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小倉 ひかり

小倉 ひかり

小倉 ひかり

小倉 ひかり

─────5月の17日、何てことのない、平穏な日！

小倉 ひかり

私達は、いつものように学校に行って
友達とたくさん話して！おいしいお昼ご飯も食べて！
授業は……え、えへへ、気持ちよく寝て……。

小倉 ひかり

そうして、そんな楽しい、今日の学校生活も終わりに近づいて……
放課後、私は、友達のみんなと一緒に、休日の遊びの予定を立ててました！

小倉 ひかり

「ねーねーみんな！今週の土曜日、どこに行こっか！」

小倉 ひかり

楽しげに話す、天真爛漫な雰囲気を醸し出す
金髪と、大きな赤いリボンが特徴的な少女─────ひかり。

小倉 ひかり

背は小さくとも、ありふれんばかりの活力が漏れ出しており
とにかく！元気！といった、そんな女の子だ。

小倉 ひかり

「キャンプ！楽しそうー！！」
赤いリボンがぴょこぴょこと、ウサギの耳のように動きながら。

小倉 ひかり

「……！？！？」

小倉 ひかり

目を真ん丸にしながら、たらりと汗が落ちる。

小倉 ひかり

そうして、リコからゆっくりと視線を逸らしながら。

小倉 ひかり

「そ、そんなのは、ヨユーだよ、ヨユー！」

小倉 ひかり

「フ、ファントムくんだってそうだもんねー！」

小倉 ひかり

だらだら、休日の予定に想像を膨らませていた二人は
一気に余裕のない状態に……。

小倉 ひかり

「……か、かなでちゃんに、お勉強会開いてもらうように……
　今度、頼んでみるね……」

小倉 ひかり

観念したように、ガッカリと肩を落としながら。

小倉 ひかり

ぴょこっ！と赤いリボンが立ち。

小倉 ひかり

「！　う、うんっ！……お勉強会前の……リフレッシュ！
　気分展開になるよね！」

小倉 ひかり

うんうん！とファントムの言葉に頷きながら。

小倉 ひかり

「リコちゃんはどう……かな？」

小倉 ひかり

「リコちゃんのお弁当！やったー！楽しみ！」
ころりと、ウキウキとした表情になり。

小倉 ひかり

「あ！じゃあじゃあ！私、キャンプできそうなお山！
　ネットで調べてみるね！」

小倉 ひかり

そうして荷物を纏めたバッグをしょい込み。

小倉 ひかり

そして、友達であるかなでにも、休日のキャンプの誘いと
……加えて、勉強会願いの内容のメールを送り。

小倉 ひかり

3人は、そのまま教室を出て、キャンプの事など
色々な"日常"的話題で盛り上がりながら、それぞれの家へと帰宅し─────。

小倉 ひかり

そしてひかりもまた、自分の家に着き。
今日という日を満喫した体を癒すべく、しっかりと休養を取り。
星々のカーテンが広がる空となり、真っ暗な、それでいて暖かな夜に

小倉 ひかり

「今度の土曜日、楽しみだなぁ……すやぁ………」

小倉 ひかり

そのまま、ベッドで眠りについたのだった。
楽しい明日の到来を胸に期待しながら─────。

小倉 ひかり

小倉 ひかり

小倉 ひかり

小倉 ひかり

「……………ん……んん……？おはよ、ぉ……？」

小倉 ひかり

目を擦りながら、むくりと起き上がる。
─────明るい光に反応するも、その光は決して、朝を届けるものではなく。

小倉 ひかり

「………え……？」

小倉 ひかり

唖然とした表情となり、辺りを見渡す。
そこには、まだ眠っているリコなどの、自分の友人の姿もおり。

小倉 ひかり

「あ、あれ……？リコちゃんに、ファントムくん……？
　ここ、は……？私の部屋じゃ、ない……？」

小倉 ひかり

「………あ、か、かなでちゃんも……！！」

小倉 ひかり

起き上がったかなでを見て、自分も急いで立ち上がり。

小倉 ひかり

辺り一面の、真っ白な壁をせわしなく見渡す。

小倉 ひかり

「わ、私が招待したんじゃないよぅ！？
　あとリコちゃん！！ほーら、目を覚まして！！」

小倉 ひかり

あ、見て！
と、3つの扉を指差す。

小倉 ひかり

……この感覚、この、異様な現象。
身に覚えが、あった。

小倉 ひかり

─────"また"だ。

小倉 ひかり

ごくり、と息を飲みながら。

小倉 ひかり

「……え？箱？」
後ろを振り向き、ファントムの開ける箱を見る。

小倉 ひかり

……私は、また……"非日常"に、来たんだ。

小倉 ひかり

「……っ………！？！」

小倉 ひかり

ケーキなんかじゃなかった、それは、おどろおどろしく私達に
"死"を見せつけた。

小倉 ひかり

CCB<=85 【SANチェック】 (1D100<=85) ＞ 71 ＞ 成功

小倉 ひかり

「リ、リコちゃん！見ちゃダメ！！」

小倉 ひかり

が、手遅れであった─────。

小倉 ひかり

心臓の鼓動が、止まらない。
ばく。ばく。ばく。ばく。
命の危機を伝えるには、十分過ぎた。

小倉 ひかり

CCB<=(14*5) 【アイデア】 (1D100<=70) ＞ 59 ＞ 成功

小倉 ひかり

CCB<=84 【SANチェック】 (1D100<=84) ＞ 69 ＞ 成功

小倉 ひかり

1d3 (1D3) ＞ 1

小倉 ひかり

「─────ひぃッッ……！？！」

小倉 ひかり

白い部屋内に、ひかりの悲鳴が響く。

小倉 ひかり

心臓の脈動は、さらに強まる。
今までも、こうした"非日常"と出くわしたことは、確かにあった。
だけども、今回は別。絶対的に別。

小倉 ひかり

「っ………！！」
リコ、そしてファントムの表情を見て、まだ気が付いていないことを察し。
なんとか、ひかりもまた平然を装うとする。

小倉 ひかり

「あっ……う、ううん！！大丈夫！！大丈夫だよ！」
リコに、にへらと歪んだ微笑みを見せる。

小倉 ひかり

脂汗は、額から止まらない。

小倉 ひかり

「…………………う、ん……ありが、と、う」
ファントムに、こくりと頷きながら。

小倉 ひかり

「……！……そ、そう、だね！！」

小倉 ひかり

─────そうして、常日頃身につけていたアサルトライフルの入ったケースを
手に握る。

小倉 ひかり

……前にも、こんなことが、あった。
私が─────みんなを失っちゃった日と、同じ……。

小倉 ひかり

「っ……！あ、危ないよリコちゃん……！？大丈夫……！？」

小倉 ひかり

私は、怖い。
─────それは、私自身の命を失いかねないから、とかじゃない。
……また、みんなを失っちゃうんじゃないかって。

小倉 ひかり

「………さ、さすがリコちゃん……」

小倉 ひかり

こういう状況下でも、落ち着いたままな姿に、感服した様子を見せる。

小倉 ひかり

「だ、大丈夫だったー！？リコちゃんー！！」

小倉 ひかり

「！？　ちょ、ちょっと……！？リコちゃん……！？
　危ない！それ危ないよー！？」
リコを箱から引っ張り上げようとする。

小倉 ひかり

「あ、ご、ごめん……！で、でもでも！かなでちゃんの言う通り！だよ！
　何が起こるか分からないんだから……！めっ！」

小倉 ひかり

う、うぅぅ……全然、いつも通りだよー……。
でもそこが、リコちゃんの良いところでもあるよね。

小倉 ひかり

「………？」
かなでのポーズを見て。

小倉 ひかり

「……そこに、行くん……だね……？」

小倉 ひかり

表情を少し険しくしながら。
ケースを握る手が、より強く。

小倉 ひかり

─────私は、私達は……もう既に、どこへも逃げられない。
それなら……そう、だね。

小倉 ひかり

「……うん、それなら……私達全員で、一緒に行こう」

小倉 ひかり

「離れ離れになっちゃダメ……だからね……？」
そうして、5の扉の方へ歩いていき、かなでの横に立つ。

小倉 ひかり

あ、あはは……と笑いながら。
ありがとう！と、リコへニコりと笑う。
そして、扉の奥へ入る準備を。

小倉 ひかり

ファントムの言葉に、こくりと頷く。
つぅぅ、と冷や汗がひかりの頬を伝う。

小倉 ひかり

「…………？」
その少女の顔を見て、少し眉が上がり、小首を傾げる。

小倉 ひかり

「……あ、あれ？女の子……？
　って、あわわわ！？リコちゃんー！？」
と、リコの後ろへ着いていく。

小倉 ひかり

─────閉鎖空間内に、ぽつりといる少女。
……何も、思わないわけでもない、けど……。

小倉 ひかり

「うぇっ……！？は、はじめまして……！」

小倉 ひかり

女の子に、ぺこりとお辞儀をする。
……敵意の無い様子に、まずは一安心するひかり。

小倉 ひかり

「……も、もしかしたら本当に迷子、だったのかもね……？」
と、リコへ視線を向けながら、再び女の子の方を向き
少ししゃがんで、視線を合わせる。

小倉 ひかり

「そ、そうだね！私は、小倉 ひかり！
　……りぐれっと、不思議なお名前……あ、でも確かに、可愛い！……かも？」

小倉 ひかり

かなでに、ごめんねー……と、手を合わせてペコペコと頭を下げつつ。

小倉 ひかり

そしてファントムの出した爆発エフェクトに、ビクゥ！とひかりの
赤いリボンが、ピーーン！と立つ。

小倉 ひかり

「そう、だね……？うん、きっと迷子、なんだよ……
　……リグちゃん、うん！いい名前、だね！」

小倉 ひかり

かなでの問いに、ひかりの大きな赤いリボンがぴょこりと反応。

小倉 ひかり

「……あ、あーー、そう、だね！
　リグちゃんは、どこから来たのかなー？」

小倉 ひかり

屈んだ姿勢で、リグへ微笑む。

小倉 ひかり

「忘れちゃった……そ、っかぁ……」
と返しながら。かなでの指す先を見る。

小倉 ひかり

「……箱……」

小倉 ひかり

たらりと、また冷や汗が垂れる。
先程の中身を見てしまったからか、戸惑いがかかるも。

小倉 ひかり

ファントムのその言葉に、目を大きくし
大きく赤いリボンが、ぴょこーん！と立つ。

小倉 ひかり

「……もしかして、開ける……の？」

小倉 ひかり

あーーーー……！それは確かに、そうかも……！
と、リコへ、納得するように返答しながら。

小倉 ひかり

「む、むむぅ……それなら、良いけどー……」
それでもどこか、不安げな様子を見せながら。

小倉 ひかり

それでも、リコの手の温もりが、ひかりの緊張した心を解したのは
言うまでもない。

小倉 ひかり

「よ、欲張らないように、だね……！　………うぇ？」

小倉 ひかり

ファントムの開けた箱の中を、そして─────聴こえる音に
目を少し開きながら、驚きつつ。

小倉 ひかり

「そう、なんだ……？
　……でもさっきの、確か……最近流行ってる曲、だよね……？
　特に、変な意味とかも込められてるようには思えないけど……」
と、リコへ小さな声で質問するように。

小倉 ひかり

んんんーーー……と、腕を組みながら唸りつつも
かなでの方を見て。

小倉 ひかり

「………忘れる……
　……記憶を………む、むむむぅーー……」

小倉 ひかり

まだ、何も分かんないなぁ……といったような表情をしながらも。

小倉 ひかり

「……そういえば、さっき、また変な音がしたけど……隣、かな……？」

小倉 ひかり

う、うん！と、かなでの方を向く。
ひかりの大きな赤いリボンも、ピン！と立つ。

小倉 ひかり

そして、かなでとリグの間を空けるように、横へ逸れ。

小倉 ひかり

あ、あはは……ちょっと、過敏になりすぎちゃってるかもね、私……。
と、後頭部を掻きながら、自嘲気味にリコへ笑いながら。

小倉 ひかり

リグの答えに、うぇっ！？と反応する。

小倉 ひかり

「し、知ってる……！？あ、あの箱、を……！？」

小倉 ひかり

─────私達の、死体が入っていた、箱を。

小倉 ひかり

かなでの反応を見て、口を結びながら。
眉を八の字にし。

小倉 ひかり

「………………私は、多分分かる、けど……
　でも……リグちゃんの前では、ちょっと……話せない、かも……」

小倉 ひかり

と、徐々に声が小さくなっていく。

小倉 ひかり

死体が、自分達の死体がそこにあったという話は
当然ながら、小さな子どもの前で話すような内容ではない。

小倉 ひかり

……あそこに、入ったら……どう、なるか……。

小倉 ひかり

「……うぇっ！？あ、ぅ……え、えっと……それは……
　………実は、ね……」

小倉 ひかり

と、リコの耳元へ話す。
あの箱の中に、自分達が身につけていた装飾品と全く同じものがあり
そして中へと吸い込まれて行ってしまった、という事実を。

小倉 ひかり

「………ん……ありがとう……その、ごめんね
　……内緒にしてて」
と、リコへ、小さな声で。

小倉 ひかり

そして、自分の手を包まれ、ぴょこりと、大きな赤いリボンが動く。
わっ……！という声が漏れ、リコの目を驚いたように見つめながら。

小倉 ひかり

……えへへ、と照れるように笑う。

小倉 ひかり

「……ありがとう、リコちゃ─────
　あっ、か、かなでちゃんっ……！？どうしたのかな……！？」

小倉 ひかり

私は、一人じゃないんだと、こんな私とも一緒にいてくれる友達が
仲間がいるんだと、心があったかくなりながらも
かなでの靴音に気が付き。

小倉 ひかり

「！　そ、そうだね……！　……ここから、脱出するためには……
　もっと、色々と探さなくちゃ、だもんね……！」
と、リコの手をぎゅっと握りながら。

小倉 ひかり

かなでに、強く返事をする。
行く！　と。

小倉 ひかり

安心感に包まれたとは言え、まだ緊張は残っており
手のひらには、ひかりの手汗が滲んだままであった。

小倉 ひかり

「あ、そ、そうだね！こんな場所において行ったら……
　……え？」

小倉 ひかり

ここにいないと、いけない……。
……まるで、"地縛"されている、みたいな……。

小倉 ひかり

"あの出来事"が、脳裏に蘇りながら。

小倉 ひかり

「……じ、じゃあ！出口を見つけて……すぐにこの部屋に！
　みんなで戻ってこよう！」

小倉 ひかり

ね！と、ファントムやリコへ、そう告げる。

小倉 ひかり

リグくらいの年齢の子は、携帯電話を持たされていないということはザラであった。
というのも、ひかり自身、小さい頃は携帯電話を持つことを許されなかったから。

小倉 ひかり

これなら、リグちゃんもきっと寂しくない……よね！
と、微笑みながら。

小倉 ひかり

かなでの方を向き、そして次にリコの方へ向き頷く。
そのまま、手を繋いだまま、扉の方へと進もうとする。
少女に、笑顔で手を振りながら。

小倉 ひかり

「またね～！」と。

小倉 ひかり

CCB<=83 【SANチェック】 (1D100<=83) ＞ 67 ＞ 成功

小倉 ひかり

「……！？！今の声は……」

小倉 ひかり

たらりと、汗が落ち、そしてファントムの方を向き。

小倉 ひかり

「………そう、だよね」

小倉 ひかり

あの声は─────リグちゃんのだった。

小倉 ひかり

私達は、一体この部屋で、何を………？

小倉 ひかり

「……そう、だね」
こくりと、かなでに頷き。

小倉 ひかり

まだ、真実は分からない。
……でも、異常なことが起こっている。不可解なことが連続して起き続けているという事実だけは、変わらない。

小倉 ひかり

だからこそ、みんながまだ無事でいることにホッとしながら。

小倉 ひかり

「………リグちゃんのためにも、早く出口を探さなくちゃ……だね……！
　かなでちゃん！鍵の開いた部屋はどこ……って、あわわ！」

小倉 ひかり

と、リコとまだ繋いだ手を強く握りながら、かなでの後を追うように走る。

小倉 ひかり

「………？」
今度は、リグちゃんよりも大きな子……？でも、どこか……？

小倉 ひかり

ど、【女の子】をじっと見つめる。

小倉 ひかり

「……中学生、みたいだけど……
　………でも、少し背が低い、みたい……？」
と、リコへ小さな声で話しかけつつ、ファントムと女の子の行く末を見守る。

小倉 ひかり

「………っ……！？」
─────も、もしかして……！？

小倉 ひかり

目を大きく見開く。ひかりの赤いリボンが、ピンと立つ。

小倉 ひかり

「え、ええぇえーーーーー！？！？」

小倉 ひかり

「だ、だって！？さっき隣の部屋に……えぇえっ……！？」

小倉 ひかり

鳩、という言葉で、目の前にいる少女が、本物のリグであることを確証へと導いた。

小倉 ひかり

何よりも、やっぱりそうだ。見覚えのある顔。
隣の部屋で見た、リグちゃんそっくりだ。

小倉 ひかり

少し眉に力を入れつつ、リグの言葉に、目をパチパチとさせる。

小倉 ひかり

「……え……？……？？……あ、あのリグちゃん……
　リグちゃんは、ここで……何をしているの……？」

小倉 ひかり

「……覚えて、いない……んだ……」
……分かんない、何もかもが、分かんない。

小倉 ひかり

「……うぇっ……！？へ、変って何さー！」

小倉 ひかり

ぷんすこと頬を膨らませながら、腕をぶんぶんと振るう。

小倉 ひかり

「ぇ……あ………」

小倉 ひかり

「…………！！……わ、わかった……！」

小倉 ひかり

と、かなでに小さな声で、返答しながら。

小倉 ひかり

「─────ね、ねぇリグちゃん！
　その、それじゃあ……リグちゃんは、5歳から12歳になるまでの間……
　─────何が、あったの……？」

小倉 ひかり

と、リグを真っ直ぐ見つめながら、そう問う。

小倉 ひかり

「………それは……本当、に……？」

小倉 ひかり

……あのオルゴールの"声"、聴いた、よね？
と、ファントムへ視線を送りながら。

小倉 ひかり

「っ…………」

小倉 ひかり

かなでの問い、そして5歳の頃のリグちゃんの恰好
そして─────あのオルゴールの声は……やっぱり。

小倉 ひかり

「そ……っかぁ……」

小倉 ひかり

……え！？そ、そんなこと、できるの……！？
と、かなでの方を向きながら。

小倉 ひかり

「……………」

小倉 ひかり

─────知らなくてもいいことは、この世にたくさんある。

小倉 ひかり

それは、確かに……私も、そう思う。
……知ったせいで不幸になったことは、だって……私にも、あったから……。

小倉 ひかり

……ファントムくん………。

小倉 ひかり

「……リグちゃんが、真にどうしたいか……だよね？」
と、その言葉が正しいかを確かめるようにリコへ視線を向けながら。

小倉 ひかり

わわわぁっ……！？！？と、リコの怒号にビックリしながら。

小倉 ひかり

「わぁ……！リコちゃんの、お料理！」

小倉 ひかり

─────そうだ、うん、そうだ。リグちゃんからしたら、せっかくの再会なんだから。
だから……楽しく、しないと、だよね！

小倉 ひかり

「……ううん、ファントムくんも、間違ってないよ」
と、ニコりと微笑みつつ。

小倉 ひかり

「─────リグちゃん、リグちゃんには……こうして
　ファントムくんや、リコちゃんみたいに、頼れる"友達"がいるの
　だから─────」

小倉 ひかり

リグへも、ニコリと微笑み。

小倉 ひかり

「……辛いことがあったら、いつでも私達を呼んでね！」

小倉 ひかり

……私だって、辛い思いをしてる人がいるなら、放っておきたくない。
確かに、この場所は怖い、リグちゃんに関しても分からないことばかり
だからって、それは友達にならない理由にはならない。

小倉 ひかり

「うん、"友達"！」

小倉 ひかり

相変わらずファントムくんの手品はすごいなぁ、と感心しつつ。

小倉 ひかり

リコの食べてるおにぎりを見て、じゅるりと垂れそうになった涎を拭きつつ。

小倉 ひかり

「………食べる！！！」

小倉 ひかり

と、リコの手作りおにぎりをムシャムシャと、ハムスターのように
それはそれは美味しそうに頬張る。

小倉 ひかり

の、喉に詰まったら死んじゃうよぅ！？と、ガビーンとした表情になりながら。
ムシャムシャと、おにぎりを食べ終える。満足。

小倉 ひかり

「えへへー！リコちゃんのおにぎりは、すっごく美味しいもんねー！」
と、楽しげにけらけらと笑いながら。

小倉 ひかり

「……………？
　……そういえば私達って、何でここにいるんだっけ？」
と、かなでへ小首を傾げる。食事に夢中で忘れかけた。

小倉 ひかり

つられて、ひかりも
あはははは！と笑いだす。

小倉 ひかり

「えへへへ！ごめんねかなでちゃん！」

小倉 ひかり

「…………！？」

小倉 ひかり

「あっ……！？………っ………！！」

小倉 ひかり

床に叩きつけられるオルゴールの、大きな音に耳を塞ぎつつも。

小倉 ひかり

「………リグ、ちゃん……」

小倉 ひかり

「えっ……！？あ、ぁ、ぅ……こ、これ、は………
　………そ、そう……だね、リグちゃんは、このオルゴール……
　嫌い、だった、ね……」

小倉 ひかり

しょぼくれたように、ひかりの大きな赤いリボンが垂れさがる。

小倉 ひかり

「……ごめんなさい……」

小倉 ひかり

リグに、頭を深く下げる。

小倉 ひかり

「ぁ………」

小倉 ひかり

眉を八の字にし、リグのその表情を見て。
申し訳なさげな顔のまま。

小倉 ひかり

「………う、ん……　……ごめん、ね」

小倉 ひかり

そう言い、ゆっくりと扉の方へと、とぼとぼと歩いていく。

小倉 ひかり

─────その視線の先は、18と書かれた扉。

小倉 ひかり

「…………」

小倉 ひかり

リグちゃんを怒らせてしまい、気まずい雰囲気の中。

小倉 ひかり

「………？……待って、何か……？」

小倉 ひかり

かなでの問いに、ひかりは眉を顰めながらも。

小倉 ひかり

「……………うん」

小倉 ひかり

「……謝らないと、いけないから」

小倉 ひかり

「"友達"として」

小倉 ひかり

鼻腔の奥を通り抜ける死臭に、精神的嫌悪感が胸の奥から込み上げてきながらも。
それは─────ひかりを止める理由には、ならなかった。

小倉 ひかり

ファントムとリコの答えに、こくりと頷きながら。

小倉 ひかり

「─────この扉の先に……何か、"嫌なこと"が、待ってるかもだけど
　でも……私は、私達は、行くよ
　………それでいいよね、かなでちゃん？」

小倉 ひかり

と、愛銃の入ったケースを強く握り締めながら。
─────死臭に対する警戒を強めながらも、"友達"の元へ行く決意を示す。

小倉 ひかり

ひかりもまた、扉の方へ歩く。

小倉 ひかり

「ぁ………」
リコに掴まれた手、そして─────扉に書かれた、赤い文字。
二つがひかりを驚かせながら。

小倉 ひかり

強張るひかりの体は、そのままに。
ごくり、と唾を飲み込む。

小倉 ひかり

「……リグちゃんの、真の願いがそうなら……
　………思い出して不幸になるものでも、知りたいって思うなら
　私達は……止めない、否定しない………だから」

小倉 ひかり

「………無事で、いてほしい」
扉の先を見つめ、そう呟く。

小倉 ひかり

そしてリコの方へちらりと見て、ニコりと笑い。

小倉 ひかり

再び、扉と見つめ合う。

小倉 ひかり

─────そして、扉の向こうへ4人は向かう。

小倉 ひかり

その臭いに、うっ……！と、表情が歪みつつ。

小倉 ひかり

「………リグちゃん」

小倉 ひかり

少女の方へと、少しずつ歩いていく。

小倉 ひかり

リグへ、こくりと頷く。

小倉 ひかり

かなでの言葉に、ピクりと反応する。
冷や汗が、首筋を伝う。かなでの忠告通り、途中で止まり。

小倉 ひかり

リグを見つめ。

小倉 ひかり

「……リグちゃんは─────"思い出す"こと、できたの……？」

小倉 ひかり

「………っ……！！」

小倉 ひかり

CCB<=83 【SANチェック】 (1D100<=83) ＞ 60 ＞ 成功

小倉 ひかり

1d3 (1D3) ＞ 3