[メイン2] やみっち : ▼恐るべきOKOTA
「かかったな! 魔王軍四天王が一柱、発明の鬼の最強兵器……OKOTAの威力を受けてみよ!」
 説明しよう! OKOTAとは!
 あったか~い魔石を食卓サイズの木のやぐらと布団で覆ったシンプルな構造でありながら、中に入った者の戦意を吸い尽くす恐ろしい幻惑兵器である!

 仲間(助演)による必死の救出を横目に、思いっきり誘惑に負けてOKOTAに吸い込まれ中のあなたの思考は、なぜだか妙に澄み切っていた。
 ……もう、ここで一生ダラダラしてればよくない?

 今、ここに留まりたいあなたと、先に進もうとする仲間(助演)の、自分たち史上最大の仲間割れが始まる!!

★キーワード
 あったかぬくぬくごろごろりん、ネコちゃん、絵面的にアウト、痛いのも苦しいのも嫌、「なぜ戦わなきゃいけないの?」

[メイン2] やみっち : 主演:やみっち
助演:アリィ

[メイン2] やみっち :  

[メイン2] やみっち :  

[メイン2] やみっち : ……

[メイン2] やみっち : 勇者と離れ、アリィと二人になっていたやみっちは…

[メイン2] やみっち : 魔王軍の新兵器、OKOTAの術中にはまっていた…

[メイン2] やみっち : 「ああ……もうどうでもいいな色々と…」

[メイン2] アリィ : 「はい…体がとろけてしまいそうです」

[メイン2] アリィ : 私もOKOTAのと虜になっています

[メイン2] OKOTA : 「ふははははそうだろうそうだろう!」

[メイン2] OKOTA : 「お前達はこれから快適な私と融合しこたつむりになるのだ」

[メイン2] アリィ : 「それも…愛に溢れていそうで…楽しそうですね」

[メイン2] やみっち : 「ウン…」

[メイン2] アリィ : 「勇者様とぴのさんもこっちに来ればよかったのに…」

[メイン2] OKOTA : (所でこいつ何か見覚えあるけど気のせいか…?)
やみっちの方をこたつの目で見てる

[メイン2] アリィ : 「はふぅ~…」

[メイン2] やみっち : 「これも何かの縁か…」

[メイン2] アリィ : 「…もう本当にどうでも良くなって…」

[メイン2] アリィ : その時、ドキッと高鳴る胸の鼓動

[メイン2] アリィ : 「…良くなって」

[メイン2] アリィ : 「良くありません!」

[メイン2] アリィ : ガバッとコタツから這い出る

[メイン2] OKOTA : 「なにっ」

[メイン2] やみっち : 「ん~……?」

[メイン2] アリィ : 「やみっちさん!私たちはこんなところでゆっくりしているわけには行きません!」

[メイン2] アリィ : 「魔王を倒して、愛に溢れた世界を取り戻さないといけないんです!」

[メイン2] やみっち : 「え~~~?でもぉ~~~…」
正直魔王が勇者な時点でどうすればいいかなんてわからなかったしこのままずっと炬燵でのんびりするのもいい気がしてきた

[メイン2] アリィ : 「やみっちさ~~~ん!」
やみっちの体を揺り動かす

[メイン2] OKOTA : 「どうやらもう片方は駄目なようだなァ……」

[メイン2] やみっち : されるがままゆすられてる

[メイン2] アリィ : 「そんなはずはありません!やみっちさんもずっと私たちと旅をしてきた仲間です!」

[メイン2] アリィ : 「勇者様とぴのさんが危険な状況にあるかもしれないんです!」

[メイン2] やみっち : 「でもなァ…戦う必要あるかって言われるとなァ…」

[メイン2] アリィ : 「きっとこのあたたかい兵器?のせいで、本心は助けに行きたいはずなんです!」

[メイン2] アリィ : 「戦わなくたっていいんです!魔王に愛を説いて悪いことをやめてもらえばいいだけなんですから!」

[メイン2] やみっち : 「……」

[メイン2] アリィ : 「だから、戦うのがいやなら、無理に戦わなくてもいいんです」

[メイン2] アリィ : 「でも、勇者様とぴのさんが危険な目に遭ってるのなら、せめて助けには行きたいんです!」

[メイン2] アリィ :  

[メイン2] アリィ :  

[メイン2] アリィ :  

[メイン2] アリィ : ▼刹那の落下
 ここは魔王城外壁上。
 城は切り立った崖の上で、足を踏み外せば絶壁の奈落だ。
 他に道がなかったのか、あるいは敵に追われてか……危険だとわかっていながら、あなたたちはここを走っていく。

 けれど、嫌な予感というのはあたるもので。
 目の前で、敵の魔術が、仲間(助演)を横薙ぎに吹き飛ばす。
 仲間(助演)の身体は、瓦礫と共に宙に浮く。
 ……ああ、落ちる。
 この深淵に落下すれば、さすがにひとたまりもないだろう。

 反射的に伸ばされた仲間(助演)の手を前に、あなたは。
★キーワード
 空を切る、奈落に吸い込まれていった瓦礫、目が合う、早鐘を打つ鼓動、「どうして?」

[メイン2] アリィ : 主演:アリィ
助演:リリス

[メイン2] アリィ :  

[メイン2] アリィ :  

[メイン2] アリィ : 何とかやみっちさんをOKOTAから引きずり出して、勇者様とぴのさんと合流を図ったのですが、今度はやみっちさんとはぐれてしまいました

[メイン2] アリィ : しばらく一人で外壁を歩いていると、目の前に一人の影が

[メイン2] アリィ : 「…!」

[メイン2] リリス : 「……むっ!そこにおるのは……アリィか!」

[メイン2] アリィ : 「その声は、勇者様!?」

[メイン2] リリス : ハァ…ハァ…と呼吸を荒げながら、アリィと合流する。

[メイン2] アリィ : 「良かった!ご無事だったんですね」

[メイン2] リリス : そして、怪我を負いながらも、にこっ、と笑う。

[メイン2] リリス : 「ああ……!そっちも無事であったようで何よりだ……!」

[メイン2] アリィ : 「はい。私もやみっちさんと先ほどまで一緒だったのですがはぐれてしまって…」

[メイン2] アリィ : 「そういえばぴのさんは?」

[メイン2] アリィ : キョロキョロと周りを見渡す

[メイン2] リリス : 「むぅ……そうか……いや、こっちも同じ状況でのう……」

[メイン2] リリス : 余の城とは言えど、中々厄介なものになっておる。

[メイン2] リリス : ……いや、余が知っている構造とも違う。

[メイン2] リリス : 幹部の者共が手を加えたのか─────?

[メイン2] リリス : そう思案を巡らせていると。

[メイン2] リリス : ふわーっ。

[メイン2] リリス : アリィの眼前から、リリスの姿が消える。

[メイン2] リリス : そしてその小さな体は、空を切って……。

[メイン2] アリィ : 「闇雲に探し回っていても仕方ありませんし、ひとまず勇者様の怪我を回復して…」

[メイン2] アリィ : 「……!?」

[メイン2] アリィ : 「ゆ、勇者様!?」

[メイン2] リリス : 「ぐああああああああああ……!!!」

[メイン2] リリス : それは魔術であった。

[メイン2] アリィ : 叫び声の方に目を向ける

[メイン2] リリス : リリスの体に直撃したそれは、膨大な魔力量であり

[メイン2] リリス : 城の壁を突き破り、そして……

[メイン2] リリス : 「はぁ……!はぁ………!!」

[メイン2] リリス : リリスは、大きな穴に落ちようとする一歩手前で、なんとか崖に掴まった。

[メイン2] リリス : 壁崩壊時に、奈落に吸い込まれていった瓦礫は、地面と衝突する音も無い。

[メイン2] アリィ : 目の前の敵に応戦しようと、手を構えてようとするが…

[メイン2] リリス : それほどにまで、真っ暗な闇が、そこにはあった。

[メイン2] アリィ : ……!それどころじゃありません!

[メイン2] アリィ : 「勇者様!」

[メイン2] リリス : 「アリィッ……!!近寄るでない!!!」

[メイン2] リリス : アリィと目が合い、そしてそう叫ぶ。

[メイン2] アリィ : すぐさま崖に捕まるリリスに手を差し出そうとする

[メイン2] アリィ : 「な、何を言ってるんですか!?」

[メイン2] リリス : 「まだ罠があるやもしれんのだぞッ……!!!」

[メイン2] リリス : と言いつつも、リリスの体はもう既にボロボロの状態であり。

[メイン2] アリィ : 「……っ!」

[メイン2] リリス : 先程の魔術罠によるダメージも、確実にリリスの体を蝕んでいた。

[メイン2] リリス : 崖を掴む手も、震えていた。

[メイン2] アリィ : 「…例え罠があったとしても、勇者様を見捨てられません!」

[メイン2] アリィ : リリスの言葉を無視して手を掴む

[メイン2] リリス : 「……なにっ……!?」

[メイン2] アリィ : 「…こんなに震えてるじゃないですか!」

[メイン2] リリス : 「……………」

[メイン2] リリス : ……何も言い返すことはできなかった、リリスは既に、瀕死状態も同然であった。

[メイン2] リリス : 「……のう、アリィよ」

[メイン2] リリス : 「ここで手を離したら」

[メイン2] リリス : 「─────世界が平和になると言ったら、どうする?」

[メイン2] リリス : 「アリィも、お主の故郷の者達も宴ができる世界に戻ると言ったら、どうする?」

[メイン2] アリィ : 「…そんな世界は平和ではありません」

[メイン2] リリス : アリィは、心優しい少女だ。
だから全部話しておきたかった。

[メイン2] アリィ : 「みんなで平和に暮らしてこそ平和なんです」
ニコリと優しく微笑みかける

[メイン2] リリス : ……ずっと、自分が魔王であるという身分を隠し続けてきたことに
心を痛めていた。

[メイン2] リリス : 「…………!!」

[メイン2] リリス : 「……アリィ……」

[メイン2] リリス : ……はは、なんたる、聖者よ……。

[メイン2] アリィ : 「…だから、そんなこと言わないでください」

[メイン2] リリス : ある方向へ一歩進めば、違う場所からは二歩離れる。
……魔王とは、勇者とは、そういうものなのかもしれぬのう。

[メイン2] リリス : 「………はは、すまない……アリィよ」

[メイン2] リリス : 「……そして、ありがとう、手を取ってくれて」

[メイン2] リリス : 困り眉で、にこりとアリィに笑いかける。

[メイン2] アリィ : 「はい!私は勇者様を助けるためにいますから!」

[メイン2] アリィ : ゆっくりと引き上げる

[メイン2] リリス : 全く……この娘は、本当に眩しいのう。

[メイン2] リリス : 「っとっと……ふぅ……本当に助かった」

[メイン2] リリス : ぱっぱっと埃を払いつつも。

[メイン2] リリス : 「………しっかし、アリィの方が、勇者に向いておるよのう、本当に」

[メイン2] リリス : じぃ~~っと、アリィを見つめながら。

[メイン2] アリィ : 「…え?私の顔になにかついていますか?」

[メイン2] リリス : 「はは、髪にゴミ屑がついておるだけだ」
アリィの頭を優しく払い、埃を払う。

[メイン2] アリィ : 「わぁありがとうございます」

[メイン2] リリス : ……つい、誤魔化してしまったわ。

[メイン2] リリス : ………余は、この者達と敵対する身。

[メイン2] アリィ : 「でも、そうやって他人を気遣う優しい心の持ち主である勇者様こそ勇者ですよ」

[メイン2] リリス : 「……………はは、小恥ずかしいことを」
少し頬を朱に染めながらも。

[メイン2] リリス : 「……よし、アリィ!ここからが本番ぞ!」

[メイン2] アリィ : 「はい。でも、少し休んでから2人を探しに向かいましょうか」

[メイン2] リリス : うむ!と頷き。

[メイン2] アリィ : 「勇者様が傷だらけですからね」

[メイン2] リリス : 世界はそんなに単純ではない。
されど、確かなものも、存在する。

[メイン2] リリス :  

[メイン2] リリス :  

[メイン2] リリス :