Ccfolia Log

九条 櫻子

「ああ、そこに置いておきたまえ」

九条 櫻子

紅茶を飲みながら、"白骨死体"の検体書類を、茶色の瞳で見つめる
黒髪の女性。

九条 櫻子

汗くさと働くロックとは対照的に、櫻子はというと
デスクに座り、"静"といった雰囲気で、持ち受けた依頼の書類を確認し続けている。

九条 櫻子

ちらりと、段ボールを運ぶロックを一瞥し。

九条 櫻子

そう、ここは九条探偵事務所。
3人はワケ合って、探偵としての仕事をこなしている最中だ。

九条 櫻子

「少し休憩にしよう、デンジくんも疲れてはいないかい？」

九条 櫻子

そうして棚の方を指差し
あそこに菓子が置いてある、好きに並べて食べるといい、と告げる。

九条 櫻子

その言葉に、フッ……と笑う。

九条 櫻子

……全く、私という者が、こうして気兼ねなく誰かと話をする日が来るとはな。
人生とは予測不可能なことの連続だ。

九条 櫻子

「ほう……？しかし、分かればとても興味深いものだぞ？」

九条 櫻子

ニヤりと笑い、本棚から医学の本を一つ取り出し
ロック、そしてデンジへそれを見せる。

九条 櫻子

人骨に関する書物だ。
長年使ってきているためか、本の端がボロボロになっているのが見える。

九条 櫻子

むぅ、面白いものなのに……。と、少し残念そうな顔と共に
紅茶の入ったマグカップを片手に、また一口飲む。

九条 櫻子

ちらりとロックの方を見て。

九条 櫻子

出たまえ、と言わんばかりの顔。

九条 櫻子

む……。と声と共に、受話器を受け取り。

九条 櫻子

少し眉を顰めながら、対応する。
……本当は、人嫌いな性格もあって、こういった対応に明るそうなロックにやってほしかったという本音がありつつ。

九条 櫻子

「こちら九条探偵事務所の事務長、九条櫻子だ
　どういった依頼であろうか？」

九条 櫻子

ふむ、とメモを取り始める。
少女の言葉一つ一つを正確に。

九条 櫻子

後でロック、そしてデンジが把握できるように。

九条 櫻子

「医者に行くといい、と言いたいところだが
　話の続きがあるのだろう？」

九条 櫻子

依頼人となるかもしれない客に対して、尊大な態度を取る女、九条櫻子。
コミュ力に難アリ、といったことが誰が見ても分かる場面。

九条 櫻子

「……ほう……？続けたまえ」

九条 櫻子

「………なるほど、わかった
　依頼を受けるかどうかを確かめるためにも……まずは実際に目で
　見た方が早いだろうからな、住所もメールで伝えておいてくれ」

九条 櫻子

……生きた人間に関する依頼か。
私は、白骨死体を専門とする探偵だと告知しているのだがな。
……まぁ、これも、ロックやデンジくんの活躍もあり、こうして多様な依頼が来ているということもあるのだろう。

九条 櫻子

「……善処はしよう」

九条 櫻子

私も、人が死に行く姿を放っておくのは、気持ち悪いといった部分はある。
……依頼人の母親が実際にどうなのかは、まだ知らないが。

九条 櫻子

「さて、ロック、デンジくん、仕事だ」

九条 櫻子

メモを見せ、櫻子はそのまま外出準備を整え始める。

九条 櫻子

「……」

九条 櫻子

ああ……。とロックに頷き。

九条 櫻子

「フフ……さすが、よく分かっているじゃないか
　ロックは、このまま探偵を目指してもいいかもしれないな？」

九条 櫻子

冗談めいたように、微笑を浮かべつつ。

九条 櫻子

それにフッ、と笑い。

九条 櫻子

「今回も期待しているよ、ロック、デンジくん」

九条 櫻子

微笑を浮かべ、黒い長髪を揺らめかせながら、事務所を後にするのであった。

九条 櫻子

そうして我々は─────依頼主の家まで向かった。

九条 櫻子

蒸し蒸しとした季節の中でも、涼しげな顔で一軒家を見上げ。

九条 櫻子

「フフ、そのようだ
　依頼の報酬はたんまり貰えそう、といったところか？」

九条 櫻子

一つ小さな冗談を挟みつつ。

九条 櫻子

「ハハ、なら依頼主にそう頼んでみるといい」

九条 櫻子

そうしてインターホンを押す。

九条 櫻子

目を閉じ、ゆっくりとお辞儀をし、少女を見つめる。

九条 櫻子

「丁寧な出迎え感謝しよう
　さ、ビールの話はまた後でだ」

九条 櫻子

……不安げな表情だな。
血の巡りが悪い、ストレスを大きく感じているようだ。

九条 櫻子

「フッ……」
……やはり、こういったことは、ロックに任せるとスムーズに事が運ぶ。
実にありがたい話だ。

九条 櫻子

そのまま、クソコミュ障な櫻子は、お邪魔しよう、と言い景室家へと上がっていく。

九条 櫻子

さて……依頼は、むぎの母親の容態ということだが
……医者に頼るのではなく、探偵に頼む。
ロックやデンジくんが感じ取っていたように、やはりきな臭い何かを感じざるを得ない。

九条 櫻子

もっとデンジくんがよく働き、よく稼いだら考えよう。と微笑を向けつつ。

九条 櫻子

「………ふむ」
むぎの話を聞き終え、顎に手をやり、眉を顰める。

九条 櫻子

「わかった、では君の母親と会わせてもらおう」

九条 櫻子

話を聞く限り、不眠症……にしては、症状がおかしいな。

九条 櫻子

「デンジくん、自由に家の中を回っていいからと言って
　暴れ回ってはいけないよ、いいね？」
冗談なのか本気なのか、分からない口調で笑みを浮かべつつ。
むぎの母親がいるリビングへと足を運ぶ。

九条 櫻子

フフ、ならお利口だ。と口にし。

九条 櫻子

「……さてロック、聞き込み調査は君の出番だ」
ちらりと、隣に立つ男─────ロックへ視線を向け。

九条 櫻子

こくりと頷く。

九条 櫻子

私は、二人の会話内容を聞き、わずかな仕草から症状を推定することにしよう。

九条 櫻子

顎に手をやり、真剣な表情で、ロックとむぎの母親の二人を見つめる。

九条 櫻子

ふむ、認識能力は健在のように見えるが、果たして……？

九条 櫻子

フフ、良い切り込みだ。やはりは、さすがはロックといったところだ。

九条 櫻子

こうして─────私の知りたい情報を引き出してくれた。

九条 櫻子

さて、ロックも今頃推定していると思うが
これはそうだ、精神異常を来たしている。

九条 櫻子

腕を組み、鋭い目を細め、むぎの母親をじーっと見つめ。

九条 櫻子

……ほう、面白い問いだ。
さぁ、どう来る？

九条 櫻子

「─────なるほどな、これはほとんど人格が失われている」

九条 櫻子

若いながらも、修羅を潜り抜けてきた少年─────デンジの方をちらりと。

九条 櫻子

「フフ、そうだな、こういった人物の"精神"を"分析"することに関しては
　─────君の方が、適切と言えるだろう」

九条 櫻子

─────ほう、"反射"を見るか。
彼は、うむ、頭が良い方ではない、というと失礼ではあるが
それでもやはり……"本能的"に、何をすれば事態が判明するかを分かっているようだ。

九条 櫻子

思わず、おぉっと。と声が出るも。

九条 櫻子

母親の様子を見て、ふむ、と。

九条 櫻子

「……まるで、"生きていない"ようだな？」

九条 櫻子

こくりと頷く。

九条 櫻子

「……」
そのむぎの顔を見て、少し眉を顰め。
ロックの方へ視線を。

九条 櫻子

手をひらりとさせ、どうぞ、と。

九条 櫻子

……そうか、そうだな、良い配慮だ。

九条 櫻子

ちらりとむぎの方を見て。
また視線を母親の方へ戻す。

九条 櫻子

デンジの言葉に、うむ、と返事をする。
─────深刻そうな表情で。

九条 櫻子

「ぬぉっ……！？」

九条 櫻子

「……詳しく聞かせてもらおう」

九条 櫻子

冷たい、無表情の顔で、デンジをじっと見る。

九条 櫻子

「……生体機能を失ってもなお、対話能力を駆動させる、か」
ぼそりと小さな声で呟き。

九条 櫻子

「……お手柄だ、よくそこまで分析できた」

九条 櫻子

やはり、デンジくんを事務所に招き入れたのは正解であったな。

九条 櫻子

しかし、なるほど。
……死しても、"白骨死体"にならず、喋る人形と化した人間……か。
……興味が無い、と言えば、嘘があるな。
実に、妙な事件だ。

九条 櫻子

「……どちらにせよ、その判断は間違ってはいない」

九条 櫻子

「ロック、ならば君は─────あの子を"信じる"といい」
ちらりと、ロックの方を見て。

九条 櫻子

「あの少女を疑う、もしくは信じる、そのどちらを選択したとしても
　対処することは一つでしかない
　……この事件の、解決だ」

九条 櫻子

「デンジくん、君には……そうだな、その疑いを検証してもらおう」

九条 櫻子

デンジの方を一瞥し、そして親指を2階の方へ。

九条 櫻子

その言葉に眉を顰め、ふぅ、と息を吐き。

九条 櫻子

「"仕事"だ、いいな？」

九条 櫻子

フッ、と笑い。
ありがとう、と告げ。

九条 櫻子

ちらりとロックの方を向き、その言葉に、目を天井の方へ向け。
口元に手を当てながら、考え込む。

九条 櫻子

視線をロックの方へ向け、ゆっくりと頷く。

九条 櫻子

「……そうだな、君達にミイラになってしまわれたら
　私は………」
まるで遠くを見つめるかのような瞳で、そう呟き。

九条 櫻子

「………まぁ、いい、わかった
　……身の危険を感じたら、撤収しよう」

九条 櫻子

リスクと、リターンを考えた時に、だ。
この事件、得られるリターンに対するリスクは非常に大きく見える。
ここで、この事件を引き受けるのは、愚者と言っても過言ではないだろう。

九条 櫻子

まぁ、ならば私は─────"愚者"なのだがな。
とっくに、頭のネジは外れてしまっているのでね。

九条 櫻子

「フフ、分かったよ」

九条 櫻子

……さて、ロックとデンジくん、二人の命を背負っての
厄漂う事件の解決だが─────。

九条 櫻子

デンジくんの言うように、この一家の疑いは、晴れない。
こういった事態に巻き込まれるということか
つまりは、"そういった"ものに手を出した、ということに他ならない。

九条 櫻子

「さて、私は少しばかり悪いことをするよ」
そのまま、2階へと上がっていく。

九条 櫻子

そうして、2階へと辿り着き
依頼主─────むぎの部屋へと続く扉の前に到着する。

九条 櫻子

ああ、そういうことだ。とデンジへニヤリと笑い。

九条 櫻子

「フフ、中で暴れ過ぎないようにね」

九条 櫻子

腕を組み、微笑を向けながら。

九条 櫻子

そりゃそうだ。と返し。

九条 櫻子

九条 櫻子

櫻子はというと─────。
何かを匂わせるこの家の事件の解決に踏み出るために、勝手に調査に踏み出ていた。

九条 櫻子

あのむぎという少女は、勝手にこの家を散策してもいい、そう言っていたな？
言質はとっくに取ってあるのだ、何ら違法行為でもありはしないだろう？

九条 櫻子

2階で待機していた櫻子は、ロックと別れ、寝室へと入り
違和感の種を咲かせる、物的証拠を探っていた。

九条 櫻子

探偵としての、悪い癖がここに来て発露する。
他人の生活品を細かく、見ていく。

九条 櫻子

「さて、あの母親の手掛かりになるものがあればいいが……
　……しかし、ふむ、ベッドの大きさ的には、どうやら父親もいるようだな？」

九条 櫻子

「？」

九条 櫻子

違和感の種は、尽きない。

九条 櫻子

「妙だな、こういった依頼は、娘ではなく父親の責務であろう？
　この家に来て、父親らしき男の影は無し、未だ仕事中なのか
　それとも……既に他界しているのか？」

九条 櫻子

「こういったことは、潰しておかないと気が済まんな」

九条 櫻子

そうしてベッドの方から調べ始める。

九条 櫻子

CCB<=95 判定【目星】 (1D100<=95) ＞ 17 ＞ スペシャル

九条 櫻子

「………既に離婚しているのか、他界か」
そう呟きながら。

九条 櫻子

ふと、ベランダの方へ視線を。

九条 櫻子

無論、見る。

九条 櫻子

CCB<=(17*5) 【アイデア】 (1D100<=85) ＞ 74 ＞ 成功

九条 櫻子

「─────っ……！？」

九条 櫻子

その男と目が合い、櫻子の鋭い瞳が大きく見開く。

九条 櫻子

「………なんだい、あなたは、この家の……家主さんかな？」

九条 櫻子

予期せぬ場所に男がいたことに驚きつつも、静かにそう問うも。
……去られてしまった。

九条 櫻子

「……………」

九条 櫻子

花壇を、ちらりと見るも……もう夜だ、暗くなっている。
ここからでは、ほぼ何も見えない。

九条 櫻子

「……何を伝えたいのか定かじゃない、が……いいだろう
　そこに、"何か"があるのだろう？」

九条 櫻子

夜風に、櫻子の艶めいた黒髪が揺れながら。
櫻子は一旦、寝室へと戻り。

九条 櫻子

「さて、話は戻そう　父親の所在について、だな」

九条 櫻子

最後にちらりと、衣装部屋の扉を見つめ、そして開ける。

九条 櫻子

まずはタンスを開ける。

九条 櫻子

閉める、クローゼットを開ける。

九条 櫻子

CCB<=95 判定【目星】 (1D100<=95) ＞ 67 ＞ 成功

九条 櫻子

「父親のだな、そして……なるほど、このスーツだけは剥き出し、か」

九条 櫻子

顎に手をやり、眉を顰めながら考え。

九条 櫻子

ゆっくりと、目を閉じる。

九条 櫻子

─────そういえば、あの庭にいた、スーツの男。

九条 櫻子

あの男が着ていたスーツと、そしてクローゼットに並ぶスーツ
同じだったかな？

九条 櫻子

─────スーツは、どれもこれも似たり寄ったりのばかりだが
それでも、違いはあるものだ。
細かな模様に、形状……襟元の形もそうだ。

九条 櫻子

「………さて、さてさて不思議だな」

九条 櫻子

「─────旭、お前は一体私に、何を伝えたかったのだ？」

九条 櫻子

"死体"は、語らない。
それは、櫻子がいくつも見てきた現場でもそうであった。
されど、白骨死体の損傷具合から、重要な手掛かりを見つける場合もある。
今回もまた、それに等しいような状況と言える。

九条 櫻子

フッ、伝えたい"真実"があるなら。
それは、明かしてやろうとも。
隠されたままは、気持ちが悪いから、な。

九条 櫻子

フッ、と不敵な笑みを浮かべながら
櫻子は寝室を後にした。

九条 櫻子

九条 櫻子

九条 櫻子

九条 櫻子

─────むぎという少女への疑念、そして新たな手掛かりに関して話し合う
ロック、そしてデンジのもとへ。

九条 櫻子

寝室の扉が、ガチャリと開き、そこから見慣れた黒い長髪の女が現れる。

九条 櫻子

ちらりと二人の顔を見て、何かを察したのか。

九条 櫻子

「……これはこれは、何か重大なものを掴めたといったような顔だね、二人とも」

九条 櫻子

「おっと、私か……まぁ、そうだな」

九条 櫻子

二人へ─────庭に立つ、スーツを着た男について話す。

九条 櫻子

「デンジくんの勘は鋭いものだね、いやはや、私も脱帽だよ
　それに─────ロックも、表情に変化が表れているのが見える」

九条 櫻子

フッ、と笑みを浮かべながら。

九条 櫻子

「私は─────庭へ行ってみようと思う」

九条 櫻子

オカルトを信じない、というわけではない。
デンジくんが、その存在についての証明をしているように。
ああ、この世に実在するのだろうな、きっと。

九条 櫻子

ロックの言うように、これは怪談話だ。

九条 櫻子

この、景室家の父親と思わしき男が庭に立ち、花壇を指差していたんだとさ。
フフフ、しかも、母親に関する相談は娘に任せたまま……ね。

九条 櫻子

こくりと頷く。

九条 櫻子

「フフ、まぁ、そうだな」

九条 櫻子

「何かあったら、きゃー、と女らしく叫べばいいのかな？」

九条 櫻子

悪戯っぽく、二人へ笑う。

九条 櫻子

「はははっ！そりゃあ頼もしいな、ではその時は頼んだよ？デンジくん」

九条 櫻子

「そして─────自分の身は、自分で守れ
　そのセリフは、そっくりそのまま、君達にも返す」

九条 櫻子

「……私は、死体が好きだ、白骨死体が好きだ
　だが……生きた者が死にゆく瞬間は、大嫌いだ
　それが、大事な仲間とあれば、猶更だ」

九条 櫻子

……フフ、であれば最初から二人を巻き込まずに、自分一人で調査しろって話だと？
ああ、そりゃあ正論だな、私は何も反論できない。
………まぁ、私は、人付き合いが悪いとよく言われるし、何なら……死神体質というやつだ、よく奇妙な事件に巻き込まれる。

九条 櫻子

だからこそ……だからこそ、だ。
私は、万能ではない。車が衝突してくれば、私は一瞬で死ぬ。

九条 櫻子

………傍に、誰かがいてほしいと思っても、別におかしな話じゃないだろ？
狡いって言うなら、何度でもそう言えばいい。
……ま、そもそもこんなこと、言葉に紡ぐつもりなど毛頭ないが、な。

九条 櫻子

「では─────健闘を祈るよ、探偵諸君」

九条 櫻子

そうして櫻子は、階段を降り、そのまま玄関の扉を開け、外へと出て行くのであった。

九条 櫻子

九条 櫻子

夜だというのに、やはり暑い。
夏は、空気がジメジメとしている。

九条 櫻子

アスファルトで舗装された住宅街だからということもあるのだろう。
熱がよく籠っている。

九条 櫻子

櫻子の頬に汗がつぅ、と流れていく。
これは、暑さへの反射作用によるものか、それとも─────。

九条 櫻子

「……さぁ、顔を見せてもらおうか」

九条 櫻子

庭の前に立つ。

九条 櫻子

そして、スーツの男が指した花壇へ視線を。

九条 櫻子

花壇を目星しようか

九条 櫻子

CCB<=95 判定【目星】 (1D100<=95) ＞ 56 ＞ 成功

九条 櫻子

CCB<=95 判定【生物学】 (1D100<=95) ＞ 15 ＞ スペシャル

九条 櫻子

「悲しみ」
ぽつりと、そう呟く。

九条 櫻子

「………ほう、これは、花に水をやらないで弱っているのでも
　やりすぎて弱っている、というわけでもないな」

九条 櫻子

「─────"肥料"の与えすぎだ」

九条 櫻子

櫻子の鋭い目は、細まる。

九条 櫻子

そして、辺りを見渡す。

九条 櫻子

何か─────掘り起こすのに必要な道具はないだろうか？

九条 櫻子

「ほう……こりゃあちょうどいい」

九条 櫻子

薄ら笑いを浮かべながら、それを手に取り。

九条 櫻子

「失礼、君達に恨みはないが……少々、手荒な真似をさせてもらうよ」

九条 櫻子

……にしても、重い。

九条 櫻子

……ロックか、デンジくん、一人呼んでくればよかったかな。

九条 櫻子

肉体労働は、本来なら彼らの仕事だろうに。
……まぁいい、最近は、ジェンダー平等という言葉が流行っているそうだ。

九条 櫻子

女性でも、力仕事はできるようになった方がいいのだろう。
……いやぁ、生物学上、厳しいとは思うが、まぁ、まぁ、いい……。

九条 櫻子

ザクッ。ザクッ。ザクッ。

九条 櫻子

花壇を、掘り下げていく。

九条 櫻子

CCB<=80 【SANチェック】 (1D100<=80) ＞ 54 ＞ 成功

九条 櫻子

はは、ほらな、あった。
─────"肥料"が、そこに。

九条 櫻子

さてさて、こんな状況だと言うのに、私はこんな言葉が頭に過ってしまったようだ。

九条 櫻子

九条 櫻子

九条 櫻子

─────"桜の樹の下には屍体が埋まっている"。

九条 櫻子

九条 櫻子

九条 櫻子

「ここからは、私の"仕事"だ」

九条 櫻子

込み上げる不快感よりも、櫻子は─────"好奇心"が、増していた。

九条 櫻子

何も語ることのない死体であっても、何かを伝えることは、できる。

九条 櫻子

さぁ、教えてくれたまえ。

九条 櫻子

九条 櫻子

CCB<=95 判定【目星】 (1D100<=95) ＞ 7 ＞ スペシャル

九条 櫻子

「そうかい、ありがとう、旭」

九条 櫻子

そうして、掘り起こした死体へしゃがみ込み。

九条 櫻子

両手を合わせ、合掌。
目を閉じ、冥福を祈る。

九条 櫻子

「……君が明かしたかった真実、責任持って私が預かろう」

九条 櫻子

夜風に、櫻子の艶めく黒髪が揺らめく。

九条 櫻子

額に浮かぶ汗は、暑さによるのもなのか
はたまた、先程の肉体労働によるものなのか
……それとも─────？

九条 櫻子

「……さて、あの二人は」

九条 櫻子

「何を見つけたかな」

九条 櫻子

九条 櫻子

九条 櫻子