Ccfolia Log

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

想像の化け物はいつだって、空想の中で人を変化させる。
今日だってそうだ、別に何か用事があるってわけでもなく
ただ俺は、なんとなく少し遠くにある自販機に行って、そこで限定のドリンクでも買おうと、何か詰まった予定があるわけでも無しに、ぼんやりと起こした行動から

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

胸中には「何か起こってくれねーかな」と思う俺自身もいた。
化け物でもいい、学校に襲い掛かってくるテロリストでもいい。
そんなのがいたら、きっと面白くなるだろう。

なんて思いながらも、実際に来られたら来られたらで困るわけで。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

そんなことをずっと考えていたら、どうやら女の人を転ばせてしまったようだ。
恥ずべくは紳士側だろう。腑抜けた考えで歩いていたのはこちらの方。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

ここで取るべき行動だって、血の通う人間なら一つしかない。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「おっと！ごめんなさい！大丈夫でしょうか！」

俺は咄嗟に手を差し伸べる、申し訳無さそうな顔で。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

ん？何？
ここから始まる恋愛物語？

あはは、いやいや、それはないよ、あはは。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

それはさすがに、本の読み過ぎでしょ。
僕はただ、人として当たり前のことをする。それだけだし。

……いやまぁ、期待は一切していないわけでもない。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

ミジンコ程度には、もしかしたらこれが、運命を変えてくれる出会いになってくれたら、きっと楽しくなるだろう。
そう思う俺は、もちろん馬鹿正直に言えば、存在するさ。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

え、やば！クラスで美人で有名な！

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

しかも太腿がすご、めっちゃ露出してるじゃん。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

そんなことを考えながらも俺は、自然と自分のポケットから小さなティッシュを取り出して。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「うわわ……！血が出ちゃってます……！本当にごめんなさい！あっ、えっと確か、あなたは……いえ、今はそれどころではないですよね」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

そう言い、「これ、使ってください」と告げ、ティッシュを理奈に渡そうとする。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

申し訳なさげに眉を下げながらも、にこりと笑って。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

いやまぁ、その格好でなんで走ってたの？っていう、疑問はあるにはあるけどさ。
そんな疑問って、なんていうか、あれ？

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

今怪我してる目の前のクラスで美人で有名な子の心配よりも、勝るものかねぇ？

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

俺、ここで開幕「そんな格好でなんで走ってたの？」なんて言う男がいたら、鼻で笑うと思う。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「いえいえ、不注意なのはこちらの方でしたから、お気になさらず」
にこりと笑う。

実際、ぼーっとくだらない考え事しながら歩いていたのは事実だろう。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「結構深いですね……傷口、歩けますかね？」
確認をする。ここでいきなりさ、この美人の肩を持って立ち上がらせて、家まで送るよ、なんて言う男がいたとしよう。
距離近すぎだろ、てか女慣れしすぎだろって思う。少なくとも俺にはそんなことする勇気はねぇし。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

それなら良かったと、一安心はする。
それはそうと、このまま一人にさせるわけにもまぁ、いかないでしょうよ。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「……乗ってください」
背を向け、しゃがむ。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

背に乗りませんか？なんて提案したら、きっとこの人は「大丈夫です！歩けますから！」と言い張るだろう。
選択させるくらいなら、こうして命令した方が、きっと彼女にとっても罪悪感は晴れるだろう。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

さっきと言ってること、思ってること、やってることが違うだって？
そりゃそうだろ、だって固まった頭で動いてりゃ、ずっと壁にぶち当たりまくって、いずれ頭が無くなっちゃうよ。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「乗ってください」

俺は続けてそう言った。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

まぁまぁ俺らしくないけどね。でもまぁ、そうじゃないと、この人、多分ずっと無茶するだろうから。なんとなくそう感じ取った。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

にこりと笑うと、「ありがとうございます」と告げた。
俺がそうしたかっただけ、その意図が向こうにも伝わってくれりゃ、向こうも申し訳なさを感じることだってない。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

ならもっと言ってやろう。

「こんな美女、放っておく男子がいるわけないじゃないですか」
語尾に（笑）を付けたような言い回しに。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

よいしょ、と美女を背に乗せる。

くぁｗせｄｒｆｔｇｙｈじゅいこｌｐ；＠：「」
うわやば、柔らかっ！あとめっちゃいい匂い！

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「あははは～！いやいや、これはただの僕の感想ですよ」
重そうにはしない。

いや、実際は重いよ？俺、運動部じゃねぇし、鍛えてもねぇし。
女子だろうが赤子だろうが、人間の質量ってのは大きいんだ。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「お急ぎは、どちらの方までですか？」

さらりと、急いでるんだろうなー？っていうのを聞いてみることにした。
このタイミングなら、さっきなんとなく疑問に思ったことを口にしたって、世間話の一環になる。違和感は無い。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「おっと、困らせてしまいましたか、あはは、失礼しました」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「ええ、喜んで」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「道案内、お願いしてもいいですかね？そうしてくれると僕、助かっちゃいます」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

彼女にも手伝ってもらう。サポートをしてもらう。
そうすることで、彼女にとっても貢献してる感が出るだろう。

いやそれはそうとやっぱ柔らかい。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「ありがとうございます」と告げて、指示に従い足を進めていき。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

CCB<=80 目星 (1D100<=80) ＞ 56 ＞ 成功

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「雨地さん　……と言うのですね？」
背中にそう問う。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「叶奈さん、いいお名前ですね、僕は如月 雨露って言います」
にこりと笑って。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

何やら家庭環境には、複雑なものが垣間見えたような気がしたから、触れないでおく。そこはセンシティブな部分だ。誰にだって触れられたくないところはあるだろう。そこをわざわざスコップでガツガツ掘り下げるようなことは、少なくとも俺はしたくないかな。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

よいしょ、と叶奈をゆっくり降ろすと。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「いや～軽くて助かりました、あはは」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

なんて冗談。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

ちなみにもちろん俺の疑問はまだ残っちゃいる。
一体何の用事で、急いでいたんだって？
こういうの、困るよな。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

距離としちゃ、まだ知り合って間もないっていうくらいだし。
なんかそこまで聞くと、すげーチャラチャラしてる感あるし、俺。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

まぁ聞くんだけど。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「お急ぎの用事は、大丈夫でしょうか？」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

礼儀正しい。そして可愛い。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「ああいえいえ！頭を上げてください！当然のことをしたまでですから」
定型文。もうこれもしかしたら廃れてるかもしれない、クッソくさいかもしれない。けどまぁ、事実っちゃ事実だし。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「今度はぶつからないようにしましょうね、僕も、ぼーっとしないように気を付けますから、あはは」
なんて小さく笑いながら。少し冗談っぽく、人をあやすような言いまわしで。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「いえいえ、お気になさらず、では、良い夢を、おやすみなさい」
にこりと笑い、俺もまた手を振る。爽やかにね。

こんな可愛い美女とのフラグ、立てないのはむしろ男の恥ってやつだろう、言ってやるよ！どこまでもキザな言い回しを！

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

あーやっぱ可愛い！

なんやかんや達観しようとしてる俺も、結局青臭い男子。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

えるしってるか

DKは美女に弱い。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

背伸びをする、ああ疲れた、僕は模範的な学生だ、きちんと授業を受けるし、ノートに内容はまとめるし、テストに出るところもマークするし、居眠りは……まぁ、ほら、あれ、退屈な話が続く時は、どうしても、不可抗力というものがあるじゃないか。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

そんなものでしょ、俺は責められるつもりはないぞ。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

さて腹も空いた頃だ、購買部にでも寄って、日替わり弁当でも買おう。今日は確かハンバーグだったか、いや、メンチカツ？違うな、えーとなんだったか、アジフライだったような気も。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

そんなことを考えながら、席を立とうとするジョーロだったが、近くに人の気配を感じる。これは別に、達人同士で殺気を感じるとか、そういうあれではない、ただ単に、視界の横辺りに、顔を知っている、いわゆる知り合いの顔が見えたからだ。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「ん？」
そして目が合う、俺はにこりと笑う、何か用事があるのかな？と、勘違いであっても、とりあえず微笑んでおけばいい。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

その反応、勘違いとかではなさそうみたいだ。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「やぁヨモくん、こうして君と話をするのもいつぶりだろう、だなんて、あはは」
ワンクッション挟みながら、小さく笑って。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「何か用かな？課題とか？」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「隕石かぁ」

隕石かぁ……。
……あれ、ヨモくんって、そういうのに興味がある子だったっけ？

あまり会話をすることのないクラスメイトと交わす話題が、どこかオカルトチックで、正直言うと俺はちょっと驚いている。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

確かヨモくんは、俺と同じ、帰宅部。
放課後、何をしているかまでは分からないし、そこまで詮索し合う仲というほどでもない。
とは言え、もうこの段階で既に俺は、このヨモくんっていうクラスメイトが抱えているものに、興味が惹かれてしまった。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

これぞオカルトパワーってやつだよね。
いやだってほら、人って怖いものとか、本来は嫌いなはずじゃん？
でもテレビでそういう特集があれば見ちゃうのが性ってもんだし。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「ごめんね、僕そういうの疎くて……　ヨモくん、そういうの興味あるんだ？」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「あはは、流れ星かぁ……なんだかでも、ロマンチックだね、そういうの」
小さく笑いながら。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「流れ星を見られる確率って、実際のところどのくらいなんだろうね？宝くじが当たる確率よりは大きいだろうけど、あーでも、1等じゃなく、4等とかそこらへんだったら、割と近しいものだったりするのかもね？」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

なんて、中身があるのかないのか、いや全くない会話を口にしながら。

昨日か～……昨日というと、俺は。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「おかしなものっていうと、叶奈さんと会ったくらいかな？」
なんて、冗談っぽく笑う。

クラスで、美女として有名な女子の名前。向こうは初対面とのことで、まぁ割とショックは受けたけどさ、いやでも、当たり前だよね、俺のことを知る機会なんて、向こうからしたらあるわけでもないし。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「んっと、そうそう、星住さん」
ヨモくんの反応を見て、何が「え？」なのか、普通に気になった、え？どういうこと？

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「えっと？　……何か、不味かったりするのかな？」
……え？もしかして、彼氏彼女だったりするわけ？

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

ん？え？じゃあ、え？

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

昨日のなんかめっちゃ運命的な！ラノベに出てきそうな出会いは！？フラグは！？ねぇ！俺のフラグは！？嘘だろ！？
ちょっとくらい夢見させて？まさかここで崩れるなんてことないよな？なぁ？

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

いや不味いやつだろ……。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「……え、えっと」
そう言い、ジョーロは昨日起こった出来事を話し始めて。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「─────という感じで、叶奈さんを、家まで送ったんだ」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

ノータッチを主張。潔白証明完了。ちょっと訝しげな顔やめてくれないかな、恐いから、ほんと。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

ごめんノータッチは嘘。後ろから柔らかな感触を心行くまで堪能してました。言わんけど。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「……ヨモくーん？えっと、ダイジョブ？」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

すごい沈黙。これは一体なんだろう。何を考えているんだろう。処遇？俺の？ヨモくんって、そういうことする子か？いや俺、ヨモくんのこと全然分からないから、結局答えなんて出ないけど。こういう答え出ないものがめっちゃ怖いんだって。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「あ、あはは」
怖いなぁ。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「………今日の日替わり弁当って、なんだっけ？」
もう嫌だから、気分的に、色々と、フラグが折れかけてるのをもう俺自身感じてるし、チクショウ。これ以上俺の心を痛めつけないで。
話題変えよう、やめよう、な？

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「あ、あはは、そうなんだ、じゃあオススメのパンとかあったら、教えてよ、僕普段あんまりパンコーナーの方には寄らないからさ」
そう談笑しながら、一緒に購買部へと足を運んでいくのだった。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

なにそれめっちゃ美味しそう。

素直にそう思った、ジョーロであった。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

そして購買部、ヨモくんのオススメの一品、スペシャルドッグを買ってみた。うお、ボリューミー。すごいね、これ一つでタンパク質も野菜もめっちゃ採れるんだ。しかもお買い得。あまり金銭的余裕の無い学生にも優しいと来たもんだ。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

むしゃむしゃと味わいながら食べていると、ふと視界に、件の叶奈という少女とよく話をしている……記憶のある、クラスメイトの女子を見つける。
断定じゃないのは、いや、別に俺、人間観察が趣味とかじゃないのと、あと女子めっちゃジロジロ見てる男子って、控えめに言って、キッショいじゃん。

え？なんかウジウジ考えまくってる俺がもう既にキッショいって？うるせぇよ。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

さて、女子に話しかけるのって、勇気いるよね。
いるよね、めっちゃ。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

だって俺、別になんかこう、秀でたものを持ってるわけでもないし。
サッカー部とか、そういうのに所属してる男子なら「うぇ～いｗ」って話しかけられんのかな、いやー、俺にはぜってー無理だ。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「やぁこんにちは」
なんだこれ、RPGに出てくる村人Aか？ってくらい、つまんない第一声を投げかけてみる。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「あはは、ちょっと見かけて、声をかけてみたくなっただけなんだ、あとほら、これ、ヨモくんっていう子から教えてもらったんだ、スペシャルドッグ。めっちゃ美味しくてさ、オススメしたくて」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

どういう理由？ねぇ、自分で言っておいてなんだけど、どういう理由？

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「ぶっ！こ、告白って、あ、あはは～！栄子ちゃんは可愛いし、もう既に色んな男子から告白も受けてるでしょう？（多分）、僕なんかが近寄っちゃ悪いよ」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

これが陽キャラってやつなのかな、いやすごいわ、コミュ力の塊だわ、あと自信。すごいね、眩しいよ、俺、目が潰れちゃいそうかも。
いやまぁ実際、この栄子って子は、可愛い。さすが、クラスの美女とつるんでいるグループの一員だけではある、選ばれし子だ。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

じゃあAは誰なんやねーん！ってツッコミたくなった。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「全くもう、心臓に悪いなぁ……そういうところじゃないのかな？男子泣かせで有名な新聞部女子の栄子ちゃん」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

いやまぁ、付き合えるなら付き合いたいけどね？ほしいよ？俺だって男子高校生だ、青春の舞台にいるんだ。欲しいんだ。彼女は！

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「あはは、さすが、お見通しだね」
肩を竦める。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「うん、栄子ちゃんの好きな子は普通に僕も気になるけど、でも言わないでしょ？全く、本当に冗談好きなんだから、あはは」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「それで……まぁ、我がクラスの高嶺の花、叶奈ちゃんのことでさ、昨日ね、あの子と会ったんだ」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「向こうはこっちのこと全然知らなくてショック受けたけど」と、付け加えながら。いらない情報過ぎるけど、愚痴くらい吐かせてよ。栄子ちゃんならそういうの、聞いてくれるって俺、知ってるし、なら甘えるし。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

その労わりの言葉は、俺の心をさらに抉るんだ。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「……………(´・ω・`)」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「え？」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「………ん？マジで？え？……いや、でも、ほら、ヨモくんとかと、デキてるとか……そういうのは？」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

うわめっちゃニヤつかれてる、クソ！もうこの時点で地の利を取られたんだ、俺は！手のひらで転がされる！

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「(´・ω・`)」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「………！！そ、そうか……まだ、勝負は決まったわけじゃ……ない！」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

あいたた！と声を出しながら。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

全く、スキンシップが激しいなぁ栄子ちゃんは！だからそういうところだぞ！男子を勘違いさせるやつ！

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「………そういえばなんだけどさ、栄子ちゃん」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「叶奈ちゃんって、なんていうか、えーと」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「………表裏のある子だったりとかって、する？」
突拍子の無い質問を投げかけてみる。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

いや、なんていうか、うん、そうなんだ。俺がさ、昨日会った叶奈ちゃんは、なんていうか、お淑やかで、心優しくて、俺にも気遣いを掛けてくれていたわけで。
なんていうか、俺の知っている、クラスメイトの叶奈ちゃんと、ちょっとなんか、解釈一致しない。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「うん　………なんて、変な質問だったかな？」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「………そっかぁ、だー……よね？」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

うーーん、俺の見間違いだったのか？それともあれは、夢でも見ていたのか？なんかそう捉えた方が正しそうな気がしてきたまであるぞ、これは。
……ヨモくんのことオカルティックだなーて思ってた俺だけど、なんか笑えなくなったぞ、俺までそっち方面に浸かりそうになっているぞ。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「……ん、それがさ」
そして俺は正直に、昨日の出来事を栄子に話した。
俺が出会った、叶奈という少女の人柄についても。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「─────というわけなんだけど、どう？友人Bとして」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

ふむふむと聞いている。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

……いやしかし本当によく色んなことを知っているな！家族構成まで知り尽くしているのか！さすがは情報通の栄子ちゃんだ、この子に聞けば、大体のことは教えてくれるし、本当に頭が上がらない。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「………ちょっと、気になるね」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「どうかな、一緒にちょっと、探ってみたりしない？」
少しニヤリと笑って。悪い火遊びのお誘いをしてみたりする。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

キッショ。なんだこの男子高校生。キッショ。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

さもありなんな返答、いやそりゃそうでしょっていう。他人のプライベートに踏み入るような真似は、常識的に考えてナシ……。

いやそういう理由かーーーーーーーーい！！

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「……変わってんね、栄子ちゃん」
困り眉で、小さく笑った。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「10回言ったことあるしね」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

めっちゃテンション上がってんな～栄子ちゃん………いやマジで、心から、変わってんねって言いたくなるよ。開けっ広げな性格ではあるけど、ある意味で読めないよね、この子の行動というか、なんというか、思惑というか。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「ん、わかったよ、本当に栄子ちゃんは心強いね、ありがとうね。あ、これお駄賃ね、情報代っていうやつ」
先程の購買部で買った、苺牛乳のパックを栄子に渡す。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「それじゃあ、また」
栄子の頭を軽く、ぽんぽんと手を乗せ、その横を過ぎ去っていく。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

同刻。俺の知らないラブコメが展開されていたとはいざ知らず。
知る由も無し、そんな道化師な俺が、一体何をしていたかというと、単純だ。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「雨地の表札っと……あったあった」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

そこは、もう既にヨモくんと叶奈が裏山デート中で、俺の目的である彼女はいないはずの家。

もちろん、そんなことも知らない、哀れな俺。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「いやぁ」

……クラスで、影が薄くて、特に何か特徴があるというわけでもないのに、いきなりさ、昨日あったから、また会いたくなって、なんて押しかけてくる男子がいたら、どうなんだろう。国語のテストでも出してみるか、この時の叶奈ちゃんの気持ちを答えろってな。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

俺ならこう書く。

勘違いさせてしまって申し訳が無いけれどもあしらうわけにもいかないので適当に追い払わなくちゃ。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「とは言え、気になっちゃったもんは、しょうがねぇよな」

そう言いながら、インターホンを押す。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「ん？」
振り返る。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

叶奈ちゃんの親御さんだろうか、いやすみませんね、味気ない男子が、大事な娘さんのところに尋ねるだなんて無礼を働いて、なんて思いながら。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「はい、娘さんの、叶奈という方に少し用事がありまして……その、あなたは？」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

どうやら、親御さんというわけではないようだ、ご近所の方だろうか。そして、俺に声を掛けるというのは、あれなのだろうか、声掛け運動の一環なのだろうか、それほどにまで俺は、不審者に見えたのだろうか。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

これは失礼だった。親御さんではなく、祖母さんだった。いやはや、声掛け運動の一環なのかなとか、そういう勘違いしちゃってすみませんね、マジで、早とちりでした。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「え゛っ！？い、いえいえ！？違いますよ！？」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「まさか！本当に、僕なんかでは、叶奈ちゃんには釣り合いませんし……　……おっと、立ち話させては申し訳ないですね、重たい荷物まで持って」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

そう言い、ジョーロは老婆の傍まで寄ると。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「えっと、お荷物、お持ちしましょうか？」
見るからに重たそうだった、それに高齢だ、腕に結構来てるだろう、なら長話させては毒というもの、少し無理矢理だが、勘違いはここですっぱりと切らせてもらおう。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「いえいえ、いいんですよ、当然のことですから」
綺麗事を並べる。綺麗事結構、コケコッコー。俺としてもまぁ、重そうだなぁって思ってたし。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

そう言い、よいしょ、と老婆の荷物を受け取る。あ、結構重い、帰宅部育ちの俺の筋肉が早速悲鳴を上げている。まさか明日、筋肉痛になるとか、そんなヤワな身体じゃねぇよな俺の身体、なぁ？そうだと言ってくれ。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「ふぅ　………それと、本当に叶奈ちゃんと僕は、そういう関係ではありませんから」
にこりと、笑う。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「え゛っ」
まずい、これはお年寄りあるあるの勘違いだ。これは、彼女にとっても不名誉の傷になるやつではないのか？大丈夫か？これがキッカケでなんか悪い方向に働いちゃったりしないか？

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「あっ！は、はい、すみません……」
老婆に会釈しつつ。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「昨日振りですね」
にこりと笑って、叶奈にも会釈を一つ。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「美沙さん、荷物はどちらまで運びましょうか？」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「あ、あはは」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「すみません申し遅れました、僕は如月 雨露、と申します」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「いえいえ、ちゃんと最後まで手伝いますよ、任せてください、こういうのは慣れてますから」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

あ、俺の名誉のために言っておく。俺は別に、ヤンキーにパシられ経験があるからこういうのに慣れているとか、そういうわけではない、ただ単に、日ごろからこういう仕事を頼まれやすいから、そうしているってだけであって。
………ん？待てよ？これやっぱり、パシリじゃね？

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「はい、わかりました、それではお邪魔しますね」
靴を揃えて、そのまま台所まで荷物を運んでいく。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

………何サムブアップしてるのお婆ちゃんッッ！！！
めっちゃ気を遣っているんですけど！！！　……い、いやまぁ？確かに？叶奈ちゃんと、そういう関係になれたら、嬉しいな～～？とか、そういうの、確かに、思っちゃうことは、あるにはあるし？てか、あわよくば的な、そういうあれも、あるにはある、けど！

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

意識するとめっちゃ脚が震えるんよ！

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「あ、あはは……ですね、でも、気前のいいお婆さんで、僕は好きですよ」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

身内の悪口は言わない、てかもしも俺が知り合いに、お前の母ちゃんやべーなって言われたら、普通に傷つくし、そういうもんでしょ、人って。そういう配慮はしておくもんなんです。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「叶奈さん、料理っていつもご自分で？」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「……………え？」
目を丸くする。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「……お、お身体が、弱いのですか！？そ、それは……気が付けず、申し訳ありません……いやはや、学校では明るく、元気に振る舞っていたように見えたものでしたから、気が付けず、配慮不足でしたね」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

うーん、と考えて、やっぱり、なんとなく、学校で見る叶奈という人物と、ここで見て、聞く叶奈という人物像が、あんまり、一致しないように思えて、もしかしたらもう既に自分は、夢の中にいるのでは？とすら思ってしまいつつも。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

……ん？何その反応、ん？すごい棒読み、すっごいわざとらしいくらいの！

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「…………………………………」
ジト目で。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「……ア～～ソウイエバ～～」
ならばこちらもと、棒読みで、演技ぶって。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「叶奈さんって～～学校では～～～彼氏が10人くらいいるって～～聞いたことがあるんですけど～～～」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「それって本当でしょうか～～～～」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「あなたでしょ？」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

じ～～～～～～。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

雨鶴の顔が、意地悪なものから段々と、いつも通りの、人当たりのいい、優しく、それでいて、表情の緩んだものになって。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「あははは、いいんです、ていうか今回、それが気になって押しかけてきたのもありますし、むしろ本当のことを教えてくれて、感謝を伝えたいくらいです」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「僕には分かりませんが、隠したいくらい大きなものがきっと、理奈さんにはあった、ということなのでしょう？」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

内心めっちゃビックリしてる。俺今冷静にしてるけど、ビックリしてる。
え、だって、すっごい見た目そっくりだし、あと栄子ちゃんからも、双子はいないって聞いてたもんだから、衝撃の真実過ぎて、ビックリしまくってる。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「………僕にも、言えないくらいのもの、でしょうか？」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「これは、お節介です、余計なという接頭辞がつくくらいの、ですが、正直こうして理奈さんと出会いまして、そして何か裏の事情があると、理奈さんもおっしゃられるくらいで、つまりは、困っていることがあると、僕は解釈したところでもありまして」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「なんと言いますか　……もしも、抱えているものがあるのでしたら」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「僕も、"共犯者"くらいにはなりますよ」
にこりと、笑った。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「あははは、言葉の綾というやつですよ」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

いやごめんなさいね本当に、俺ってこういう言い回ししかできないんですよ、癖で、もっと普通に喋れって話ですよね、すんません、そこはマジで俺も思ってます、反省。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「ああいえいえ」
立ち上がって。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「お茶汲みでしたら、僕が行きますよ、あはは、理奈さんはお身体が弱いのでしょう？それを聞いて、このまま理奈さんに無茶をさせる男は、この世にはいませんよ」
にこりと笑って。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「…………………………」
実際、場所は分からないので、答えに淀む。どうにも、格好がつかないというものだ。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「……すみません、それでは……一緒に、というのはどうでしょうか？」
困ったように笑う。これじゃあ、身体が弱いのに無茶はさせられないという大目的が果たされないじゃないか、本末転倒、格好良くはないけど、こうして突然現れた知らない男子に家中を探し回られても、そっちの方が迷惑というやつだろう。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

理奈の歩行ペースに合わせて、台所まで向かう……途中。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

ぐらりと、体勢を崩してしまう、哀れなDK。
「わぁっ！？」という情けない、もう主人公とは思えない、ひょっとしたら、モブかもしれん声を上げながらも、なんとか男の意地で態勢を立て直しつつも、よろめきは止まらない、非運動部の哀愁のまま。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

ごんっ！と、家の角に膝をぶつけてしまい。
「い゛っ！？」と、はい、これまたなっさけない声を上げてしまう。じんわりと、膝からは少し、ほんの少しだけ血が見える。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「いつつつ……え？あっ、こ、これは……た、たはは、失礼しました、なんとも、これは……」
情けなく、眉を下げながら。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

……あちゃぁ、無理させないように気張ったのに、結局理奈さんに、激しい動きさせるようなことしちゃったなぁ、はぁ、自己嫌悪、しょぼーん、情けなさすぎて、穴が入ったら今すぐにも入りたいし、そのままショベルカーで埋めてもらいたいよ……。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

はぁ、と大人しく座る、座って待つだけだと、もうなんかますます自分が惨めに思えてくる。時間だけが過ぎていくのが、苦痛に感じる。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

女子の部屋。

……ま、まぁ、うん、心ときめかない男子は、そりゃ、いないよね。
軽くね？かるーく、見渡す程度なら、許されるよね？

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

そう思いながら、和室を見渡してみる。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

あらら、障子が破れている。なんか分かるなー、俺も子どもの頃、婆ちゃんちでさ、障子を見つけたら指でちょっとつっついて、穴あけて遊んでたもん、いやぁ懐かしい……しみじみ。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

……机とか、箪笥とか、いやなんか、そこを開けるのは、ねぇ、さすがにね？やらないよ？うん。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

とは言え、まだ理奈さん帰ってきてないしなぁ……。

暇潰して、何かめぼしいものが無いか、見渡しても？

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

CCB<=80 目星 (1D100<=80) ＞ 87 ＞ 失敗

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

はーいそんなもんでーす

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「い゛ぎぃい～～！」
痛そうな悲鳴を上げながら、びくりと反応して。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「ふぅぅ～～……いやぁ本当にすみません、ありがとうございます理奈さん」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「昨日とはこれじゃあもう、立場が逆転ですね」
困ったように笑って、冗談っぽく、肩を竦めながらそう言う。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

そんな様子に、双子のお姉さんってことで、おそらく自分よりも年上なのかなー？とか思っていたのだが、子どもっぽさが見えて、無邪気で、無害で、微笑ましくて、俺は不思議と、心が安らいでいた。洗われていた。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「……ふふふ、お利口さんです、花丸でも上げちゃいましょうか？と言っても、ここで転んじゃう男に花丸貰っても、嬉しくはないか」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

ちょっ、それ、めっちゃドキっと来るやつなんだが？
今その言葉で一体何人の男子を殺した？
めっちゃ勘違いさせてくるな？おい、え？めっちゃ本当にドキドキしたけど？

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

あ、あはは、と冷や汗を浮かべながら、笑って。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「それでしたら、連絡先でも交換しましょうか、もし何か困りごとがありましたら、いつでも呼んでください、呼ばれなくても多分、お節介でまたここに来るかもですけど」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

ショック。断られた、と思ったら、マジで持っていないようだ。
え、マジか、この現代社会で、スマホを持っていない若者が、存在したのか……！？ガラパゴス諸島で新種の爬虫類を見つけた学者張りに、俺は驚いているのかもしれない。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「そ、それでしたら……じゃあ……僕の携帯番号だけでも、教えておきますね」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「何か書くものとかありますかね？」
キョロキョロと、紙とペンを探すために部屋を見渡す。

見渡すんですよ？GM、これはじっくり見渡してます、再目星を！

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

CCB<=80 目星 (1D100<=80) ＞ 93 ＞ 失敗

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

あのさぁ…………

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

あーこれ鈍感系主人公かってやかましいわ

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

叶奈ちゃん、着信履歴を見たら、知らない内に僕の着信履歴が並ぶことになっちゃうのかな……。これ、悪手かな、めっちゃ不審がられるよね、絶対不審がられるよね、大丈夫かな、叶奈ちゃんからの心象めっちゃ悪くなるよね、え、これ俺さ、学校にい続けらえるかな？イジメの対象とかにならないよね？

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「ではではこれでっと」
適当にあったメモ用紙とボールペンで、携帯番号を書いて、理奈に渡す。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「おっと、これ以上お邪魔しちゃ悪いですね、すみませんね理奈さん、突然押し掛けちゃって、僕は楽しかったですけど、理奈さんは迷惑かもですし、そろそろこの辺で」

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

にこりと笑って、会釈を一つ。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

全くこの人は、人の心を掴んで離さない人だなぁ、そう言われちゃうと、また明日来たくなっちゃうじゃないか。
ていうか、まぁ、これは。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

行くしかないよね！！！！
フラグだよ！どう考えても！！ビンビンに聳え立っているフラグだもん！！！

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

「ええ、ではまた明日、お邪魔しに来ちゃうかもです、それでは」
昨日と同じように、ジョーロも手を振って、雨地家を後にするのだった。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

いやぁ、なんとも、昨日からなんだろうね、これは。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

歯車が、動き出しているような、俺の見当外れか、分からないけど。
今俺は、他の人が知らない真実を一つ、握ってしまっているというものだ。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

これは、高揚感がある。ある種の優越感のようなものだってある。
止まらないよね、こういう立場に立つと、ワクワク感が。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

とても楽しいよ、充実している。だからこそ、より充実させたいな。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

いやぁ

いい匂いだった。

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）

如月 雨露（きさらぎ あまつゆ）