いつの日だって晴れやかさんだよ～？」

渡辺 曜

「い、いやいや、それよりも！アーイース！そうでしょ？」

渡辺 曜

「なでしこちゃんだって、食べたいでしょー？」

渡辺 曜

……食べさせ合いは……
よ、ようし……頑張るぞ～ぅ……。

渡辺 曜

「んぇ」

渡辺 曜

あ～ん、かぁ……あ～～ん……。
ヤバ。すごいドキドキしてきた。マジか。マジなのか。

渡辺 曜

「あ、あはは……確かに……」

渡辺 曜

「お、そうだね！それじゃあ……曜ちゃんはどうしようかな～？」

渡辺 曜

各々の顔ぶれを見ながら。

渡辺 曜

「……よっし、私は抹茶かな？」

渡辺 曜

みんなは渋めのものよりも、甘いのが食べたいだろうしね～。

渡辺 曜

だから抹茶は、私でいいや。

渡辺 曜

「出発進行！ヨーソロー！」

渡辺 曜

……は、始まってしまった。

渡辺 曜

う、うぅぅ……。

渡辺 曜

お、おぉぉ……！
あ～んが、目の前で……。

渡辺 曜

ごくり、と喉を鳴らしながら。
その光景を目の当たりにする。

渡辺 曜

「お、おぉぉ……そ、っかぁ……」

渡辺 曜

味の感想よりも、接近してる二人の様子を見て
心臓が昂り始めてしまう。情けない。

渡辺 曜

「う、うぇえっ……！？」

渡辺 曜

ぬぁああ、来て、しまった……！！
ついに……！？

渡辺 曜

IAちゃんには……そ、その気は無いのは、分かるけど……
けどっ……！！

渡辺 曜

差し伸ばされたスプーンを、余裕の無い表情でじっと見つめ。

渡辺 曜

「………い、いただきますっ！」

渡辺 曜

ぱくっ。

渡辺 曜

目をぎゅっと瞑り、IAの差し出したキャラメル味のアイスを頬張り。

渡辺 曜

……ひ、ひぃん。
ドキドキしすぎて、冷たい感覚しか分からなかったよ……。

渡辺 曜

「お、美味しかったよ！ありがとうねIAちゃ……　……えっ……！？」

渡辺 曜

なでしこの言葉に、ぎょっとした様子を見せる。

渡辺 曜

「あ、あわわわわわ………！！？」

渡辺 曜

「あ、そ、そう、だね……！うん、交換……うん、うん……」

渡辺 曜

……え、これ……IAちゃんが食べたスプーンじゃ……？

渡辺 曜

そう思いながら、なでしこの差し出したアイスを
気合を入れ、ぱくっ！！

渡辺 曜

「…………あ、甘くて……美味しい……ね！」
なでしこに、ニコッ、と笑う。

渡辺 曜

ひゃああ～～～～ヤバイ、なんじゃあこりゃあ。
ヤバイ。ヤバイ。ヤバイ。

渡辺 曜

みんな可愛いから、もう、無自覚の暴力と言うか。
ヤバイ。

渡辺 曜

「ひ、百面相じゃないし……！？……ないし！」
二度否定。

渡辺 曜

「……あ、あー……それじゃあ……私もお返しに……抹茶アイスを……」

渡辺 曜

そうして、甘さと抹茶の香りがほんのり漂う、アイスを掬い。
ちらりと、空いてるIAの方を向き。

渡辺 曜

「……ど、ど～ぞ～……？」
抹茶アイスを乗せたスプーンを、ゆっくり差し出す。

渡辺 曜

あ、あわわわ。私のスプーンで、IAちゃん、食べちゃった……！

渡辺 曜

「………へ……？」

渡辺 曜

IAの差し出したスプーンを見て、きょとん、と。

渡辺 曜

「……そ、それは……？」

渡辺 曜

「聞こえないよう！？」

渡辺 曜

「い、いやぁ……別に、いっぱい食べたいとか、そういうわけじゃあ……」
視線を逸らしながら、もじもじと。

渡辺 曜

「ぶほっ……！？」

渡辺 曜

恋人、というワードに反応し
思わず吹き出す。

渡辺 曜

「い、いやいやいやいや！！無い無い！無いよ！！」

渡辺 曜

ムスメの方を向きながら。

渡辺 曜

「こ、こういうのって、ほら！」

渡辺 曜

「仲の良い友人同士で、よくやることだー！って、雑誌とか、テレビとかで……言ってたしー！？」

渡辺 曜

「あと漫画とかも！」

渡辺 曜

「うぇええっ……！？！？」

渡辺 曜

「……！？」

渡辺 曜

な、何これ……！？え………！？！？

渡辺 曜

な、何が、起こってるのこれ……！！？！

渡辺 曜

「え、えっと、えっと……IAちゃん！私は、別に食いしん坊さんとかじゃ、ないし……！」

渡辺 曜

「それに、ほら！ムスメちゃんへの、あ、あ～んが……？あるでしょ！」

渡辺 曜

「え」
なでしこの方を向き。

渡辺 曜

「よ、曜ちゃんのお口は！一つまでです！」

渡辺 曜

「………！？」

渡辺 曜

「ちょ、ちょっとみんな……！？」

渡辺 曜

く、くぅぅぅっ………！！
ほんと、もう、心の、余裕がっ……！！

渡辺 曜

「え……ええいっ！！！！！」

渡辺 曜

ぱくっ！！ぱくっ！！！ぱくっ！！！！

渡辺 曜

3人の差し出したアイスを、勢いよく連続で食べ。

渡辺 曜

「お、おりゃあ～！！」

渡辺 曜

自分の抹茶アイスを掬い。

渡辺 曜

IA、なでしこ、ムスメの口の中へ
ひょい！ひょい！ひょい！と。

渡辺 曜

それぞれの口の中へ、スプーンを突っ込む。

渡辺 曜

「はぁっ……！はぁっ……！……そ、そう？……美味しい？……あ、あはは……
　それなら……う、うん、良かったよ～」
にへらと笑いながら。

渡辺 曜

「ふふふ、なでしこちゃんは、大人だね～？」

渡辺 曜

話題を逸らすように、なでしこの方を見つめながら。

渡辺 曜

……3人の口の中へ入れた、てらてらと光る自分のスプーンの方も
ちらりと……じっと、見つめる。

渡辺 曜

「……むっ……！？……組み合わせ？」

渡辺 曜

「ほへ」

渡辺 曜

「……な、なる……ほ、ど」

渡辺 曜

曜も同じように、自分のアイスをスプーンで掬いながら。

渡辺 曜

あーーーーーーもう、熱い、すごく熱い。
サマーシーズンじゃないのに、すっごく熱いーーーーー。

渡辺 曜

あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。
海に飛び込みたいーーーーーーーーーー。

渡辺 曜

「あ、あ～～ん」
ムスメの口へ、スプーンを運ぶ。

渡辺 曜

「あっ…………ん……　あ、ありがとう……」
うおぉぉ、は、恥ずかしい。

渡辺 曜

「味のコラボレーション……的な？」

渡辺 曜

私は、今あんまり味とかもう、分かんなくなっちゃってるけど。

渡辺 曜

「むっ……！？」

渡辺 曜

少し背筋がまっすぐになり。

渡辺 曜

「あ、り、りょーかい！……全速前進……！ヨーソロー……！！」

渡辺 曜

「おぉぉ……てんこ盛り、だね……ここに、私のアイスを……合体、とか……？」

渡辺 曜

な、なるほど、なるほど。

渡辺 曜

「よ、ようし～！！えい！！」
自分のアイスを掬い、そして……IAのスプーンへ、重ね。

渡辺 曜

「だ、だだだ、唾液って！！！わ、私達！！"友達"っしょ！！？」

渡辺 曜

「このくらい！！"フツー"！！"フツー"だから、ね！！！」

渡辺 曜

「よ、よしよし……合体てんこ盛りアイスを、なでしこちゃんへ……」

渡辺 曜

キ、キス………！？

渡辺 曜

キス、という単語に過剰反応を見せながら
一緒に、なでしこの方へスプーンを運び。

渡辺 曜

「お、おぉぉ～～～……！キャラメルと抹茶のコラボレーション、大好評、だね……！」

渡辺 曜

「あはは……！そうだね……勝利！」

渡辺 曜

う、うぅ。こう、言い方が、なんとも……。

渡辺 曜

「へ、へへへっ、大食らいのなでしこちゃんの舌に合ったようで
　私も嬉しい限りだよ～」

渡辺 曜

少し揶揄うように、そう言うも。

渡辺 曜

……IAちゃんと、私の、すぺしゃる、って。
な、なんか、こう……こう……！！

渡辺 曜

ぱたぱたと、手団扇で、自分の首筋を仰ぎながら。
ふぅ……。と深呼吸をし。

渡辺 曜

「今度は……なでしこちゃんとムスメちゃんによる、最強の組み合わせを、だね……！」
IAの方へ視線を移し。

渡辺 曜

ふぅ……心臓のドキドキが、収まって………。
……い、いや……いや、いや……。
なでしこちゃんと、ムスメちゃんの合体スプーンが、IAちゃんの、口の中に……？

渡辺 曜

………………。

渡辺 曜

し、刺激的や、過ぎやしません……？

渡辺 曜

「お、おぉぉ……」
思わず声が出る、感嘆。

渡辺 曜

じ、情、熱……！

渡辺 曜

「ほ、ほほ～う……差し詰め、アイスの化学反応、と言ったところですな～？」

渡辺 曜

「あはは、科学じゃなく、魔法だったか～」
ふふ、と微笑ましそうにIAの反応を見ながら。

渡辺 曜

うん、うん、そう、だよ。
このくらいの、さっぱりした感じ
サイダーみたいな感じが、普通なんだよね。

渡辺 曜

「……お、思い……愛………」

渡辺 曜

……例え、だろうから、ねっ！

渡辺 曜

「あ、あはは、そうだね～、この島は温かいし、そんな中で食べるアイスは
　……うん、格別だからね～」

渡辺 曜

「う、うん……！」

渡辺 曜

ギクシャクとした反応を見せながらも。

渡辺 曜

「あ、あはは……そ、そうだね～」

渡辺 曜

「じゃあ……残りの分は、自分達で食べて……」
カップに入った、抹茶アイスをぐるぐると回しながら。

渡辺 曜

「……この後とかは、どうする～？」

渡辺 曜

「まだ日も沈んでないし……」

渡辺 曜

「あはは～、そっか～、思いつかないか～」
IAの頭を撫でながら。

渡辺 曜

「そうだなぁ、じゃあ……」

渡辺 曜

ムスメに頷き。

渡辺 曜

「……ちょっと、泳ぎにとか、行かない？海でも、プールでも」

渡辺 曜

モヤモヤした感じが胸に溜まってるから。
ここは、発散したいなって。

渡辺 曜

やっぱり泳ぎは、気持ちいいからね～。

渡辺 曜

「そーそ、それになでしこちゃん～？」

渡辺 曜

「私、さくらさんに言われてるからね～？」

渡辺 曜

「あまり甘やかし過ぎて、太らせないように！って～」

渡辺 曜

と、揶揄うように、ニカッと笑いながら。

渡辺 曜

「あははは～！じゃあみんな、次は海かプール、どっちがいいかな？」

渡辺 曜

「ほほう～？」

渡辺 曜

「穴場ですとな、それは気になりますなぁ～
　ふむふむ、貸し切りビーチ……」

渡辺 曜

「有料、とか？」

渡辺 曜

「むむ、そんな隠しスポット、この島にあったんだ？」

渡辺 曜

あんまり私も、このシャン津島について知らないな～って
改めて思った。

渡辺 曜

「あーー、そうだね」

渡辺 曜

「確か……この島って、神様がいたとか……そういうのだっけ？」
ムスメの方へ、確かめるように。

渡辺 曜

どんな神様がいたのかとかは、私は知らないけど。

渡辺 曜

「あー、そうだねー、水分補給は大事だからね～！」

渡辺 曜

「お！なでしこちゃんの料理は、絶品だからね～！楽しみ！」

渡辺 曜

「そうだね！水着は各自、おうちで用意ってことで……じゃあ、一旦解散しよっか？」

渡辺 曜

「ん？」

渡辺 曜

「大丈夫、とは？」

渡辺 曜

「どわぁあああぁぁぁあああぁぁああぁぁ！？！？！？！！？？！」

渡辺 曜

「くぁｗｓでｆｒｇｔｈｙじゅきぉ；ｐ：＠「」」

渡辺 曜

「ハァッ……！！ハァッ………！！！」

渡辺 曜

バクッ！バクッ！バクッ！バクッ！バクッ！
と、心臓が昂る。

渡辺 曜

「そ、そういうのは！IAちゃん！めっ！！」

渡辺 曜

「観光客さんとかいないからまだいーけど……！！でも！！」

渡辺 曜

「怖い人とか、本島からやってくることも、あるかもなんだよっ！？」

渡辺 曜

「う……そ、そういう問題じゃ……むぅぅ……」
でも、確かに……IAちゃんなら、危険な目には、遭いにくいとは、思うけど……。

渡辺 曜

「んんん……じゃあ、じゃあ……なでしこちゃんは、どうしよっか？」

渡辺 曜

「この際だから、新しい水着とか、買う？」

渡辺 曜

「ぶふぉおっ……！？」
ムスメちゃんが、IAのパーカーの中に手を突っ込んでいるのを見て。
ぎょっとする。

渡辺 曜

「う、うん、ムスメちゃんもどうかな？新しい水着とか」

渡辺 曜

「みんなと一緒に……なーるほ……ど」
いつもの場所だと、脱いでる。
ん？ん？？　それって、一体どういう……？？

渡辺 曜

「よ、曜ちゃんは賛成ヨーソロー！」
ビシッ、と敬礼。

渡辺 曜

うん。
そう。
私も、そう思う。

渡辺 曜

「ほ、ほら、はしたないよ？ね？　……ん？」

渡辺 曜

「………ん？」

渡辺 曜

「あ、そ、そっか、フードを、だよね！」

渡辺 曜

「……ん？？？？」

渡辺 曜

目をパチパチと、そしてその光景を想像してしまい。

渡辺 曜

かああ。と、顔が茹蛸状態に染まっていく。

渡辺 曜

「ぐえーーー！？！？」

渡辺 曜

鳩尾タックルを直撃し、白目に。

渡辺 曜

あ、わわ、あわわわわ！？！？

渡辺 曜

IAちゃんと！！！！ムスメちゃんの！！！！！！！！

渡辺 曜

サンドウィッチ状態なんですけど！！！！！！！！！！

渡辺 曜

あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。
ヤバい。柔らかい。いい匂い。
なんじゃあこりゃあ。

渡辺 曜

「ぐほぉっ！？」

渡辺 曜

目の前が、まっくらにっ！？
ていうか！？！？これ！？IAちゃんのパーカー！？
髪の匂いが！！頭の匂いが！！！充満！！！して！！！る！！！！

渡辺 曜

これが、これが。

渡辺 曜

オケアノスですか。

渡辺 曜

今なお私の目指す場所。見果てぬ夢よ。

渡辺 曜

「ふぁい……出発……進行……よ、よーそろー……」

渡辺 曜

震える声で、弱々しい声で、そう告げる。

渡辺 曜

まんなか。
まんなか。

渡辺 曜

ふぉおぉぉぉおおぉぉぉおぉぉおぉおぉおぉぉぉぉ。

渡辺 曜

ぬおおぉぉぉおぉぉぉおおぉぉぉぉぉおおぉぉ………………。

渡辺 曜

「み、みん、な、この島……穏やかな気候……おーけー……？」

渡辺 曜

「曜ちゃん、とても、熱い、ソーホット」

渡辺 曜

顔を真っ赤にしながら。
心臓をバクバクとさせながら。