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犬吠埼 風

x5 3d6 #1
(3D6) ＞ 5[1,3,1] ＞ 5

#2
(3D6) ＞ 13[5,2,6] ＞ 13

#3
(3D6) ＞ 10[4,4,2] ＞ 10

#4
(3D6) ＞ 10[1,3,6] ＞ 10

#5
(3D6) ＞ 7[1,5,1] ＞ 7

犬吠埼 風

犬吠埼 風

犬吠埼 風

犬吠埼 風

─────6/21。
もうすぐ夏がやって来そうな、少しムシムシとした日々が続く中。

犬吠埼 風

アタシ、そしてジュリは、暑い日差しん中、ブラブラ～っと歩いてるわけだけど。

犬吠埼 風

これが、ただの散歩ってわけじゃないのよ～？

犬吠埼 風

アタシは勇者部の活動の一環として。
あ、勇者部っていうのは、要はボランティア活動をする部活ってことなんだけど。

犬吠埼 風

まま、そんな感じで
友達から、猫ちゃんを探すように！ってことで
こうして捜索に出てるわけで～。

犬吠埼 風

「いやぁ悪いね～！ジュリっち～！
　頼まれごと、協力してもらっちって」

犬吠埼 風

へへ。と少し悪戯っぽい笑みを浮かべる、黄色の長いおさげと、緑色の瞳が特徴的な

犬吠埼 風

まさしく、姉御！という風貌な少女。
犬吠埼 風。

犬吠埼 風

いやぁ、ジュリっちはほんと、改めて見て……
同年代とは思えないほどの、メガロポリスボディよねぇ。
だなんて考えながら。

犬吠埼 風

「あはは！それなら良かった！
　いや～気持ちの良い友達を持って、アタシも幸せもんってやつよ！」

犬吠埼 風

豪快に笑いながら、共に猫を捜索し続ける。

犬吠埼 風

「おっと、とは言え……最近はどんどん気温も高くなってるからねぇ」

犬吠埼 風

ほいな、とジュリへスポーツドリンクを手渡す。

犬吠埼 風

「水分補給、大事よ～？熱中症は、6月にも起こるもんだもの～」

犬吠埼 風

「…………」

犬吠埼 風

ジュリの放つ、スタミナ料理という単語に、少し眉がへし曲がる。

犬吠埼 風

「い、いやぁ、あははは……そ、そうね、ええ、とても、良いと思うわ！」

犬吠埼 風

少し冷や汗を垂らしながら笑う。

犬吠埼 風

……こ、この子のダークマター……あ、違う。
料理は、人を殺しかねないもの……。

犬吠埼 風

「ん……」

犬吠埼 風

こくりと頷き。

犬吠埼 風

「そうね、大分歩いたものね～アタシ達！
　件の猫ちゃんを見かけた一軒家も、ほんとに偶然っていうか……」

犬吠埼 風

手でパタパタと扇のように仰ぎながら
頬から垂れる汗をなんとか冷やす。

犬吠埼 風

「あら、いいこと言うじゃない！
　ふふ、アタシもその言葉、好きよ～！」
ペットボトルを受け取り、風もそれを口にする。

犬吠埼 風

ごく、ごく、ごく。と喉を鳴らしながら、胃の中へと入っていく、スポーツ飲料。
くぅ～～！五臓六腑に染み渡るっていうのは、まさしくこのことね！

犬吠埼 風

「ちょっ、な、何よ～！アタシの女子力が足りないって言いたいわけ～？」
ジト目でジュリの方を見ながら。

犬吠埼 風

「ちょっとアタシも、今の飲み方、おっさん臭いって思ったけどっ！！」

犬吠埼 風

自分で言っておきながら、ガッカリしちゃうわね！ほんと！

犬吠埼 風

「あ、あら……そう？……な、なんかそう言われると
　少し照れちゃうわね……」

犬吠埼 風

ぽりぽりと頬を掻きながら、視線をどことなくキョロキョロとさせ。

犬吠埼 風

「……ま、勇者部にせよ、給食部にせよ……
　アタシ達は、人に笑顔を届ける者って部分は共通してるし
　そういう意味では、ベストコンビだったり？」

犬吠埼 風

なーんつって、とけらけらと笑う。

犬吠埼 風

「お……そうね、そろそろ見えてきたわね
　よっしゃ！こっからは気合を入れて……
　……ん？」
腕を捲ろうとすると、一人、見覚えのある人物と出会う─────。

犬吠埼 風

「桃～！あら？ってことは……」

犬吠埼 風

「はんはん、なーるほどね
　桃にも猫ちゃん探しのお願い、行ってたわけね～！」

犬吠埼 風

「……って、あらあら～！アタシらよりも汗かいてるじゃない～！
　ダメよ～？6月後半って、ほーんと中途半端な季節でー……
　普通に脱水症状しちゃうわよ？」

犬吠埼 風

ほいな、飲みなさい。とスポーツ飲料を桃へ渡し。

犬吠埼 風

「ん？？？？」
今、すごい発言がぶっ飛んだわね？

犬吠埼 風

2周、2周……2周……！？

犬吠埼 風

「あ、あっはっはっは！いやーほんと、桃にはいつも驚かされるわねぇ！
　アタシも、運動は得意な方なんだけど……」

犬吠埼 風

「え～～！！筋肉ついたら女子力落ちちゃうじゃない！！」

犬吠埼 風

「桃～？筋肉もいいけど、やっぱ女子力よ女子力！
　将来のために、たっくさんつけといた方がいいわよ～？」

犬吠埼 風

「イエース、女子力
　……って、エッエッ？」

犬吠埼 風

目を大きく開き、狼狽える。

犬吠埼 風

「ジュ、ジュリみたいな、お料理……
　あ、ああ、で、でもそうね、ええ！料理スキルは、女子力に直結する……
　けど……けど……！そ、そうねぇ～～～！！」

犬吠埼 風

「え」

犬吠埼 風

瞬きを数度。ああ、これは、困った。とても、困った。

犬吠埼 風

「ちょ、ちょぉ～～～っと待ったぁ～～～～！！」

犬吠埼 風

「そ、そうね！！！えーーっと、料理！！
　料理っていうなら、今度！！みんなでウチで、やってみないかしら！！」

犬吠埼 風

冷や汗をダラダラとかきながら、ウインク。

犬吠埼 風

「てか、桃はいっつも偏った食事ばっかりだもの！
　たまには栄養満点の料理を食べないと、寿命が縮んじゃうわよ～？」

犬吠埼 風

「んーん、大丈夫！むしろ妹の樹も喜ぶわよ～！
　アタシが保障する！なんて言ったって、二人はアタシの信頼できる
　友達、だからね～！」

犬吠埼 風

胸の辺りをポン、と叩き。

犬吠埼 風

「それに、家事くらいでへこたれちゃ、女子力が廃るってもんよ！
　へーきへーき、気にすることはないわよ～！」

犬吠埼 風

実際、風は毎朝早起きして自分と妹の分の料理、そして昼食の弁当を作り。

犬吠埼 風

夜になれば、犬吠埼姉妹の大好物、完全栄養食であるうどんを作り
二人で平らげている日々を送っている。
もちろん、野菜や総菜も作りつつではあるが。

犬吠埼 風

「……」

犬吠埼 風

そ、それは、それは……。と口をまごまごとさせる。

犬吠埼 風

「え、えぇーーっと、でも、大丈夫、きっと大丈夫……
　アタシが傍で色々指導すれば、ダークマターには……
　……ん？」

犬吠埼 風

ふと聞こえた、馴染みのある声にぴくりと耳が反応し。

犬吠埼 風

「その声は……！」

犬吠埼 風

バッ！と振り返る。

犬吠埼 風

「ゴクウじゃない！これまた奇遇ね！」

犬吠埼 風

「いやぁ～あっはっは！相変わらずゴクウは自由奔放ね～！
　ふふ、そういう元気なところが、ゴクウらしいんだけどね！」

犬吠埼 風

手をひらひらとさせ、ゴクウを迎え入れ。
そして二人の方を視線を向ける。

犬吠埼 風

「ええ、そうね
　実は─────」

犬吠埼 風

ゴクウへ、友達の飼い猫を探している最中であることを伝え。
そしてその白い猫を先日、この先にある一軒家の窓辺で見かけた、と伝える。

犬吠埼 風

「とまぁ、アタシは勇者部として
　んでジュリにはそのお手伝い
　桃も、アタシと同じようにお願いされてここに来た、って感じね～」

犬吠埼 風

「あら？ほんと？助かっちゃうわ！」

犬吠埼 風

「猫探しって、アタシも前に似たようなことやったんだけど……
　いやぁ～、とにかくすばしっこくてねぇ」

犬吠埼 風

「だから、そういう意味ではゴクウが手伝ってくれると
　すっごく助かっちゃうわ～」

犬吠埼 風

ふふふ、とその様子を見て微笑みながら。

犬吠埼 風

「あらあらぁ～？それじゃあ、猫ちゃんに勝てるかしらぁ～？」

犬吠埼 風

ニヤニヤとゴクウを煽ってみる。

犬吠埼 風

あっはっは、ほーんとそうね！と頷く。

犬吠埼 風

アタシ、本当に運動には自信あるんだけど。
桃やゴクウがいるのもあって、なーんていうか中々、頭が上がんないみたいな
そんな感じね。

犬吠埼 風

「ふふふ、頼りになるわね～！
　それじゃあ、さっそく行こうかしら！」

犬吠埼 風

「それじゃ～音頭はー……」

犬吠埼 風

ん～～、と声を漏らし、3人の顔を見て行って。

犬吠埼 風

「それじゃ、桃、よろしく！」

犬吠埼 風

何か、ピンと来るものがあったらしく、桃へ投げてみる。

犬吠埼 風

この組み合わせだと、何故か桃が音頭を取るとそれっぽいような
そんな気がしたからだ。

犬吠埼 風

にしし！と笑い、桃に応える。

犬吠埼 風

「ああ、それならへーきへーき！
　前に、あの一軒家で、件の白い猫、見たのよ」
そう言い、眼前の少し遠くにある一軒家を指差し。

犬吠埼 風

多分ね！と応え、こくりと頷く。

犬吠埼 風

「お～～～！」

犬吠埼 風

女子力全開に、拳を上げる。

犬吠埼 風

「どうかしら？リーダー」

犬吠埼 風

「ふんふん……んん～～～……？そう、なのね……？」

犬吠埼 風

「猫ちゃんがここにいるの見たから……てっきり、この家の人が
　餌でも与えてるのかなぁ？って思ったけど……」

犬吠埼 風

「あらほんと……ポストに新聞びっしり！こういうの見ると
　女子力的に、ぞわって来ちゃうわね！」

犬吠埼 風

「って、あら！！猫ちゃん！？……って！ゴクウじゃない！」

犬吠埼 風

「ま、全く！それいつもビックリするからやめてなさいよ～！
　は～～、いつ見ても不思議ねぇそれ！」

犬吠埼 風

「わわっ！？お、怒った！？」

犬吠埼 風

「ど、どうどうどう……ほーれ、おやつのポッキー……
　……猫って、お菓子食べてもいいのかしらね？」

犬吠埼 風

しゃがみながら、ポッキーを片手に振り振りとさせる。

犬吠埼 風

「あ、そうなのね？危ない危ない！ゴクウを危険に晒しちゃう
　とこだったわ！」

犬吠埼 風

「あ、ほいほい、どーーぞ」
そのままポッキーをゴクウの口へ運ぶ。

犬吠埼 風

「ふふふ、美味しいなら良かったわ」
と微笑みながら、桃の方を見て。

犬吠埼 風

「ん、そうねぇ……」

犬吠埼 風

「猫に食べさせちゃいけないものを与えちゃってる可能性も、あるのねぇ
　……んで、どうやら……」

犬吠埼 風

ゴクウの言葉に、首を横に振る。

犬吠埼 風

「ほら見て、庭も雑草だからけ！
　あーー掃除したいわ！」

犬吠埼 風

ポッキーを見てる視線に気が付き、桃に
これ食べる？と一本差し出す。

犬吠埼 風

「ふふ、いいのよ
　糖分補給も大事だもの」

犬吠埼 風

その後、改めてインターホンを鳴らすも
やはり、反応はかえってこない。

犬吠埼 風

「ちょっと困っちゃったわね～これ」
頭をガシガシと掻きながら、一軒家の扉を見つけ。

犬吠埼 風

「あーー、耳遠い人だったりするかもってわけね……
　ん～～～～、とは言え、猫はここにいると思うから……」

犬吠埼 風

「あら、ふふ、それいいじゃない～！」

犬吠埼 風

「それじゃ、その線で行こうかしら？
　中にお年寄りの人がいたら、そう説明すれば
　万事おっけーよ」

犬吠埼 風

「ふふ、用意周到ね
　ま……やっぱり心配なのは、猫ちゃんの身よ」

犬吠埼 風

「というわけで～
　ごめんくださ～～～い！」
ガラガラガラ！と扉を開け、中へと入る。

犬吠埼 風

……さらっとやったけど。

犬吠埼 風

鍵、開いてるのね、これ。

犬吠埼 風

中々不用心ねぇ……住人の人は。

犬吠埼 風

「ええ、ほーんと」

犬吠埼 風

「……ん～～、そうね……ま、まぁでも、大丈夫よ！
　いざとなったら、アタシのせいにしちゃってくれても
　構わないわ」

犬吠埼 風

ニコ、と笑う。

犬吠埼 風

「……ん？」

犬吠埼 風

「……あーーー……」

犬吠埼 風

ちらりと見える、男物の靴を見て。

犬吠埼 風

「……なんか、ええ、そうね……」

犬吠埼 風

「……そうね！」

犬吠埼 風

「ま、まだ、そういうのと決まったわけじゃないもの」

犬吠埼 風

「それに、まぁ、不法侵入みたいな形になっちゃってるのは事実だから……
　あまり長く滞在するのも良くないし」

犬吠埼 風

「ここは手分けをして……って感じね」

犬吠埼 風

そこには─────。

犬吠埼 風

「ん？」

犬吠埼 風

桃とジュリが危惧していた状況とは、まるで正反対の光景。

犬吠埼 風

風が、まるで母親ように、ゴクウを負ぶっている姿がそこにあった。

犬吠埼 風

「あ、あらら、二人とも……ふふ、二人も、友達想いなのね
　ただ……即武装っていうのは、中々に中々よねぇ」

犬吠埼 風

微笑ましく笑いながらも、悪戯っぽく微笑む。

犬吠埼 風

「大丈夫、桃もジュリも落ち着いて
　"まだ"、ゴクウの身に危険なことは降り掛かっていないから」

犬吠埼 風

よっこらせっと！と、背負うゴクウの位置を整えるように動く。

犬吠埼 風

んー、と少し気難しそうな表情をしながら。

犬吠埼 風

「……まぁ、その、いきなりの進捗報告なんだけど」

犬吠埼 風

そして風は語る。
寝室で見かけた日記。"門"によって、異界から猫がやってきたと
そしてその猫は、今も押し入れの天井裏にいる、と。

犬吠埼 風

その存在は自分の目でも見た。
自分達が捜していた猫とは違う、小さな猫がいた、と。

犬吠埼 風

「……ええ、"危険"ね」

犬吠埼 風

「大丈夫」
ゆったりとした声の調子でゴクウに話しかける。

犬吠埼 風

「………ええ、ええ。そうね─────。」

犬吠埼 風

ゴクウの言葉に、眉間に皺が寄る。

犬吠埼 風

明らかな、最悪の事態であり。
そしてそれは、起こりえるものでもある。

犬吠埼 風

「……百聞は一見に如かず」

犬吠埼 風

「桃、ジュリ、日記は後で直に読んでもらうとして」

犬吠埼 風

「実際に……押し入れの猫、見てもらってもいいかしら？」

犬吠埼 風

ん、ありがと。と、素直に了承する桃に微笑み。

犬吠埼 風

「アタシも、実際のところ……まだ確証が無くてね
　……ふふ、ゴクウはまだお休みよ～？」

犬吠埼 風

うりうり、と少し上下に揺さぶってみる。

犬吠埼 風

「……わかってるわよ、大丈夫
　ゴクウを頼りにしていないなんてことはないんだから
　だから、今はちゃんとお休みして、体力を回復させるのに集中してね」

犬吠埼 風

優しく語り掛け、ゴクウへウインク。

犬吠埼 風

こくりと頷く。

犬吠埼 風

「ええ、とにかく色々見てもらった方が早いわ
　着いてきて」

犬吠埼 風

そのまま寝室へと向かう。

犬吠埼 風

そして、そのまま一同は寝室へと到着し。
風は、顎で机にある日記と、そして押し入れを指す。

犬吠埼 風

「……信じられないでしょ？」

犬吠埼 風

「……ええ、ぶっちゃけアタシも、半信半疑なとこはあるけど
　でも、そこに書かれてある猫は、確実に─────」

犬吠埼 風

緑色の瞳をゆらりと動かし、押し入れの方へ。

犬吠埼 風

こくりと頷き。

犬吠埼 風

「……ええ、本物かもしれない
　その日記には、さくらちゃんって猫の小皿に餌を乗せると
　この押し入れの天井裏にいる子猫ちゃんは、餌を食べた
　そう書かれてあったわ」

犬吠埼 風

そして桃の方へちらりと。

犬吠埼 風

「ちょうどいいわね、小皿と餌」

犬吠埼 風

「アタシも、台所があったら探してみようかと思ってたとこよ
　手間が省けて助かっちゃうわ」
ニコりと笑い。