[メイン2] 古泉一姫 : …………。

[メイン2] 古泉一姫 : ……ふぅむ、少々最近は……あまりよろしく無いですね。

[メイン2] 古泉一姫 : ミユリさんにも、私の"仮面"、疑われてしまっておりますね、これ。

[メイン2] 古泉一姫 : まぁ、胡散臭い先輩で押し通せるのでしたら、それでいいんですけどね。

[メイン2] 古泉一姫 : 何を考えているのか分からない、を演じ続けるのは、得意ですから。

[メイン2] 古泉一姫 : だって、ずっと笑っていればいいんですから。

[メイン2] 古泉一姫 : ふふふ。

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「………はあああ~……」
溜息付きながら、ぶーっと唇を尖らせ自らの膝を見て。

[メイン2] 古泉一姫 : 「ふぅむ、結構深い傷ですねぇ……」

[メイン2] 古泉一姫 : ピンセットで、消毒液を浸したガーゼを摘み、ミユリの傷口へ、チョン、チョン、と。

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「……ひゃう、わひゃあ!」

[メイン2] 古泉一姫 : 絆創膏は、もう少ししましたら貼りましょう。

[メイン2] 古泉一姫 : 「痛かったですか?これは失礼致しました。」
ミユリへ微笑みながら。申し訳なさそうに。

[メイン2] 遊狩ミユリ : 次々当たる刺激に、素っ頓狂な声を上げながら。
ぐぐー、と両手を握り、目を食いしばり耐えている。

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「……い、痛いですが……ミユリだって我慢我慢の子、です!」

[メイン2] 古泉一姫 : 「ふふ、お利口さんです。ここで我慢できる子は将来大成しますよ。」
なーんて、胡散臭い励まし言葉を投げかけながら。

[メイン2] 遊狩ミユリ : じわりと目頭に熱いものを感じながら。
情けなさとか染みる痛みとかでいっぱいになっている。

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「……そ、そうですかね…?えへへへ……」

[メイン2] 古泉一姫 : 「ええ、ミユリさんはそれに、真っ直ぐな方ですからね」
ニコニコと微笑みながら。

[メイン2] 遊狩ミユリ : 大成、遊狩ミユリはインラインスケートを趣味にしている。
将来もその道を成功すればいいな、と思っていたため、こんな返しが出たが。

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「……ほわほわ、まっすぐ……ですか」

[メイン2] 遊狩ミユリ : 首をかしげる、45度。
あんまりピンときません、が…

[メイン2] 古泉一姫 : 「ふふ、だって先程も……おそらくは、先生の頼みを了承した上で、懸命にその役目を果たそうと頑張っておられた姿、ですからね。」

[メイン2] 古泉一姫 : ミユリがプリントを持って転んだ時を思い返す。

[メイン2] 古泉一姫 : 完全に当てずっぽうだが。

[メイン2] 古泉一姫 : ふふふ、超能力で思考を見ることができればいいんですけどね。

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「あうあう……古泉さんは、なんでもお見通しですね…!」

[メイン2] 遊狩ミユリ : きらきら、と目を輝かせて古泉へと目線をやる。

[メイン2] 古泉一姫 : ……おや、正解でしたか。
ふふ、なんだか嬉しいですね。

[メイン2] 古泉一姫 : 「……ふふ」

[メイン2] 古泉一姫 : ……むぅ。
………こうした、純粋な尊敬の眼差しは……。

[メイン2] 遊狩ミユリ : 事実その通り、先生に頼まれたからプリントを運びに行ったのだ。
断る気もなかったし、まさかこうなるとは思っていなかったが。

[メイン2] 古泉一姫 : 少々……胸が痛みますねぇ……。

[メイン2] 遊狩ミユリ : そして、その目は全身へと移り。

[メイン2] 古泉一姫 : 私自身、出来た人間ではありませんから。
ずっと、こうして"嘘"で、性格を作り上げている人間なのですから。

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「ほわわわわわ……!!」
感嘆の目が、古泉の足へと。

[メイン2] 古泉一姫 : 「…………?」

[メイン2] 古泉一姫 : ミユリの視線に気が付き、その先を追う。

[メイン2] 古泉一姫 : ………私の、足?

[メイン2] 古泉一姫 : 「……え、えっと、何か?」

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「あの!」

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「古泉さん……一つ、言わせていただきたいのですが……よろしいでしょうか!!」

[メイン2] 古泉一姫 : 勿論。了承。

[メイン2] 古泉一姫 : 「ええ、いいですよ」
微笑みながら。

[メイン2] 古泉一姫 : 私は、イエスマン。

[メイン2] 遊狩ミユリ : ぐい、と先ほどまでのミユリの奥手の様子はなく。
完全にぐいぐい、と。

[メイン2] 古泉一姫 : ああいえ、イエスガールですね。ふふ。

[メイン2] 古泉一姫 : 「……ミユリさん?」

[メイン2] 遊狩ミユリ : その言葉にぱあ、と顔を輝かせ。

[メイン2] 古泉一姫 : ……おっとぉ……?

[メイン2] 古泉一姫 : んん……?これは私、選択を間違えてしまいましたかね……?

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「まずですね、健康的な張りのある肌!
筋肉質では無いもののよく引き締まったふくらはぎと、きゅっと細い足首で…
全体的に筋肉は少ないのですが曲線が柔らかく優しい印象を与えています!
ただ、もう少し食べて鍛えた方が弾力も生まれてミユの好みなのですが……」

[メイン2] 遊狩ミユリ : わっと。

[メイン2] 遊狩ミユリ : まくしたてる。

[メイン2] 古泉一姫 : 「え?」

[メイン2] 古泉一姫 : 思わず、素の声が出てしまう。

[メイン2] 古泉一姫 : 汗がつぅ、と頬を伝い。

[メイン2] 古泉一姫 : 「………………」

[メイン2] 古泉一姫 : その剣幕に、一瞬のフリーズ。

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「どうでしょう…?ささみとか食べてみたら、もっと良いと思うのですが!」

[メイン2] 古泉一姫 : ………落ち着きましょう私。想定外に対しても、ちゃんと対処してご覧にみせましょう。

[メイン2] 古泉一姫 : 「……そ、そうですか、ふふふ、それはそれは………」

[メイン2] 古泉一姫 : 「………善処しておきましょう」
微笑みながら、そう返す。

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「古泉さんのおみ足は見たことのないぐらい綺麗で可憐でした!ですがもうひと段落あると素晴らしいと思いますです!」

[メイン2] 古泉一姫 : …………ふ、ふぅむ……。
……これは、あまり良くありませんね……。良い返しになっておりません。

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「えへへへ、それはそれは嬉しいです!」
その返事を聞いて、にっこりと。

[メイン2] 古泉一姫 : 「………………。」

[メイン2] 古泉一姫 : ………。

[メイン2] 古泉一姫 : は、恥ずかしい……。

[メイン2] 古泉一姫 : ……な、なんと言いますか……。

[メイン2] 古泉一姫 : こう……直球で、私のことを褒められたことは……今まで、無かったので……。

[メイン2] 古泉一姫 : 落ち着きましょう私、ええ、大丈夫です。
すぅー、はぁー、すぅー、はぁー。

[メイン2] 古泉一姫 : 「……ふふ、そう仰るミユリさんも、とても綺麗な脚をしておられるではないですか」

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「いえいえ……ミユのなんてとてもとても、皆様方にかないません」

[メイン2] 遊狩ミユリ : ふるふる、と首を振るが。
「ですが……褒められたことはとても、嬉しいです!!」

[メイン2] 古泉一姫 : 「とても健康的で、色、艶めきも良し。女の子らしい曲率を描きながらも……脂肪だけではなく、筋肉もちゃんとあることが、引き締まった太腿の外見から察せられますよ、ふふ。」

[メイン2] 遊狩ミユリ : また、きらめかせた目を向けながら。

[メイン2] 古泉一姫 : ぺらぺらと、微笑みながら。
ミユリの目をじっと見て。

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「……」
ぱちくり、目を開け閉め。

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「……ふふ~~」
ほっぺを抑えて、感嘆の声を漏らす。

[メイン2] 古泉一姫 : ………どう、ですかね?
うん、なんと言いますか……。

[メイン2] 古泉一姫 : "私"の本音を交えてしまいました。

[メイン2] 遊狩ミユリ : ……ミユの足が褒められる、だなんて……
なんとも、嬉しいです…!えへへへ……!!

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「……あ、ただ一つ」

[メイン2] 古泉一姫 : ……同性を愛する私の、ふしだらな劣情……。

[メイン2] 古泉一姫 : 自制です。自制をしましょう……。

[メイン2] 古泉一姫 : 「………?」

[メイン2] 古泉一姫 : ミユリに小首を傾げ。

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「惜しい点が、一つありまして……ふぅ~~む」

[メイン2] 遊狩ミユリ : 顔を古泉の足へと近づける。

[メイン2] 古泉一姫 : 「惜しい点、です……か……って、ひゃあっ!?」

[メイン2] 古泉一姫 : 思わず高い声を上げてしまう。

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「……どこか、なにか……輝きが、足りないといいますか…」

[メイン2] 遊狩ミユリ : その声に気づかず、ただずうっと見ている。

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「まるで輝きそのものを、足自身が隠しているような」

[メイン2] 古泉一姫 : 「………」
……先程の私の声は、聞かれてなかったみたいですね。
ホッ……良かったです。

[メイン2] 古泉一姫 : 「…………輝き?」

[メイン2] 古泉一姫 : 少し、眉がぴくりと動く。

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「なんとも形容しがたいのですが、そこが、惜しいなと感じてしまいました」

[メイン2] 古泉一姫 : 「………………」

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「はい、足の輝き、心身の輝き…というような」

[メイン2] 遊狩ミユリ : 真剣なまなざしで、古泉へと向ける。

[メイン2] 古泉一姫 : ……よもや、足で私のことを見抜いて……?はは、まさか……。

[メイン2] 古泉一姫 : ………え?

[メイン2] 古泉一姫 : ミユリの眼差しに、体が一瞬硬直する。

[メイン2] 古泉一姫 : 「………ふ、ふふ、何を仰っているのやら……」

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「足…という物は意外に饒舌で、体の調子や心の調子を伝えてくれたり…なんだりしてくれるんですよね」

[メイン2] 古泉一姫 : やれやれ、といったポーズを見せ。

[メイン2] 古泉一姫 : 「…………」
……足に途轍もない情熱がありますからね、ミユリさんは。
それ故に……せ、説得力が……。

[メイン2] 遊狩ミユリ : もっとも、そんな事を考えているのはミユリだけだろうが。
勘がいいのか、あるいは別の見方で見ているのか。

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「…うう~~む、何か……無理とかしてます?」

[メイン2] 古泉一姫 : 「………………いえ?」

[メイン2] 古泉一姫 : 微笑みながら。

[メイン2] 古泉一姫 : 私は、ノーを出した。

[メイン2] 古泉一姫 : 出してしまった。

[メイン2] 古泉一姫 : ………ここで、私の素顔を見せてしまうわけには、いかない。

[メイン2] 古泉一姫 : 出してしまえば……全て、崩壊してしまうかもしれないから。
同性を愛するという、その禁忌を見せてしまっては、私は────。

[メイン2] 遊狩ミユリ : じいっと。

[メイン2] 遊狩ミユリ : ただ、真剣に見つめる。

[メイン2] 古泉一姫 : ……ふふ、本当に臆病で、本当に性格が悪いですね。
どこまでも嘘で私の心を固めて……。

[メイン2] 古泉一姫 : 困ったものです。

[メイン2] 遊狩ミユリ : 先ほどの足への情熱を味わった古泉ならばわかるはずだろう。
その瞳には一切の陰りもなく、また揶揄いもない。

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「………そうですか」

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「古泉さんは……お優しいんですね」

[メイン2] 古泉一姫 : 「………え?」

[メイン2] 古泉一姫 : 優しい………?

[メイン2] 遊狩ミユリ : にこり、と笑って。

[メイン2] 古泉一姫 : あ、いえ、私は、確かに"優しい先輩"を演じているわけで……。
ええ、そうですとも、そう言われることに、特に動揺を見せるものでは、無いはずです。

[メイン2] 古泉一姫 : ……んん?では、私は何故……?
今……心が、ざわめいたのですか……?

[メイン2] 古泉一姫 : 「っ……」

[メイン2] 古泉一姫 : ミユリの、純粋な笑みを見て、顔が引き攣る。

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「…ミユが悪かったですね、無理なんて…そんな直球で」

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「でも、しっかりとそれにも返してくれる……」
「その優しさが、ミユは……」

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「ステキだと思います!」

[メイン2] 古泉一姫 : 「………………」

[メイン2] 遊狩ミユリ : にこにこ、続ける。

[メイン2] 古泉一姫 : あまりにも、真っ直ぐる過ぎる言葉に、私は、揺らめきようになった。

[メイン2] 古泉一姫 : ドクン。

[メイン2] 古泉一姫 : 心臓が、一瞬だけ跳ね上がった。

[メイン2] 遊狩ミユリ : ええ、ええ。
だってこんなおみ足をしている方が……

[メイン2] 遊狩ミユリ : こんな”心”を持っている方が、優しくないはずがありません!

[メイン2] 古泉一姫 : だって、私は……私は、まだ、ミユリさんのことを深く知っていないですし。
ミユリさんだって、"私"のことを知らないはず。

[メイン2] 古泉一姫 : なのに、どうして、こんな、至近距離に感じてしまうのでしょう。

[メイン2] 古泉一姫 : ……私はずっと、他人と距離を保っていた。
優しい顔だけ見せて。そうすれば、他人も、私も、ずっと幸せでい続けられるから。

[メイン2] 古泉一姫 : 「………ミユリさん、それは……」

[メイン2] 古泉一姫 :  

[メイン2] 古泉一姫 :  

[メイン2] 古泉一姫 :  

[メイン2] 古泉一姫 : 「────────気の迷いですよ」

[メイン2] 古泉一姫 :  

[メイン2] 古泉一姫 :  

[メイン2] 古泉一姫 :  

[メイン2] 古泉一姫 : ニコ、と笑う。

[メイン2] 古泉一姫 : また私は、否定してしまう。

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「……………」

[メイン2] 古泉一姫 : ………あぁぁぁ。

[メイン2] 古泉一姫 : ……何故、私は、こんな。

[メイン2] 古泉一姫 : 後悔の念に、苛まれているのでしょうか。

[メイン2] 遊狩ミユリ : そう、告げられた言葉に。
遊狩ミユリは。

[メイン2] 古泉一姫 : ………もしかしたら、私の理解者になってくれるかもしれない人が、今ここにいるかもしれないのに。

[メイン2] 古泉一姫 : ……ああ、いえ、だからこそですね……。

[メイン2] 古泉一姫 : 期待を抱いたからこそ……そんな方に、"私"を否定されたら────。

[メイン2] 古泉一姫 : ────耐えられません。

[メイン2] 遊狩ミユリ : なにもわかっていないような顔で、ただ首をかしげていた。

[メイン2] 遊狩ミユリ : そして。

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「ミユはミユは」

[メイン2] 遊狩ミユリ :  

[メイン2] 遊狩ミユリ :  

[メイン2] 遊狩ミユリ :  

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「迷ってこそが、人生だと思いますよ!」

[メイン2] 遊狩ミユリ :  

[メイン2] 遊狩ミユリ :  

[メイン2] 遊狩ミユリ :  

[メイン2] 遊狩ミユリ : にこにこ。

[メイン2] 古泉一姫 : 「……………」

[メイン2] 古泉一姫 : ……その、言葉は……。

[メイン2] 古泉一姫 : "私"を指していた。

[メイン2] 古泉一姫 : 「…………」

[メイン2] 古泉一姫 : 私は、いつもの"微笑む先輩"の顔では、無くなっていた。

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「少し、ミユのお話をしても……よろしいでしょうか…?」
こくり、と顔をかしげながら。

[メイン2] 古泉一姫 : 「………え、ええ」

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「えへへへ、お優しいです!」
また、笑いかけながら。

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「…ミユは、足が好きなんです、それもそれも、とっても大好きで、さっきみたいに熱くなってしまいます」

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「……こうなってしまったのも、多分……他の人からすれば”変”なんです」

[メイン2] 遊狩ミユリ : しょんぼりと、肩を落としながら。

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「でもでも!」
と、下がった肩や、体が上がりながら。

[メイン2] 古泉一姫 : ………ミユリの言葉を、聞きながら、その目をじっと見ていた。

[メイン2] 古泉一姫 : 「………!」

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「この事を後悔してもないですし、しても意味がないって…そう思っちゃううんです」

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「だって────」

[メイン2] 遊狩ミユリ :  

[メイン2] 遊狩ミユリ :  

[メイン2] 遊狩ミユリ :  

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「好きになったら、仕方ないんですから」

[メイン2] 遊狩ミユリ :  

[メイン2] 遊狩ミユリ :  

[メイン2] 遊狩ミユリ :  

[メイン2] 遊狩ミユリ : 困ったような、しかしどこか誇らしげな顔で。
にっこりと笑った。

[メイン2] 古泉一姫 : ……………ああ……なる、ほど……。それは……ええ、それは、言い得て妙、ですね……。
ふ、ふふ……。

[メイン2] 古泉一姫 : 好きになってしまったものは、仕方がない………。

[メイン2] 古泉一姫 : ………生物としてのレールから外れてしまった私。

[メイン2] 古泉一姫 : "異端"な私。

[メイン2] 古泉一姫 : 人間社会に溶け込むために、私はそのレールに乗ろうと、仮面を被り続けていた。

[メイン2] 古泉一姫 : でも、それは、ただただ、苦しいばかりで────。

[メイン2] 遊狩ミユリ : ミユの足好きは、止まることはない、です。
きっと、理解者なんて誰でも……いないと思ってました。

[メイン2] 古泉一姫 : 「………」
ミユリの、真っ直ぐな瞳を見て。

[メイン2] 遊狩ミユリ : ……ただ、ただ。

[メイン2] 遊狩ミユリ : この先輩だけは、古泉さんだけは、一歩。
歩み寄ってくれた、その足で。

[メイン2] 古泉一姫 : "足が好き"、という、純な感情。
大好きだと誇るその姿に、私は。

[メイン2] 古泉一姫 : 私に無い、私よりも年下なのに、強くて、堂々としていて。

[メイン2] 古泉一姫 : キラキラ輝く、その姿に────。

[メイン2] 古泉一姫 :  

[メイン2] 古泉一姫 : ────惚れてしまった。

[メイン2] 古泉一姫 :  

[メイン2] 古泉一姫 : 「…………ふ、ふふ、ふふふ……」

[メイン2] 古泉一姫 : 自分でもよく分からない笑いが、零れ落ちていく。

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「……ほ、ほええ……?み、ミユ……変なこと、言っちゃいましたかね…?」

[メイン2] 遊狩ミユリ : あわあわと、心配そうに手を振りながら。

[メイン2] 古泉一姫 : 「………いいえ、変ではありませんよ、ミユリさん」

[メイン2] 古泉一姫 : 「決して、変ではありません」

[メイン2] 古泉一姫 : 微笑みの仮面は、崩れていて。

[メイン2] 古泉一姫 : 「………好きになっては、仕方ない、そうおっしゃいましたよね?」

[メイン2] 古泉一姫 : きっと、ミユリさんに、何故足が好きになったのか?と聞いても。
答えは、好きになってしまったのだから仕方ない、ということになるのでしょう。

[メイン2] 古泉一姫 : ええ、それなら────。

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「ほ、ほわぁぁあ……良かったです良かったです…!」
……あんなに優しく、頼りになる…先輩に変なこと言ってしまったとなれば、今度こそ失望してしまいます……

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「は、ひゃい!そうですそうです!」

[メイン2] 古泉一姫 : 「………じゃあ」

[メイン2] 遊狩ミユリ : ……自分のこの、"変"を認めてくれる…この先輩には、失望はされたく…ないですから

[メイン2] 古泉一姫 : ミユリの顎に、指を添え、くい……と持ち上げ。

[メイン2] 古泉一姫 :  

[メイン2] 古泉一姫 : 「────私が、ミユリさんのことを好きになってしまっても、仕方ありませんよね?」

[メイン2] 古泉一姫 :  

[メイン2] 古泉一姫 : ニコ、と笑う。
純粋な笑顔。

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「───ふぇ」

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「ふぇ、ぇ、えええ、ええええ」

[メイン2] 古泉一姫 : ……あぁぁ、言ってしまいました。

[メイン2] 古泉一姫 : 妙に熱くなってしまった脳が、出力を誤ってしまったのでしょうかね。

[メイン2] 古泉一姫 : ふふ、ふふふ、でも……。

[メイン2] 遊狩ミユリ : 口があわあわあわ。小刻みに震えだし。
目がぱちぱちぱち。何度も瞬きを繰り返す。

[メイン2] 古泉一姫 : ……どこか、清々しいです。
ええい、もう、どうにでもなってしまえ。

[メイン2] 遊狩ミユリ : いいいいいい、いいいまままっ…!
すすすすす、すすきって言いました、言われました…かね、かね…!?!?

[メイン2] 古泉一姫 : 「………返事は、直ぐには出せないでしょう」

[メイン2] 古泉一姫 : 「ふふ、"お優しい先輩"はこれでお終いです。」

[メイン2] 古泉一姫 : ミユリの膝に、絆創膏を貼り。

[メイン2] 遊狩ミユリ : 聞き、聞き間違えでもなければ、はい、え、ええ……
あの、あのあの先輩が、古泉さんが、そのその、すすすす、好き!?!?!

[メイン2] 古泉一姫 : そのまま、立ち上がり、踵を返す。

[メイン2] 古泉一姫 : 「………お返事、待ってますね」

[メイン2] 遊狩ミユリ : ─────遊狩ミユリは、あがり症

[メイン2] 古泉一姫 : 性格の悪い先輩より。

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「…待ってください!」

[メイン2] 古泉一姫 : 「………」

[メイン2] 遊狩ミユリ : ただ、ただ。

[メイン2] 遊狩ミユリ : 鼓動して震える、この心臓を。
どこまでも上がっていく、この熱が。
ミユの体を狂わせて、さらにおかしくさせて。

[メイン2] 遊狩ミユリ : ……でも、ここで、それを止めてしまうのは、できない。
……したく、ない。

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「…今、古泉さんは、好き、って言って、くれました」

[メイン2] 古泉一姫 : ……返事を聞くのが、今更になって怖くなってしまい。
この場から逃げ出そうとしてしまった、私。

[メイン2] 古泉一姫 : 「………」

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「……それが、もし、もしです」
「ミユに対して、その言葉を、投げかけて、くれたの、なら」

[メイン2] 遊狩ミユリ : 普段なら緊張と興奮で倒れているところ、だけど。

[メイン2] 遊狩ミユリ : 一つ一つ、言葉を紡ぎ、紡ぎ。

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「…ミユは、ミユも……」

[メイン2] 遊狩ミユリ :  

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「…好きです」

[メイン2] 遊狩ミユリ :  

[メイン2] 遊狩ミユリ : ぎゅっと、服の裾を握りしめて。

[メイン2] 古泉一姫 : 「………ぁ」

[メイン2] 遊狩ミユリ : 俯いた顔から、零れるように落ちたその果実。

[メイン2] 古泉一姫 : 思わず、声が零れる。

[メイン2] 古泉一姫 : 繋ぎ止められた、私の、心。

[メイン2] 古泉一姫 : ………へ?い、今、ミユリさんは、なんと……?

[メイン2] 遊狩ミユリ : ……あ、あああぁぁぁあぁ

[メイン2] 古泉一姫 : ミユリに背中を見せたまま、顔を見せないまま。

[メイン2] 古泉一姫 : 一姫の顔は、茹蛸状態、真っ赤っかになっていた。

[メイン2] 遊狩ミユリ : 言ってしまいました言ってしまいました…
ミユのこの変な気持ちを、好きの気持ちを、性懲りも無く、また…!!

[メイン2] 古泉一姫 : いつもの、何を考えているのか分からない古泉一姫の姿は、そこにはなかった。

[メイン2] 古泉一姫 : 一姫と、ミユリしかいない、この保健室。

[メイン2] 遊狩ミユリ : ……きっときっと、この言葉は、ミユからは絶対に出ることは無いものですが
それでも、向こうが好き、と言ってくれたなら……。

[メイン2] 古泉一姫 : 外から、部活動の喧騒が小さく聞こえるだけの、密閉空間。

[メイン2] 遊狩ミユリ : ……返したい、言葉です……

[メイン2] 古泉一姫 : 「………気の迷いかもしれませんよ?ミユリさん」

[メイン2] 古泉一姫 : 臆病な私の、質問。

[メイン2] 遊狩ミユリ : 湯気が出るくらい真っ赤の顔で。
二人っきりの保健室のまま。

[メイン2] 古泉一姫 : 声を少し、震わせながら。

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「ふわ、わわ、わわわ」

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「……ミユはミユは……」

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「……古泉さんの、おみ足を……その、心を……」

[メイン2] 遊狩ミユリ :
 ・・・・・・
「好きになったから、仕方ないんです…」

[メイン2] 古泉一姫 : ………ああ、そうでしたね。

[メイン2] 遊狩ミユリ : ……好きになった、から。
…そう、足を好きになったのと同じく、ただこの気持ちも、熱の篭ったこの心も。

[メイン2] 古泉一姫 : この感情に、理由なんて……ありはしません。
……そうでしたね、失念しておりました。

[メイン2] 古泉一姫 : 「………そう、です、ね」

[メイン2] 古泉一姫 : 「………」

[メイン2] 古泉一姫 : 拳を、少しキュッと握り。

[メイン2] 古泉一姫 : 「………ミユリさん」

[メイン2] 古泉一姫 : 背中を向けたまま。

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「……う、ううぅ……」

[メイン2] 古泉一姫 : 「………これから、よろしくお願いしますね」

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「……ふぁい…」
その後ろ姿を、子犬のようにじっと見つめて。

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「………」

[メイン2] 遊狩ミユリ : 「ふわわわぁぁぁぁ!!!」

[メイン2] 遊狩ミユリ : かぁっと、かおに熱がこもる。

[メイン2] 古泉一姫 : …………ああ。心が、温かい。
後ろから聞こえる、あの子の声が、愛おしい。

[メイン2] 遊狩ミユリ : あ、うぇ、聞き間違い、じゃないです!絶対!
…好きって伝えて、YESを、貰って…!?

[メイン2] 古泉一姫 : こんな気持ち、本当に、初めてですよ……。
……"理解者"に出会えたというだけなのに……こんなに、私の心は……喜び一色になっていて……ふふ、ふふふふ……。

[メイン2] 遊狩ミユリ : はわぁぁぁ……

[メイン2] 遊狩ミユリ : どきどきどきどきどき。

[メイン2] 遊狩ミユリ : 心臓が飛び出でるくらい、高鳴って痛い。

[メイン2] 古泉一姫 : ……ああ、"だけ"と吐き捨てるのも……おかしな話ですね。
レールから外れた人生で、もしかしたら、一生出会えることの無い方に……こうして、巡り会えたのですから。

[メイン2] 古泉一姫 : ……ふふ、ふふふ。

[メイン2] 古泉一姫 : 恋って……

[メイン2] 古泉一姫 : 私を、こんなにも狂わせてしまうもの、なのですね────────。

[メイン2] 遊狩ミユリ : ……こんなに、ああ……
"好き"って言葉は、素敵で、愛おしくて……心地いいんでした……

[メイン2] 古泉一姫 : ────────困ったものです。

[メイン2] 古泉一姫 :  

[メイン2] 古泉一姫 :  

[メイン2] 古泉一姫 :  

[メイン2] アン :  

[メイン2] アン : 「ご...ごめん...なさい...!」
飛び飛びになるのは吃音癖だけではなく、息が荒いでいるせいでもある。

[メイン2] 佐々木藍 : 「このぐらいなら全然大丈夫だよー」
息も切らさずついていく

[メイン2] アン : 「げ...元気...です...ね...!」

[メイン2] 佐々木藍 : 「動くのは好きだからねー」
嬉々として体を動かす

[メイン2] アン : 「ハァ...ハァ...」
足を止めて。

[メイン2] アン : 「こ...ここです...」

[メイン2] アン : 大きな城のような屋敷を指さす。

[メイン2] 佐々木藍 : 「すごーい!おしろー」
その大きさに目を輝かせる

[メイン2] 佐々木藍 : 「もしかしてアンお金持ち―?」

[メイン2] アン : 「い...いえ...!私はここで...お...お世話になってるだけで...」

[メイン2] アン : 「で...でも...料理や遊びに来る分には...!も...問題はないと...思うので...!」

[メイン2] アン : 多分、と付け加え。

[メイン2] 佐々木藍 : 「そっかー……でも大丈夫。ダメだったら道具だけ持ってきて……調理室でしちゃお?」

[メイン2] アン : 「う...うん...!」

[メイン2] アン : どこまでも自分本位に。
他人である私を見てくれる。

[メイン2] アン : ありのままの私を...気にせずに...

[メイン2] アン : 「....」

[メイン2] アン : 扉に手をかけて。

[メイン2] アン : 「...ありがとう」

[メイン2] アン : 「...とても...楽しかった...です」

[メイン2] 佐々木藍 : 「藍も、とっても楽しかったよー!」
そういって、扉が閉まるまで手を振り続けた

[メイン2] アン :