Ccfolia Log

01_1

あなたはこの6月、ほとんどを親戚の家で過ごすことになっていた。
理由はなんでもいい。
未成年であれば両親の仕事の都合であるだろうし、成人しているのであれば、住んでいるアパートが全焼したのかもしれない。
いやはや全く、世の中、何が起こるかわからないものだから。
日付で言うならば、6月1日から、6月22日まで。そこそこの期間だ。


▼01_2へ

01_2

あなたを受け入れたのは叔母だった。
叔母はのどかな土地＿＿言葉を選ばずに言うとクソ田舎＿＿に平屋の一軒家を建て、そこで独り住んでいる。
その一室を、あなたは6月の大半間借りしていた。

叔母は言う。


▼01_3へ

01_3

「この村、ちょっと変わってるからさ。馴染むまで時間かかるかも。あ、だから、ここにいる間に馴染めきれないかも」

「無理だな、って思ったら、すぐに逃げるんだよ。他人の家にまでは入ってこないからさ」


あなたはそんな話を聞き流しつつ。
今日も、梅雨のわりに晴れている空を＿＿＿


まるで、真夏のような空を、見上げていた。


▼02_1へ

02_1

気温は38度。異常気象ではないかと疑う温度をたたき出しているが、ニュースにはなっていない。
この地域は毎年、こんなものらしい。

叔母は今日は朝から忙しそうにしていた。
いつもニート……否、なんの仕事をしているのか不明な叔母であるが、やることがある日もあるようだ。


▼02_2へ

02_2

叔母曰く。


▼02_3へ

02_3

「うちの村はね、夏至の日は祭りを開くんだ」
「っていっても田舎の限界で、村のはずれにある鐘の周りで踊って、皆でお酒とか食べ物を持ち寄って、バカ騒ぎするだけ」
「一応目玉はあるんだよ」
「鐘を鳴らすのは夏至の日だけなんだ。すっごいうるさいけど、体がびりびりして、迫力すごい」
「君も鳴らしてみるといいよ。なんか、元気でるよ。知らないけど」

適当な言葉は、話の締めくくりだったようだ。


▼02_4へ

02_4

あなたが興味があるかはさておき。
今日は叔母より、手伝いを言い渡されている。行くしかない。

「お酒はそれでしょ。ご飯はお隣の宮野さんたちが仕切ってるから、一旦うちはお酒と麦茶でいいかな……最悪ニャンコつれていこう。猫は世界を救う」
「ああ、あと、タオルとポカリね！日照時間が一番長いからなのか、めちゃくちゃ暑くなるんだ。酒盛りが始まるのは夕方からだから、それまで動きっぱなしだよ。暑いよ。君も持っていきなね」

（RPの後）


▼02_5へ

02_5

あなた達は荷物をまとめ、家を出た。
足元にまとわりついてくる猫をいなしながら車に乗り込み、叔母がエンジンをかける音を、助手席で聞く。

「あ、ニャンコ忘れた。まあいっか、塩持ったし」
「今日が君の最後の夜だねぇ」
「大したもんじゃないけど、まあ、楽しんでいって。いい思い出になればいいな」

にこ、と。叔母が笑った。
車内だというのに、めちゃくちゃ暑い。


▼03_1へ

03_1

連れていかれたのは叔母の家から離れたところにある広場であった。
あなたはここに、一度だけ来たことがある。
この村に到着した日の案内で。

「初日に来ただけだよね、たぶん。まあ用事ないか、鐘があるだけだし」

そう言って、叔母は車を止めた。


▼03_2へ

03_2

ここは村の人達もなかなか足を運ばないらしい。
理由は簡単だ。本当に鐘以外、何もないのだ。

なぜこんなところに鐘を設置したのだろうと疑問に思うほど、ここには何もない。
開けた土地の真ん中に鐘楼のようなものが建てられている。本当に、ただそれだけ。


＜知識＞


成功
　▼03_2成功へ
失敗
　▼03_2失敗へ

03_3

「昔はこれで火事を知らせたんだって。火事の時に鳴らす鐘にしてはデカすぎるよね、めちゃくちゃ不便。たぶん嘘だよ」
「まあでも、村の人たちはそう信じてる。それがここの普通なんだ」
「夏至の日の夜、皆で順番に鐘を鳴らしていくの。君も鳴らしてみなよ」
「あんなに大きな鐘を鳴らせるなんて、なかなかないよ」


▼03_4へ

03_4

叔母と話しながら荷物を降ろしていると、村人たちが続々とやってくる。
村人たちはあなた達ににこやかに話しかけ、楽しそうに準備を進める。
お菓子を持ってくる家。料理を持ってくる家。あなた達のように、飲み物を持ってくる家。犬を持ってくる家。様々。
この村では、この夏至の日が祭りのようなものなのだろう。

笑顔で。
楽しそうで。
和やかな雰囲気だ。


＜アイデア＞


成功
　▼03_4成功へ
失敗
　▼03_4失敗へ

03_5

日が暮れてくる。
夜が来る。
長い暑い日が終わる。


通常ならば。


▼03_6へ

03_6

本来夕焼けに差し掛かるだろう時間になっても、まだまだ空は明るかった。
いや、少し変わった日の暮れ方をしているとでもいうのか。

この村の周辺は、夕暮れだ。
しかしこの村の上空は、遠くの空よりも明るい。
特に灯りを燈しているわけでもないはずなのに、この広場を中心に、ぼんやりとした光が空を照らしていた。


▼03_7へ

03_7

夜がやってきている。この村以外に。

しかしこの村はまだ、明るい。暑い。夜の涼しさはやってこない。


この村には、すでにもう、夏が来ている。


▼03_8へ

03_8

あなたはここで、家に帰るか、この場にとどまるか、選ぶことができる。


（選択後）


▼分岐へ