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01_1

あなたはこの6月、ほとんどを親戚の家で過ごすことになっていた。
理由はなんでもいい。
未成年であれば両親の仕事の都合であるだろうし、成人しているのであれば、住んでいるアパートが全焼したのかもしれない。
いやはや全く、世の中、何が起こるかわからないものだから。
日付で言うならば、6月1日から、6月22日まで。そこそこの期間だ。


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01_2

あなたを受け入れたのは叔母だった。
叔母はのどかな土地＿＿言葉を選ばずに言うとクソ田舎＿＿に平屋の一軒家を建て、そこで独り住んでいる。
その一室を、あなたは6月の大半間借りしていた。

叔母は言う。


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01_3

「この村、ちょっと変わってるからさ。馴染むまで時間かかるかも。あ、だから、ここにいる間に馴染めきれないかも」

「無理だな、って思ったら、すぐに逃げるんだよ。他人の家にまでは入ってこないからさ」


あなたはそんな話を聞き流しつつ。
今日も、梅雨のわりに晴れている空を、縁側から見上げていた。


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02_1

今日は、6月19日。

昨日、6月18日は不可解なことに遭遇した。
あれをその一言でまとめるのはいかがなものかと思うが、そういう他無いのだから仕方がない。
今日は平和に過ごしたい。

と、思うものの。

なかなか人生は思い通りにいかないのだ。


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02_2

あなたは今、曰くつきの森の前にいる。


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叔母の家の近くに買い物が出来る場所はない。
一番近くのコンビニは車を使わないといけない場所にある。
電波が通じず、スマートフォンが使えないここでは、コンビニに行くことすら娯楽になるのだが、いかんせん遠すぎる。

……しかし。実は。近道があったのだ。

近道といっても、道と呼べるのかは微妙なところだ。
いわゆる道路を通るなら、コンビニまでの距離は片道50分ほど。
道路ではなく森をつっきる形で直進するのなら、20分ほど、というわけである。


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02_4

20分。

いくら天気が良くとも、森の中は木陰が多く涼しい。木が生えているだけで気温が下がっている気がする。
6月になれば夏かと思うほどに暑いものだが、以前通った時はとても涼やかに感じたのだ。

もうすぐ夏至だ。一年で一番日照時間が長い日を指すらしい。
だからなのか、昨日にくらべ、一気に気温があがった。年号がかわってからの寒暖差はひどいものだ。
だがそれも、この森には関係ないだろう。


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03_1

そう。以前。この道を発見した時。
たしか6月、16日くらいのこと。


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03_2

あなたはこの道を発見した。
近年まれにみる大発見と思えるほどに興奮したかもしれないが、それはさておき。

このことを、叔母に伝えた。

自慢げにだったのかはあなたの性格によるだろうが、叔母は、あなたの話し方に関わらず、わかりやすく眉を寄せた。


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03_3

「君、あそこの森を通ったの？」

どこか非難がましい言い方。咎められたともとれるような。
それは口から出した叔母もそう思ったようで、すぐに「あ、ごめん。いやな言い方した」と訂正された。


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03_4

「あそこの森は、村の人は突き抜けないんだよね。突き抜けたら20分くらいでコンビニにはいけるんだけど、それより車で迂回することを選ぶよ」
「ちょっと……ね」

叔母はそういうと、目をそらした。


理由を聞く
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03_5

「あそこの森にはね、お地蔵様があって。あんまりよくない噂、いや、言い伝えなのかな。まあ、そういうのがあるんだ」
「だから村の人はそもそも近づかないかな」


詳しく聞く
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03_6

「普段は別に、なんてことないただの地蔵なんだ」
「でも、たまに、笑うらしい」
「笑ったら走って逃げないといけない、っていうのが言い伝え。逃げないと死んじゃうんだって」
「小学校の頃、本当に笑い声を聞いた子がいてね。あれはかまわれたくて言った嘘じゃあなかった」
「……まあ、信じるかどうかは君に任せるけど。でも、笑い声が聞こえたら、逃げなね」

（RPの後）


＜交渉系技能＞


成功
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失敗
　▼03_6失敗へ

03_9

あなたはそう結論付け、忠告は聞き流すことにした。
だって、20分でコンビニにいけるのだ。

20分先のコンビニは、強い。


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04_1

そうして、また今日の話に戻るのだが。
あなたは森へと足を踏み入れた。20分先のコンビニに行くために。


＜CON*5＞


成功
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失敗
　▼04_1失敗へ

04_2

みしみし。さくさく。
あなたの足音が響く。

みしみし。ぶーん、うわ、虫だ、なんてしていると。


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04_3

目の前に、地蔵が現れた。


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04_4

一つ一つ、顔が異なる。
しかしどれも平等に、苔むしている。
手入れがなされていないのは一目瞭然だ。


＜目星＞


成功
　▼04_4成功へ
失敗
　▼04_4失敗へ

04_5

あなたは地蔵を横目に、歩みを進めた。


通り過ぎた、そこで。


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04_7

「はは」


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04_8

声が聞こえた。


▼04_9へ

04_9

「ははは」

「あは、はははは！！」


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04_10

「あはははは！！！はははははは！！！」

「はははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは！！！！！」


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04_11

笑い声が、後ろから、聞こえた。

1/1d4の正気度を失う。


＜POW*5＞


成功
　▼04_11成功へ
失敗
　▼04_11失敗へ

04_14

あなたは手を振り払い、一目散に逃げだした。


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04_15

あなたは走った。
恐怖を振り切るように。
あの石の像から逃げるように。


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04_16

後ろから聞こえる笑い声は離れない。追いかけてきているのか、なんて、考えたくもないのに。
真後ろから聞こえ続けるから、思わずにはいられない。

手が伸びる。
あなたの足を掴む。
つんのめりながら振り払い、動かし続ける。


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04_17

「はは！！！」

「ははははは！！！！！」


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04_18

「あはははははははははは！！！！！！！」



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04_19

草木をかき分け、方向も確認せず、虫にぶつかることもいとわず、走って、走って、走って＿＿＿＿＿


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04_20

そうして、森を抜けた。


＜聞き耳＞


成功
　▼04_20成功へ
失敗
　▼04_20失敗へ

05_1

「あれ？どうしたの、そんなに汗をかいて」

前に向きなおれば、そこは、コンビニの裏であった。
そして不思議そうに首をかしげる、叔母がいた。


▼05_2へ

05_2

丁度コンビニに買い物に来ていたという叔母が、冷房の効いた店内でアイスを選びながら言う。

「コンビニに行きたいなら言ってくれればよかったのに。車くらい出すよ、最近暑くて、いつだってアイスを食べたいからね」
「それにしてもそんなに汗をかいて……家に帰ったらシャワーを浴びなさい。足も泥だらけじゃない。どこを歩いたらそうなるんだか……」

（RPの後）


森を抜けてきたことを話す
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森を抜けてきたことを話さない
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05_3

あなたが森を抜けたことを話すと、叔母は顔をしかめた。

「君、あんまり人の言うこと聞かないな？」
「まったくもう。車出すから、次からは声をかけること。いいね？」
「たまにあそこで行方不明になる子もいるんだから……死んじゃうって噂はそこから来てるんだよ。あの子は帰ってこなかった、だからきっと、笑い声が聞こえても逃げなかったんだ、って」

叔母がため息を吐いた。


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05_5

叔母とアイスを見ていれば、あなたの動悸も収まってくるだろう。
ふうと息を吐けば、なんだかおなかが減ってくきた気もする。
当初の予定通り、あなたも欲しいもの、お菓子やジュースを買うといい。

（レジに並ぼうとなったら）


POW判定に成功後、振り向いていない場合
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POW判定に成功後、振り向いた場合
またはPOW判定に失敗している場合
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05_7

「あ、いいな～ホットスナック。買って帰ろうかな」
「ほらあの、からあげとか」

叔母が笑顔で指をさす。
暑い今の時期。
しかし叔母は半袖ではなく、七分丈のシャツを着ていた。


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