Ccfolia Log

根津 次郎

根津 次郎

根津 次郎

根津 次郎

「─────ぶあっくしょんッッッ！！！！」

根津 次郎

真っ暗な中、少年の盛大なくしゃみが飛び交う。

根津 次郎

あークソさみ、と呟きながら身をガタガタと震わせ
真っ白な氷の結晶がちらほらと落ちて行く、12月の季節。

根津 次郎

いわゆる、リア充どもが、知りもしねぇ神様の誕生祝前夜を楽しむために
そこらへんに飾られてる、豪勢なイルミネーションを見ては
わ～！きれ～！とか、なんだとか色々ほざいて回ってるような、そんな季節。

根津 次郎

「くっそ！なんでこんな日に限って！」

根津 次郎

明るめの茶髪と、青色の瞳の少年は、不貞腐れた表情をしながら─────

根津 次郎

─────棒状の赤いランプを手に、道路整備のアルバイトをしていた。

根津 次郎

「DIYUSIの頼みだから引き受けたけどよォ……
　クソ寒すぎだろ！！」

根津 次郎

根津はというと、本来はカップルで楽しむこの日を
アルバイトの補欠ということで、DIYUSIに頼まれ
まぁ、これも体験か、ということで引き受けた経緯で、今こうしている。

根津 次郎

「DIYUSIはよく平気な顔してんな……慣れってやつか～？」

根津 次郎

あーだりぃーと言いたげな顔で、赤いランプをゆらりゆらりと揺らしながら。

根津 次郎

「じゃあもうこんな仕事やめよーぜー！」

根津 次郎

「ボイコットだボイコット！！」

根津 次郎

「だってよぉ！！体動かす仕事ならともかく……
　ずっと突っ立ってるだけで何も面白くねぇし！！」

根津 次郎

「寒いし！！！！」

根津 次郎

鼻水が垂れてきたのを、ずずっ、と吸いながら。

根津 次郎

だから俺は"平穏"は嫌いなんだ！
改めて思い知ったぜ、やっぱ俺は、"刺激"ある毎日じゃねぇと、全っ然満たされねェわ！！

根津 次郎

はぁ～～～～～、と深い溜息を吐くと、そこへ真っ白な吐息が形として現れる。

根津 次郎

世知辛さで、俺のエネルギッシュさが、冷てェ夜空に逃げて行くようだぜ……。
なんて思いながらも。

根津 次郎

「なーーーんかおもしれー話ねーーのかよぉーー」

根津 次郎

ぶんぶんと赤いランプを振っていると、遠くから、クリスマス前夜を楽しむ女子高生達の話し声が。

根津 次郎

ぴくりと小耳が動く。退屈過ぎる仕事なもんだから、普段は気にもしねぇ
知らねぇ奴らの話が、ほんのちっぽけでも刺激のように思え。

根津 次郎

「………あ？」

根津 次郎

その耳に─────とある"都市伝説"が、刻まれる。

根津 次郎

「……ん、ああいや……」

根津 次郎

「なんかよ、別に何の変哲も無ぇ怪談話が、面白く感じるほど暇で暇でな」

根津 次郎

「ヘッ、真夜中の12時に"通りゃんせの着信"が突然鳴ってよ
　そんでそれに応じたら"鳥居交差点"へお出迎えされるんだとさ」

根津 次郎

「もうその都市伝説でもいいから、俺を解放してくれぇ～～！！って感じだ」

根津 次郎

DIYUSIは相っ変わらず真面目だなぁ、なんてぼやいていると─────。

根津 次郎

「─────は？」

根津 次郎

根津、そしてDIYUSIのポッケから、知らない音が流れる。

根津 次郎

「なんだ？誰かのイタズラか？」

根津 次郎

困惑と、そして─────

根津 次郎

─────日常が解放される予感に対する、"期待"。

根津 次郎

そんな感情が浮かぶ、少しにやついた表情で、自身の端末を手にする。

根津 次郎

むくりと、起き上がる。
そこは─────"赤"の世界。

根津 次郎

虚ろな意識がまだ後ろ髪を引っ張りながらも。

根津 次郎

青い瞳に映る"赤"が─────根津の"好奇心"を、満たした。

根津 次郎

「……へへ、DIYUSIぃ～」

根津 次郎

「こりゃ～」

根津 次郎

「─────面白くなってきたなァ～？」

根津 次郎

にやりと笑いながら、自身の頭の後ろに腕を回す。

根津 次郎

ああ、そうだよ。
これだよ、俺が求めていたのは。

根津 次郎

こうじゃなきゃ、世の中はつまんねェんだよ！！！！

根津 次郎

「んで……おっとぉ、端末もお釈迦になっちまってるみてぇだな
　そんで……　……あーん？あれは……鳥居か？」

根津 次郎

目を細め、自分達の眼前にある建物を見つめながら。

根津 次郎

CCB<=80 【SANチェック】 (1D100<=80) ＞ 54 ＞ 成功

根津 次郎

「……ん～～～……」

根津 次郎

顔色の悪いDIYUSIを見て、眉を顰めながら思案し。

根津 次郎

「……ほれ、あれだ、こういうのは俺に任せとけ
　大丈夫だ、成せば大抵なんとかなっから！」

根津 次郎

へへへ！と、根津なりに励ますように笑いながら。

根津 次郎

「アレだ、もしキッツいって思ったら、素直に言ってくれ」

根津 次郎

「俺は、別に俺が死ぬ分にはいいが
　……まぁ、"ダチ"が死ぬのは、気分が悪ィからな」

根津 次郎

「……」

根津 次郎

無理をしているように思えながらも、ニッ、と笑い。

根津 次郎

「っしゃ、じゃあちゃちゃっと脱出してやろうぜ～？」

根津 次郎

さーてと……と口にし。

根津 次郎

「周りは果てしねェ"赤の世界"、道標は……どこまでも続く鳥居しかねェ」

根津 次郎

「へへへ、いかにもここを通ってくださいって感じだな？
　罠か？そうだとしても、面白いかもな！」

根津 次郎

根津 次郎は─────根っからの、"探索者"だ。
恐怖心よりも好奇心が勝る、"狂人"だ。

根津 次郎

そんじゃ、俺が先導すっから、とりあえず着いて来い！と言い
そのまま鳥居へと進んで行く。

根津 次郎

「わーってるわーってる！俺はいつ死んでもいいが
　今すぐ死にてェってわけじゃねーからな！」

根津 次郎

心配、あんがとよ、と付け加えながら。

根津 次郎

そんじゃ、DIYUSIの忠告通り……っと。

根津 次郎

鳥居を目星。

根津 次郎

CCB<=95 判定【目星】 (1D100<=95) ＞ 41 ＞ 成功

根津 次郎

CCB<=80 【SANチェック】 (1D100<=80) ＞ 43 ＞ 成功

根津 次郎

「……うっわ……なんだあれ……！？……やっべぇ」

根津 次郎

CCB<=0 判定【クトゥルフ神話】
無駄振り (1D100) ＞ 23

根津 次郎

「……ん、あ、ああいや……へへ、いかにもここは─────"非日常"だ、ってな」

根津 次郎

「……まぁ、慎重に進むにしても、だ……
　アレだ、あんまジロジロ色んなところ見てると」

根津 次郎

「─────飲み込まれるかもな」

根津 次郎

ニヤリと笑いながらも、頬に冷や汗がつう、と落ちる。

根津 次郎

「……ん……？なんだこれ？」

根津 次郎

ベリッ！と剥がして読む。

根津 次郎

「……ほーーん……？生贄の儀式ってとこか……？」
ちらりと、転がっているナイフを見て、それを拾いつつ。

根津 次郎

「ほれDIYUSI、なんか重要っぽそうなメモだ」

根津 次郎

ぴらぴらと、血塗られたメモを渡し。
俺はもう覚えたからいらね、と言う。

根津 次郎

「へへ、分かりやすい脱出方法だ、俄然やる気湧いてきただろォ～？」

根津 次郎

「希望は捨てるにゃはえーってこった」

根津 次郎

にしし！と、DIYUSIを励ますように笑いながら。

根津 次郎

「通るな、ってか？」

根津 次郎

「そうだなぁ……色々探してみっか」

根津 次郎

信号機目星可能か？

根津 次郎

CCB<=95 判定【目星】 (1D100<=95) ＞ 72 ＞ 成功

根津 次郎

「ん……？人か？」

根津 次郎

目を細めながら、その人影を見て。

根津 次郎

「そうかもな！そんなら人手は多い方が、脱出方法探すのも捗るだろ！」

根津 次郎

手を大きく振りながら
お～～～～～～～～～～～～～～～い！！とデカい声で、その人影へ話しかける。

根津 次郎

「！？　おいおいおい！！平気だ！！俺らは悪いもんじゃねぇ！！」

根津 次郎

←実際は怪盗、犯罪者、悪い奴。

根津 次郎

「DIYUSI！とりあえず……行くぞ！」

根津 次郎

そのまま、信号機のもとへと走り出す。

根津 次郎

ん……子どもじゃねぇか、しかもこんなところで？
こりゃ～怯えるわな！

根津 次郎

「へへ！そう不安がるなって！兄ちゃん達は別に、お前を
　どうこうしようってわけじゃねーし！」

根津 次郎

よっこらせ、と少女の視線に合わせるように屈みながら
安心させるように微笑む。

根津 次郎

「まじかよ……！？そりゃあ大変だな！？」

根津 次郎

ほ～？DIYUSIのヤツこそ、最初は不安がってたが……
こういう、やる時はやるんだな、さすがだぜ。

根津 次郎

「おう！まぁここで会ったのもなんかの縁かもしれねーしな！」

根津 次郎

頭の後ろに腕を回しながら、にしし！と笑い。

根津 次郎

「なるほどな……んじゃ、俺らと状況は一緒ってこった」

根津 次郎

いえーい！とピースサイン。

根津 次郎

「ああ、それに─────脱出の見立てはあるしな」

根津 次郎

「平気だ！んじゃ、かごめの母ちゃんも探せばいいんだろ？」

根津 次郎

な？とDIYUSIの方を向く。

根津 次郎

こうして子どもがいるってんなら、DIYUSIも怖がったままじゃいられねぇだろうし。
子どもが同行することで、行動範囲が狭まるデメリットよりも、仲間の決起に繋がる方が、メリットに感じられる。

根津 次郎

「DIYUSIの姉ちゃんに存分に頼るといいぜ～？かごめ！
　こいつはな～、道路整備の仕事やってる関係からか
　人間観察とかが得意になってる面もあるからな！」

根津 次郎

あ、俺は根津だ！気軽に根津って呼んでいいぜ！とはにかみつつ。

根津 次郎

「へへ！悲しいよりも、楽しい方が、生きるのおもしれーからな！
　ま、なるようになるって考えて、前向きに行こうぜ～！」

根津 次郎

おう！と返事をし。
子守りはDIYUSIに任せ、上を見上げる。

根津 次郎

先程は遠くであったため、認識できなかったが
─────この信号機には、どうやら何かが書いてあるようだ。

根津 次郎

さぁ、俺の好奇心を満たしてくれるもんは、あっかな～？

根津 次郎

ニヤついた表情で、信号機をじっと見つめる。

根津 次郎

「─────はーん、ここでは……そういう"ルール"ってことか」

根津 次郎

CCB<=79 【SANチェック】 (1D100<=79) ＞ 100 ＞ 致命的失敗

根津 次郎

おわァァアアア～～～～～～っ！！！

根津 次郎

1d3 (1D3) ＞ 3

根津 次郎

「……って、うっわ……！？」
思わず声に出る、大量に張り巡らされた御札に書かれてある─────得体のしれない、気持ちの悪い文字に。

根津 次郎

ない

根津 次郎

「……どうどう、落ち着け俺……ふぅ……
　……うっし、DIYUSI、かごめ、この世界ではどうやら─────」

根津 次郎

「赤は、渡っていいみたいだぜぇ～？
　へへ！なんだか悪いことしてるみたいで、逆に楽しいな！」

根津 次郎

緊張感も無く、へらへらと笑いながら。
─────試しに、自分から赤信号を渡ろうと、一歩踏み出す。

根津 次郎

さぁ、どうなる。そう書いてあるんなら、いきなり罰は与えるはナシだろ？

根津 次郎

CCB<=(16*5) 【アイデア】 (1D100<=80) ＞ 47 ＞ 成功

根津 次郎

……………。

根津 次郎

……へ、へへ。おんもしれぇ。
……敵意とも、害意とも……殺意とも、分からねぇ。

根津 次郎

ただただ、俺達の後ろに─────何かが、"いる"。

根津 次郎

怖いってか？あー、まぁな、怖いぜ？

根津 次郎

でも振り返るんだな、これが。

根津 次郎

俺、気になるから。へへ、好奇心旺盛だから。

根津 次郎

ちらりと、後ろを振り返る。

根津 次郎

………へぇ、そう来るってか……。へぇ……！！

根津 次郎

……おんもしれぇぇえ～～……！！！たまんねぇ……！！

根津 次郎

何が起きてんのかわかんねぇこの感覚……へへへへ！！
これだから……"非日常"は、"楽しい"ぜ……！！！！

根津 次郎

「……へへ、いんや、なんでもねーぜ」

根津 次郎

DIYUSIだけならともかく、だ

根津 次郎

かごめがいるってんなら、まぁ余計に不安を煽らせるこたぁねぇわな。

根津 次郎

俺、DIYUSI、かごめ、そしてそこに─────4人目が、いや……
4体目かぁ～？へへ、どっちでもいい、どうやらもう一匹、お客さんが
ご同行してるってだけだ。

根津 次郎

「ほれほれ、DIYUSIはしっかりとかごめと手を繋いで
　真っ直ぐ"前"向いて歩きな」

根津 次郎

そのまま、前へ、前へ、前へと進んで行く。

根津 次郎

「ほーれかごめ！母ちゃん探すんだろー！」

根津 次郎

先導は俺が行く、どんな罠があるかもしれねーしな
ここは男としても……あとは、俺の好奇心を満たすためにも
ぜってー譲れねー場所だ、へへ！

根津 次郎

「─────ッ……！！！」

根津 次郎

大きく目を見開き、そこに突き刺さる"殺意"に、身構える。

根津 次郎

「……おいおいおい、随分な歓迎だなオイ！！！」

根津 次郎

「……DIYUSIもな！二人とも絶対に俺から離れんな！！」

根津 次郎

そして─────槍が投げられた方角へ視線をすぐに移す。

根津 次郎

かごめは頼んだぜ、DIYUSI！
こっからは、俺ん仕事だろ……！！

根津 次郎

「……っ………！！！……や、っべぇ………！！」
ごくり、と音を立てて生唾を飲み込む。

根津 次郎

冷や汗がぞわりと、根津の背中を濡らす。

根津 次郎

CCB<=76 【SANチェック】 (1D100<=76) ＞ 14 ＞ スペシャル

根津 次郎

「…………」

根津 次郎

とっさに、懐のダイナマイトを取り出そうとするも。

根津 次郎

……どうやら、あのデカブツは……すぐにでも俺達を殺そう、って腹でも無さそうだ。

根津 次郎

「……へへ、んじゃあ……逃げるが勝ち、ってとこじゃね～？」

根津 次郎

怪盗の足舐めんなよ。マジで。

根津 次郎

俺一人だったら、アイツとドンパチやるのも面白そうだったんだが……。
かごめがいるってんなら、話は別オブ別だ。

根津 次郎

しんがりは俺が務めるぜぇ～？にしし！いっちばん死ぬかもしれねぇ位置だからな！
ああ刺激的だ！！

根津 次郎

さぁて鬼さん！爆発音の鳴る方へっとぉ！！

根津 次郎

CCB<=95 判定【投擲】 (1D100<=95) ＞ 51 ＞ 成功

根津 次郎

懐から─────着火したダイナマイトを取り出し。
一瞬にしてそれを、横断歩道の横へと放り投げる。

根津 次郎

そしてそれは─────爆発する。豪快な音と共に。

根津 次郎

その隙に、化け物の横を通り過ぎて行くように走り抜ける。

根津 次郎

「…………あ……？」

根津 次郎

……これは……血か……？

根津 次郎

「……DIYUSI、ちっと用心な」

根津 次郎

先陣を切るように、その赤い斑点を追っていく。

根津 次郎

……こりゃまた、刺激的なこった。

根津 次郎

"死"の匂いだ。

根津 次郎

「ああ、子どもにゃ……目の毒ってやつだ」

根津 次郎

さぁて、何がある─────。

根津 次郎

周りを見渡しつつ、その大きな血だまりへと目をやる。

根津 次郎

CCB<=76 【SANチェック】 (1D100<=76) ＞ 42 ＞ 成功

根津 次郎

「ぐッ…………こりゃあ……胸糞悪いな」
女性の骸の傍へとしゃがみ、眉間に皺を大きく寄せながら、それをじっと見る。

根津 次郎

「……DIYUSI！！……絶対にこっち見んなよ！」

根津 次郎

背中越しに叫び─────。
……その死体が……思い浮かぶ、嫌な予感に当てはまらんことを祈りつつ。

根津 次郎

ああ、それでいい、サンキューなDIYUSI。

根津 次郎

……さぁて……こういう、薄汚ェことは、俺みてぇな薄汚ェヤツの仕事だ。

根津 次郎

死体を目星

根津 次郎

CCB<=95 判定【目星】 (1D100<=95) ＞ 33 ＞ 成功

根津 次郎

「……」

根津 次郎

「……へへ、ほーんと」

根津 次郎

「悪趣味なこった」

根津 次郎

「あのなぞなぞは……そういうことかよ」

根津 次郎

ニヤリと笑いながらも、その表情は怒りが籠っていた。

根津 次郎

ああいいぜ、とことん汚れてやるよ。

根津 次郎

手を合わせ、合掌した後に─────。

根津 次郎

引きちぎられた腹部へ、手を突っ込む。

根津 次郎

ぬめりと、まだ生暖かさを感じる。
……この真っ赤な肉がよ、数時間前にゃ、まだ生きてたんだろうよ。

根津 次郎

俺らのように、人間として、な。
……あーあ、こんなことしてたら、俺は地獄行き確定だな。

根津 次郎

あ？いやそもそも、元から怪盗業やってんだし
天国なんざ、ハナっから行ける望みないから、カンケーねーか、はは。

根津 次郎

「………はぁ」

根津 次郎

深い、溜息。

根津 次郎

哀しみの込められた、やるせない感情。

根津 次郎

そして真っ赤に染まった手を抜き─────赤"子の骸"を取り出す。

根津 次郎

条件は、整っちまったな。こーんな形で。

根津 次郎

「……DIYUSI、ちょっとこっち、見んなよ、ぜってーに」
再度繰り返すように、少し声を荒げながら。

根津 次郎

「鳥居のとこ行って、んで……ずっと信号機の方見てろ」

根津 次郎

根津 次郎

"処理"を終えたDIYUSIの元へ、真っ赤な両腕と、その上に乗っかる
一つの"生き物"であった肉塊が目に映るであろう、根津の姿が。

根津 次郎

「……そっちで何やったかは、まぁ、今は聞かないでおくわ
　本来の俺なら気になって仕方ねーってんだろうが……
　今は、気分じゃねぇしな」

根津 次郎

つーか、見るなっつったのに。
……まぁでも、"慣れてる"みてぇだしな、DIYUSIも。
なら、俺からは何も言うことは、ねぇわな。

根津 次郎

「へっ、そりゃあこっちのセリフだ」

根津 次郎

「かごめのこと、守ってくれてサンキューな」

根津 次郎

「……ま、なんだ……探し人に関しちゃ……
　"どうにもならなかった"が……」

根津 次郎

若干の不貞腐れた表情になりながら。

根津 次郎

DIYUSIのその表情を見て、フッ、と笑う。

根津 次郎

「……お互い、生きて帰れそうだし、それだけで大儲けだな」

根津 次郎

ニッ、と片方の口角を上げつつ。

根津 次郎

「んじゃ……退屈な日常へ、帰ろうぜ」

根津 次郎

鳥居へと足を運び、そして─────。

根津 次郎

肉塊を、捧げる。

根津 次郎

……チッ、最後まで悍ましいな、どこまで胸糞悪いんだ。

根津 次郎

苦虫を嚙み潰したような表情で、それを見届ける。

根津 次郎

「─────安らかに、眠りな」
静かに、低い声でそうぼやく。

根津 次郎

死臭漂う、真っ赤に染まった腕を払いながら。
鼻から息を吐き捨て。

根津 次郎

「……うっし、そろそろかごめのお目目、開けてもいいかもな？」
DIYUSIの方をちらりと見て。

根津 次郎

真っ白な空間を、ゆっくりと歩きながら。

根津 次郎

……へっ、青信号ん時になる音楽、ってか。

根津 次郎

ん。と返事。

根津 次郎

その言葉に、ニィ、と意地悪そうな笑みを浮かべ。

根津 次郎

「へへへ、DIYUSIの弱み、握っちまったなァ～？」

根津 次郎

なんて、冗談めかすような口調で。

根津 次郎

はははっ！可愛い顔しやがって！と大笑いしながら。

根津 次郎

「─────ま、アレだ」

根津 次郎

ちらりと、かごめの方を向き。

根津 次郎

「母ちゃんは、まだまだ探すから、一緒に頑張ろうぜ」

根津 次郎

嘘？ああ、嘘だぜ？

根津 次郎

本当のことを伝えるのが誠意？知るか。
本当のことを伝えるのが、絶対に正しいことなわけあるか、ボケ。

根津 次郎

な？とDIYUSIの方も見つつ。

根津 次郎

「へへ、母ちゃん見つけられるまで、強く生きるんだぜ？」

根津 次郎

「再会した時に、逆にビックリさせちまえ！」

根津 次郎

……ああ、そうだな、かごめは、"姉ちゃん"だからな。

根津 次郎

世の中は、面白ぇ刺激があった方が楽しいんだが
……こういうのは、あーんま、楽しかねーな。

根津 次郎

「つーわけで、頼んだぜDIYUSI～？」

根津 次郎

へへへ！と笑いながら、自分の頭の後ろに腕を回しながら、歩き、歩き、歩く。

根津 次郎

「ぐぎっ……！？……へいへーーい、わーったよ」
観念したような顔になり。

根津 次郎

ま……出会っちまったからにゃ、仕方ねーか。
これも、ケジメってやつか。

根津 次郎

道路整備士としての姿に戻り、赤いランプを片手にしながら
DIYUSIの背で眠る少女を見て、フッ、と笑い。

根津 次郎

「……最悪のクリスマスにさせるにゃ、胸糞悪ィからな」

根津 次郎

DIYUSIに、ニッ、と笑みを浮かべ、夜勤を終えた後の空気を満喫するように
ぐいーっと体を伸ばしながら。
ん？と声を。

根津 次郎

「へーへ、あいよっと」

根津 次郎

さぁて、俺はどうするかって？

根津 次郎

ああ、んなの決まってらぁ。

根津 次郎

「天下の大泥棒、ラット様にかかりゃこんなもんだよ」

根津 次郎

─────猫のようなニット帽子を被る少年は、今どこにいるのか？

根津 次郎

そう、籠女の家である。

根津 次郎

籠女は、DIYUSIによって引き取られた。
であれば残すは─────逝ってしまった魂の、供養。

根津 次郎

「罰当たりに次ぐ罰当たりってか？」

根津 次郎

「知らねぇ～～～！俺、元から社会のダニだしな！」

根津 次郎

そうして室内を進んでいき─────。
ガチャりと扉を開け、そして見つける。

根津 次郎

「ま……向こうの世界で死んだままってのは、寂しいからな
　せめて、こっちの世界に合流できた方がいいだろ」

根津 次郎

母子健康手帳を片手に、その少年はまた、闇夜へ溶け込む。

根津 次郎

根津 次郎

根津 次郎

根津 次郎

宴だァ～～～～～～～～！！！