Ccfolia Log

岡本 こより

教えるよ！

岡本 こより

こわっ！まぁいいや！出航～～～！

岡本 こより

「ねぇ君、誰と話してるの？」

岡本 こより

突然、アスクの後ろから話しかけてくるは、ポニーテールの、体躯の大きめな女性。

岡本 こより

波音の聞こえる港にて、ぶつぶつと呟く子どもがいたから話しかけたようだ。

岡本 こより

「ていうか、その格好すごいね！もしかして、コスプレってやつ？」

岡本 こより

「へぇ～！でもここにいるってことは、キミもツアーの参加客だよね？」

岡本 こより

「あんまり見ない顔だからさ、つい話しかけちゃったんだよ～、気を悪くしちゃったらごめんね～」

岡本 こより

「でもほら、普通さ、海の上を行くわけだし」

岡本 こより

薄い白地のシャツを軽く引っ張ると、離して。

岡本 こより

「こういうね？身軽な格好で行くと思うしさ」

岡本 こより

「珍しいな～！って、好奇心ってやつ？」

岡本 こより

「？」
きょとんと、小首を傾げてる。

岡本 こより

「あ、わかった。もしかして、芸人さん？」

岡本 こより

「ビックリしちゃった！急に一人芝居始めちゃったから、そういうキャラなんだね！」

岡本 こより

「はいは～い！そういうことね！大丈夫、お姉さんそういうの結構好きだし～！」

岡本 こより

「あ、でもとりあえず海の上行くわけだし、白衣は抜いだ方がいいかも？」

岡本 こより

「万が一ってこともあるじゃない？海はね、綺麗だけど、危険もたっくさんあるからね！」

岡本 こより

「ああなるほどねぇ、それは熱心なことだ！キャラは大事だからね、プロ根性見せてもらったよ！」

岡本 こより

「将来ビッグになりそうな予感もするし、せっかくだからツバつけちゃお～」

岡本 こより

「アタシの名前は、岡本こより！大学で水産業学んでる、ただの女子大生～」

岡本 こより

「そーして！夜釣り体験ツアーの参加客でもあーる！よろしくね！」

岡本 こより

「ジョンドゥちゃんと明日香ちゃんね～！よろしく～！」

岡本 こより

「楽しいこと見せてもらったし、せっかくだからアタシも何かお返ししよっかなー」

岡本 こより

「あ、そうだ！」
手の上に、ぽんと軽く拳を乗せて。

岡本 こより

CCB<=85 知識 (1D100<=85) ＞ 94 ＞ 失敗

岡本 こより

「そういえばね～！実はこの辺に、面白い噂話があってね！」
人差し指を立て、にっこりと得意気に語ろうとするも。

岡本 こより

「……？あれ？なんだっけ、うーーん、やっぱごめん！忘れちゃったー！」

岡本 こより

「まぁとにかくね！ここの海はね、曰く付きだったりするんだ～」

岡本 こより

「明日香ちゃんにとって、いいネタになったらいいね！」

岡本 こより

「？」
暫く黙り込む明日香の顔を覗き込み、また小首を傾げつつも。

岡本 こより

「お腹痛い？ちょっとツアーコンダクターの人に掛け合ってこようか！」

岡本 こより

ぐいっと、無遠慮に明日香の腕を引っ張り、港までぱたぱたと駆け出すのだった。強制的に。

岡本 こより

「無理しないしない！ほーら行くよ～！」

岡本 こより

「あ、いたいた！すみませーん！ツアーコンダクターさん～！」
明日香を引っ張りながら、手を振る。

岡本 こより

「実はかくかくしかじかでー」
説明描写に時間を割くわけにもいかないので、かくかくしかじかで済ませる。
ただこうして地の文で補足情報を書くくらいなら、最初から事情を説明していい気もするが、もうやってしまったことは仕方ないのである。

岡本 こより

「この子、ちょっと調子が悪そうなんです～」

岡本 こより

海釣の前に明日香を立たせる。

岡本 こより

「おおっ、プロ根性の再来だ」

岡本 こより

「海釣おじさん～！ごめん！やっぱ大丈夫だったっぽい！」
てへぺろ、と手を合わせながら謝罪のポーズ。

岡本 こより

「ひゅ～！さっすがぁ～！よっ！海よりも広い器の持ち主！」

岡本 こより

「そしてその常連客～」

岡本 こより

後ろから明日香の両腕を勝手に掴んでは、ぶらぶらと弄んでる。

岡本 こより

「そういえば海釣おじさん～、えーっと、なんだっけ？アレ！」

岡本 こより

「そうそう！それそれ！」

岡本 こより

「いつ見てもブサカワ～！」

岡本 こより

「それ唇でも判断してない？大丈夫？」

岡本 こより

「外国人観光客いたらギョッとしちゃうよ」

岡本 こより

この子、ブラックジョークもイケるんだぁ、と心の中で思うこよりだった。

岡本 こより

「ちなみに海坊主は海を沈める魔物として知られてるけど、シーボーはそんなことなくて、シーボーはただ仲良くしたかっただけなんだよね……」

岡本 こより

「㌧㌧、シーボーは死にました」

岡本 こより

「どう？明日香ちゃん、ネタになりそ？」

岡本 こより

明日香の両手首を掴んで、勝手にぷらぷらと遊んでる。

岡本 こより

「？」
小首を傾げる。

岡本 こより

「芸人でしょ？もしくはユーチューバーとか、そのへん」

岡本 こより

「科学者はずっと白衣じゃありませーん、私も大学生なんだから、そのくらい分かるよ～」

岡本 こより

「私の教授だって、海洋調査の時は身軽な服着るもん」

岡本 こより

「あはは！やっぱり明日香ちゃんっておもしろ～！」
けらりと笑いながら。

岡本 こより

「変わり者だよね～！……あ、そういえば、変わり者と言えば」

岡本 こより

声を潜め、小声になり、顔もなるべく明日香、海釣へと近づけながら。

岡本 こより

黒目を、港へ佇み、地平線へと見やるお婆さんへと向けて。

岡本 こより

「……あの人、今日もいるんだ？」

岡本 こより

はーい…と、こればかりは素直に聞き入れ、反省の返答を漏らす。

岡本 こより

別にこよりとしては、陰口でも叩こうというつもりは無かったが、結果的にそう見られても仕方ないものではあった。

岡本 こより

「……でも、1週間や2週間なら分かるけどさ……」
眉尻を下げ、憐憫の表情をお婆さんへと向けつつ、海釣の話の続きをしっかり聞き届ける。

岡本 こより

「─────10年だよ？」

岡本 こより

「家族を失うのって……それだけ、ずっと重く圧し掛かるのかなって」

岡本 こより

「まだアタシ、家族みんなぴんぴんしてるからさ、そういうの、分からなくて」

岡本 こより

アタシは向かわないのでお好きにどうぞ～

岡本 こより

こよりは海釣と違う話題で盛り上がっていた、主にこの海で釣り上げられる魚についてだ。

岡本 こより

「今日こそはね～！海釣おじさんよりもおっきな魚、釣っちゃうからね～！」

岡本 こより

「いやいや！そろそろ世代交代っしょ～……あ！明日香ちゃんおかえり～！」

岡本 こより

ああ……あの人のこと……と、眉を顰め、表情を複雑なものへと変えると。

岡本 こより

ちらりと、海釣の方へと、視線を向ける。

岡本 こより

「……いわゆる、軽度の心的外傷後ストレス障害ってやつだよねぇ」

岡本 こより

声のトーンを落とし、物悲し気にそう漏らす。

岡本 こより

「……それより！」
手を叩き。表情を切り替え、声も張ると。

岡本 こより

「そろそろツアー開始っしょ！海釣おじさん！」

岡本 こより

「いえ～い！船旅だ～～！」

岡本 こより

声を弾ませながら、ライフジャケットを器用に着ると、船に飛び乗る。

岡本 こより

波に揺られ、足場こそ不安定になっているが、こよりは慣れっこのようで、平然と低位置へと移動する。

岡本 こより

「今日も唸ってくれよぉ～！アタシの釣り竿ちゃん❤」

岡本 こより

🌈

岡本 こより

「来た来た来たぁ！来た！！来い！！アタシの魚ちゃん～～～！！」

岡本 こより

立ち上がり、仰け反り姿勢で竿を引き上げる。

岡本 こより

CCB<=65 幸運 (1D100<=65) ＞ 14 ＞ 成功

岡本 こより

1D100 (1D100) ＞ 97

岡本 こより

大丈夫？

岡本 こより

「は？」

岡本 こより

「いやいや、めっちゃ重たい引きだったじゃん！？なんでビニール袋！？」

岡本 こより

「まぁ海を綺麗に出来ただけでもいっかぁ、二人はどう～？」

岡本 こより

アタシ見たくないからいい感じにしてちょ

岡本 こより

「？　また一人でぶつぶつ呟いてるけど……まぁ楽しそうだし、いっか！」

岡本 こより

「とりあえずアタシは、いい物が釣れるまでやるぞぉ～！」

岡本 こより

「海よ！アタシに秘宝を届けておくれ～！」

岡本 こより

x3 CCB<=65 幸運 #1
(1D100<=65) ＞ 88 ＞ 失敗

#2
(1D100<=65) ＞ 36 ＞ 成功

#3
(1D100<=65) ＞ 18 ＞ 成功

岡本 こより

x2 1D100 #1
(1D100) ＞ 35

#2
(1D100) ＞ 18

岡本 こより

「っしゃい！！どんなもんじゃい～～！」

岡本 こより

吊り上げた二匹の魚の重さは、生命を感じさせるものだった。
まさしく、海の幸というもの、糸の先から伝わる激しい暴れは、その新鮮さの証である。

岡本 こより

「どうよ海釣おじさん！今回の勝負は、やっぱアタシの勝利じゃない～？」
得意気に、にやりと笑いながら。

岡本 こより

アタシは探索しません、釣りだけ楽しんどきます

岡本 こより

「へへ～ん！でしょ～！これが若者の漲る力ってやつ？」
鼻下を指で擦りながら、ますます得意気に。

岡本 こより

「？　何々？何釣ったの？」

見せなくていいです

岡本 こより

「うげぇ～、なーにそれ！アタシのさっきビニール袋釣ったばっかだけどさぁ」

岡本 こより

「なんてか、不法投棄がやっぱ多いよね！海汚し過ぎ！信じらんない！」

岡本 こより

「じゃ！とりあえずアタシの釣ったこの魚、あとで捌いてよ～！」

岡本 こより

「期待してるよ！」
気さくにウインクを一つ。

岡本 こより

「たーんとアタシの腕の感謝すること～、もぐもぐ、ん～～！おいしい～～！」

岡本 こより

ほっぺを抑えながら、海の幸を噛みしめ、幸せそうな表情を溢す。

岡本 こより

「スーパーで名打ってる新鮮な魚！なんて、目じゃないよね！やっぱここで食べる刺身が一番よ～！」

岡本 こより

「おじいちゃんじゃんｗ」

岡本 こより

明日香のコロコロ切り替える表情には、もうそういう芸風として慣れたのか、平然としながら。

岡本 こより

「今はホワイトカラーの仕事が流行ってるもんねぇ」

岡本 こより

「現場仕事は、どこもかしこも人手不足ばっかって聞くよ」

岡本 こより

「アタシの高校の同級生も、みーんな、こういう職業にさほど関心向けてないのが現実だもんね、悲しいことに」
肩を竦め、眉尻を下げながら、首を僅かに左右に振るい。

岡本 こより

「でも、海釣おじさんの言うように、こういうお仕事があるからこそ、アタシ達は海の幸を食べることができる！」

岡本 こより

「自然の恵みをいただき、生きていくアタシ達だからこそ、忘れないようにしなくちゃだよね！」

岡本 こより

「そういう意味で、アタシは海釣おじいさんの活動を応援してまーす！」

岡本 こより

CCB<=80 聞き耳 (1D100<=80) ＞ 51 ＞ 成功

岡本 こより

「ん？」
海鮮丼を頬張りながら、背筋を僅かに伸ばし、海を見渡す。

岡本 こより

「なにこの音？……クジラ？」
眉を顰めながら。

岡本 こより

「えっ？何かって、今すごい響くような音……しなかった？」

岡本 こより

「いやいや、したって！」

岡本 こより

「…………？」

岡本 こより

眉を顰め、目を細める。

岡本 こより

「ねぇ、ちょっと待ってよ、今日って晴れだよね、霧も発生しないって聞いたような」

岡本 こより

「……さすがにヤバくない？」
各々の顔を見やって。

岡本 こより

「これ引き返した方がいいでしょ絶対……」

岡本 こより

「どうしたの海釣おじさん？」

岡本 こより

濃霧の中の海へと、顔を覗き込む。

岡本 こより

「ちょっ……！？ま、待って……！？魚が死んでるんだけど……！？」

岡本 こより

1D100<=65 正気度ロール (1D100<=65) ＞ 9 ＞ 成功

岡本 こより

「しかもまるで……沸騰してるみたいに、泡が出てるし……何の冗談よ……」

岡本 こより

眉を顰め、引き攣った顔のまま、冷や汗を浮かべる。

岡本 こより

すぐさま、こよりは操縦席の方まで飛び向かう。

岡本 こより

大学で習った、船舶知識を活用し、取り付けられた自動船舶識別装置より、座標位置を調べる。

岡本 こより

知識で判定していい？

岡本 こより

CCB<=85 知識 (1D100<=85) ＞ 79 ＞ 成功

岡本 こより

「……大丈夫！良かった！まだ動いてくれてる！これを頼りに、港まで引き返せば─────」

岡本 こより

「もう！！今度は何！？！？」

岡本 こより

濃霧の先へと、目を細めると……。

岡本 こより

「げぇっ！？嘘！？マジで！！……あーもう！！こうなったら！」

岡本 こより

「海釣おじさんは救助用の、何か長い丈夫な竿を！」

岡本 こより

「運転はアタシがやるから！」

岡本 こより

頷き、冷や汗を浮かべながらも、船を遭難者へと静かに、ゆっくりと寄せてゆく。

岡本 こより

アタシ？

岡本 こより

わかった

岡本 こより

CCB<=95 目星 (1D100<=95) ＞ 51 ＞ 成功

岡本 こより

写真立てを一瞥した後、すぐ様、要救助者へと目を向ける。

岡本 こより

「………嘘……本人……？」
冷や汗を浮かべ、愕然とする。

岡本 こより

「い、いや……いやいや！」

岡本 こより

「10年よ！？10年漂流してたなんて……そんなの……ありえ─────」

岡本 こより

「ひぃっ！？」

岡本 こより

甲高い悲鳴を上げ、口元を手で覆う。顔色は蒼白に。

岡本 こより

「………え……？……」

岡本 こより

始終を見やり、口元を手で覆いながら、眉を歪める。

岡本 こより

「……ちょ、ちょっと……？………ね、寝てるだけ……よ、ね……？」

岡本 こより

「気絶した……のよね……？」

岡本 こより

1D100<=65 正気度ロール (1D100<=65) ＞ 86 ＞ 失敗

岡本 こより

1d4 (1D4) ＞ 3

岡本 こより

「嘘………」
ただただ、絶句するしかなかった。生々しい、生から死への変化を見てしまった。

岡本 こより

悲痛に、二人の姿を見やりながらも、わなわなと震え、己の危機に否が応でも察する。

岡本 こより

「………う、海釣おじさん……！は、早く！この海域から出ようよ！！なんか、おかしいって……！！」

岡本 こより

操舵し、船舶を旋回させようと試みる。あとは、このまま真っ直ぐ引き返せば……。

岡本 こより

「ぐっ……！なんで……！？こんな時に……！重たいっ……！！」

岡本 こより

船舶というものは、風と波の影響を強く受ける。

岡本 こより

晴れであれば、比較的なだらかに操舵が可能だが、嵐となれば、一流の船乗りであっても苦労をする。

岡本 こより

プロであっても、横転し、深い海に沈んでしまう……なんて事故も起こる。

岡本 こより

「ちょっ！！？！みんな耐えて！！！！」

岡本 こより

「避けれない！！！！」

岡本 こより

席に掴まり、衝撃に耐えようとする。

岡本 こより

CCB<=65 幸運 (1D100<=65) ＞ 71 ＞ 失敗

岡本 こより

ライフジャケット着てるから、装甲1あることにしていい？

岡本 こより

うわ！ありがとう！

岡本 こより

1d3-1 (1D3-1) ＞ 1[1]-1 ＞ 0

岡本 こより

「いだっ……！！っつぅぅ……！！」

岡本 こより

激しく揺れる船舶、こよりの体は操舵室内の壁に激突するも、当たり所は悪くなかった。

岡本 こより

ただ、痛みはあり、苦痛を浮かべ、眉を顰めるも。

岡本 こより

「この嵐の中だと、向こうも操縦が上手くいかなかったんじゃないの……！？」

岡本 こより

「すみませーーん！そっちの方は大丈夫で─────はっ！？」

岡本 こより

船舶に搭載されたライトによって照らされる、対面の船舶は、もぬけの殻であった。

岡本 こより

かと思えば、轟音。

岡本 こより

「ひぃいっ！？な、なになになに！？何よこれ！？」

岡本 こより

船舶を丸々包む、巨大な影。

岡本 こより

こよりは、愕然とし、茫然とし、口を半開きにしながら、見上げるしかなかった。

岡本 こより

「き………きゃああああああああああああああああああああああッッッッ！！！！！」

岡本 こより

絶叫。スケールの違いに、精神が擦り切れ、追いつくことが無かった。

岡本 こより

1D100<=62 正気度ロール (1D100<=62) ＞ 64 ＞ 失敗

岡本 こより

1d20 (1D20) ＞ 10

岡本 こより

CCB<=75 アイデア (1D100<=75) ＞ 39 ＞ 成功

岡本 こより

1d10 (1D10) ＞ 7

岡本 こより

「……あは、あははは……こんなの……違うよ……夢……あり得ないって……」
表情が恐怖で張り付き、頬がひくつき、首を小さく、左右に振るう。

岡本 こより

「そ、そう……夢……あは、あははは……」

岡本 こより

妄執に囚われた。非現実的光景に、今この場にある己の肉体すらも、懐疑的へと陥る。

岡本 こより

「─────え？……海釣……おじさ……？」

岡本 こより

ぽかりと、口を開き、目を大きくさせる。

岡本 こより

「─────」

岡本 こより

身内の、あっけない最期に、頭が真っ白になる。

岡本 こより

「あは……は、ははは……や、やっぱり……夢じゃん……」

岡本 こより

堪えることもなく、ただ流れる涙、悲しみもあり、凍てつく恐怖もあり。

岡本 こより

左右に、眼前に映る光景をただただ、否定しながら。

岡本 こより

「夢……こ、これ、なんかの、ドッキリとか、そういう……！ああ……やっぱり！そうじゃん……そうでしょ？……あは、あははは……」

岡本 こより

岡本 こより

岡本 こより

狂人の洞察力

岡本 こより

CCB<=75 INT×5 (1D100<=75) ＞ 70 ＞ 成功

岡本 こより

岡本 こより

岡本 こより

眼前の主を、狂気の中に見出す。

岡本 こより

見知らぬ、知る由もない、知ることも許されない。

岡本 こより

その正体を、知る。

岡本 こより

「─────Ph’nglui mglw’nafh Ghizguth R’lyeh wgah’nagl fhtagn In his house at R’lyeh Ia Ia Ghizguth fhtagn」

岡本 こより

こよりは、文法、文脈の存在しない、名状し難き言葉をただ、ぶつぶつ、ぶつぶつと並べる。

岡本 こより

その焦点は定まっておらず、然れども眼前の主に対し、一種の畏れと、そして一種の敬愛を示す。

岡本 こより

人は原始より、理解の外にある事象へ畏怖を抱く。
ときに火を崇拝し、ときに火山を、ときに雷を、ときに地震を。

岡本 こより

やがてその畏怖は、信仰へと変わる。

岡本 こより

『狂気』とはすなわち、原初へ還ることに他ならない。

岡本 こより

理性のある人間とは、神への畏怖を忘れただけの存在に過ぎない。
─────ある意味、どちらが『正常』で、どちらが『狂気』か、その定義を定めることすら、人間如きが判断できるものではない。

岡本 こより

「─────っ……！！」

岡本 こより

去来する、現実感。濁流は清流へ、反転した常識は、元の座へ。

岡本 こより

本能は稼働する。眼前の死を察知する。やがて脳髄は警鐘を鳴らす。

岡本 こより

支離滅裂的思考の足枷は今、解かれ。

岡本 こより

「─────う゛あ゛ぁ゛あ゛あ゛ぁぁあああぁああああぁッッッ！！！！」

岡本 こより

CCB<=95 操縦（船舶） (1D100<=95) ＞ 94 ＞ 成功

岡本 こより

ボードのエンジンを吹かし、荒波を突き立て、突っ走る。

岡本 こより

揺れ動く操舵、か細い手では抑えきれずとも、然れども『狂気』前の身体が硬直し、反動を前借りし、たった今筋線維はフル稼働となる

岡本 こより

CCB<=60 DEX×5 (1D100<=60) ＞ 36 ＞ 成功

岡本 こより

CCB<=95 操縦（船舶） (1D100<=95) ＞ 91 ＞ 成功

岡本 こより

無我夢中。濃霧の中、嵐の中、視界には光が見えない。
ただただ逃げ惑う。必死に、背に触れる殺意の目から逃れようと。

岡本 こより

「う゛、う゛んっ！！！」

岡本 こより

感情が追いついていなかった。ぐちゃぐちゃになった表情で、ただ必死に、活路へと船を漕ぐ。

岡本 こより

「……………………」

岡本 こより

嵐に打たれ、乱れた髪。疲れ切った表情。
そして……喪失に、未だに歪む眉と、唇。

岡本 こより

ふらりと、震える脚を動かし、船頭へと、向かう。

岡本 こより

「…………海釣……おじさん……」
遺留品。海の藻屑へと吸い込まれる最中、服から落としたのだろう。

岡本 こより

彼の、大切にしていたコンパス。船乗りの命綱の一つ。

岡本 こより

表面のプラスチック硝子は罅割れ、中の方位磁針も乱れていた。

岡本 こより

そっと、包み込むように拾い上げると、きゅっと握り締め、胸元に寄せると。

岡本 こより

「……おじさぁあぁん……うぁぁああぁああぁぁああぁぁああぁっ……！！」

岡本 こより

泣き崩れるのだった。

岡本 こより

「…………」
こよりの返事は、無かった。

岡本 こより

あるのはただ、小波の音だけ。

岡本 こより

そして、ちっぽけな、震える背だけだった。

岡本 こより

岡本 こより

数日後。
行方不明者を多発させた海難事故は、ニュースに取り上げられるだけ取り上げられ、仕舞。

岡本 こより

海上保安庁による調査こそ入るものの、不自然な調査断念に終わる。

岡本 こより

やがて、七伏港の平穏な日々は戻ってゆく。

岡本 こより

シャッター街と共に。

岡本 こより

岡本 こより

さざ波の音、遠く飛ぶ鴎の鳴き声と……。

岡本 こより

夕刻の日差しが、海を広く茜色へと包み込む。

岡本 こより

ブロック状の堤防に丸まるように座るは……老婆。

岡本 こより

……ではなく、少女。

岡本 こより

伸びる影が、ただ後方へと伸びてゆく。

岡本 こより

その横顔は、ただ虚しく。心そこに在らず。

岡本 こより

前触れも無く掻っ攫っていった死神の鎌は、浅はかな人間の増長の芽を丹念に刈り取っていった。

岡本 こより

「……………」

岡本 こより

岡本 こより

1ヶ月後。

岡本 こより

少女は、またもそこへ訪れた。

岡本 こより

海を遠く、見据えた。眺めた。

岡本 こより

変わらない景色。
七伏港のツアーは、人手不足により廃止となったそうだ。

岡本 こより

岡本 こより

数ヶ月後。

岡本 こより

漁業は閉鎖となった。労働者不足と少子高齢化の波によって、無惨にも歴史ある港は、閉ざすこととなった。

岡本 こより

それでも少女は、訪れた。

岡本 こより

そして、堤防より海を眺めた。
長時間、ずっと、眺めた。

岡本 こより

……まるで、囚われているかのように。

岡本 こより

「……………」

岡本 こより

去来する怪物の姿は、なおも頭に残る。
夢に何度現れたことだろうか。『正気』の最中にあろうとも、不意に『狂気』の種は覗き込む。

岡本 こより

畏怖から逃れることは決してできない。

岡本 こより

虚しさ未満の何かが、どれだけの時間を越しても剥がれることは無かった。

岡本 こより

どれだけ先人の知恵を叩き込まれようとも、ちっぽけなものにしか感じることができなかった。

岡本 こより

魂は酷く、海の果てに残されたままだった。

岡本 こより

「……おじさんは……」

岡本 こより

「何を………見出したの？」

岡本 こより

答えの期待しない問いを、ぽつりと漏らし、膝を抱え込みながら、静かに海を見据える。

岡本 こより

いつしか言った、変わり者の姿へと成り果てた自分を、もう笑うことはできない。

岡本 こより

知ってしまえばもう、後戻りなんかできない。

岡本 こより

踏み込めば、あとはただ、沈むだけ。

岡本 こより

六文銭と共に、三途の彼方へと。

岡本 こより

ぼんやりと揺らぐ。陽炎。空と海の境界線。

岡本 こより

潮風に揺られる後ろ髪と、寒そうに身を縮こませながらも、なお目を細めると。

岡本 こより

「…………！！！！！」

岡本 こより

……黒い何かが、一瞬視えたような。

岡本 こより

目を擦れば、そこには何も無い。

岡本 こより

「……ううん……『いる』んだね」

岡本 こより

確信。そして、頬を緩める。

岡本 こより

「わかったよ」

岡本 こより

「今、行くね」

岡本 こより

岡本 こより

岡本 こより

魅入られれば最後。

岡本 こより

あなた
探索者は、逃げられない。

岡本 こより

岡本 こより

岡本 こより